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風呂・浴室リフォーム工事の落とし穴

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お風呂場の土台が溶けて無い

築二十年以上経っている建物のお風呂場が、在来浴室(通称ユニットバスではなく昔からあるタイル張りの浴室)で寒いし、タイルが一部ひび割れてきたので、壊して新たにユニットバスに交換する工事をご依頼されました。

タイルを剥がして床の土間コンクリートを撤去(取って)して見ると、布(ぬの)基礎(建物の重さを地盤に伝える為、一階の柱や土台下に設ける通常鉄筋コンクリートの帯状の連続した構造物)の上にあるはずの土台(木製の角材)がありません。柱が浮いていました。

もちろん、最初から無かったわけでもなく、溶けて消えてしまったわけでもありません。タイルの亀裂から水が浸透し、長い時間をかけて少しずつ腐ってシロアリや腐敗菌に食べられてしまったのです。
これは築15年以上経った建物にはよく見る事ができます。
ヒノキ材が使われていたので、柱は残っていました。ひどい所では、下から50センチほど柱が無い場合もあります。まるで幽霊が建物を持ち上げているかのようです。周りの壁で持っているのです。

でも、新潟県中越地震のような地震でも来た日には、ひとたまりもありません。地震で倒壊した建物を見ると、部屋を広げる為に十分に補強もせずに柱や梁を抜いてしまった部屋。そして、この建物の浴室のような水廻りがつぶれて、建物全体の倒壊につながっている場合が大変多く見られます。

ですが、この土台や柱が腐ってなくなってしまう現象は、建物が古いから必ず起こるというわけでもありません。その証拠に、築50年から80年以上の建物も増築をやらせて頂いてますが、これくらい古い建物は、意外と土台が残っているのです。

そんな馬鹿な、と思われるかもしれませんが、実際にそうなのです。
それは、40年以上前に建てられた建物の外壁は、土壁(小舞壁)や木製の板張りが多いのが理由です。そのような壁の造りはなぜ腐りにくいのでしょうか。それは、壁の間を風が通るからです。木は濡れたとしても、すぐに乾く環境にあれば何百年も持つ素材です。この違いが顕著に表れているようです。

おおよそ40年前を境に、土壁や板張りの建物が無くなっていったようです。その辺りからは、外からの水が入らない事や、隙間風が入らぬ事ばかりに重点が置かれてきました。ほとんど湿気が抜ける対策が取られないままに、現在の多くの建物に変わってしまったようです。

浴室の場合、水が部屋に上がらぬよう低い所に床を作ります。家壁をモルタルやタイルで固めてしまいますので、もしも亀裂などから水が入ってしまえば、内側からは湿気は抜けません。当然、縁の下の風も通り道がありませんので、どこからも抜けなくなってしまうのです。それでも、水の進入だけを考えれば、コンクリートやブロックで浴室の基礎を1mでも上げて作られている建物は、土台や柱の腐食はかなり少ないようです。

とにかく、建物を安全に長く維持するには、風と水を滞らせない事が必要不可欠です。水が入らない事と同じくらい、入ってしまった場合どうやって逃がすかという事が非常に大事な事なのです。

逆に言えば、この単純な事だけを押えておけば、末永く安全な住まいを作る事は、それほど難しい事ではありません。この知恵は、先達が大部分を教えてくれています。あとは、ほんの少しだけ、現代にあった工夫をするだけでよいのではないでしょうか。
本当にいいもの、優れた物は、できるだけ先達の知恵に教えを頂き、ちょっとだけ改良を加えるという単純な物しかありえないような気がしてなりません。

昨今、世の中では災害が起こると、やれ耐震住宅だ、免震住宅だと、やたらこれ幸いとばかりに恐怖をあおる傾向にあります。もちろん、科学技術の進歩は必要な事ですし、私も大いに勉強しなければならないと思っています。ですが、今まではあまりにも本末転倒なものばかりが横行してきたような気がしてなりません。
私の経験から、こんな考え方もあるのではとご紹介させて頂きました。

ひどい浴室の工事と、耐震まで考慮した工事の差

浴室の改修工事をしていて、いつも思います。
10年以上経った建物の在来のタイル貼りの浴室を壊してみると、ほとんどと言っていいほど土台、柱等のタイルの下地部分等が腐ってしまっています。

腐朽の程度は、それぞれの建物によって差がありますし、建てられた時の施工方法によっては、そうなっていないこともあります。
しかしほとんどの場合、理にかなった建築(施工)をされていないのが現状です。分譲住宅、いわゆる建売と言われている建物にちゃんとした施工が行われていない物が多いのではないかと思っていましたが、実際そうでもないようです。

最近手掛けたところでは、注文で建てられた家でもずいぶんと目にします。浴室は大抵、家の角に配置されています。地震や強風で建物に最も力がかかるのは、角の部分です。その角の土台や柱が腐朽していると、当然、大地震等で建物が大きく動いた場合、倒壊の危険が高くなります。
阪神大震災や中越大地震の倒壊の例でも、明らかに証明されています。

築年数が15年以上で、浴室が在来の(ユニットバスでないもの)浴室の場合は、浴室をきれいにリフォームされるついでに、柱や土台、耐震補強を考えられたほうがよろしいかもしれません。
もちろん、大地震等の災害が起こらなければそれにこしたことはありませんが、その保証は現在まったくありません。
それどころか、世間では起こる確率が大変高いと言われているくらいです。

決して、脅かしているわけではありません。
どうしてもリフォーム業者さんは仕事が欲しいがために、その当りの話を敢えてせずにリフォーム、増改築を薦めてしまいます。

営業の方は知らずにやっているのかもしれませんが、解体して構造材が腐朽していることに気が付いても、そのまま工事を進めて、構造材を腐らしたまま塞いでしまう業者さんが大変多いようです。それどころか、発生したゴミや廃棄物を、見えない床下等に埋めてしまうことすら平気な業者がたくさんいます。


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大改装工事で内装を解体したところ、床下などに廃棄物などが詰め込まれていました。以前リフォームした業者によるものです。見えないところやお客さんの解らないところでは、何をされているか解りません。

 


以前別の業者で、ユニットバスにリフォームされたお宅で、入口の段差がひどいので解消して欲しいと、再度ユニットバスの交換工事をやらせて頂いたことがあります。

実際にそのお宅でユニットバスを解体してみますと、腐った土台や柱をそのままにしてありました。それどころか、古い浴室の床を壊すのが大変なので、壊さずに、そのままユニットバスの脚を乗せてありました。その浴室の入口は極端に高く、段差などという類のものではありませんでしたが、その時はまさかそのようなことがあるはずがない、と思っていましたので、ショックを受けたことがあります。ですが、当たり前のようにそんなことが行われているのが現状です。

脅かすわけではありませんが、増改築やリフォームをして、やる前よりも不便になったり、危険になってしまっては元も子もありません。くれぐれもお気を付け下さい。

ところで、在来のタイル貼りの浴室はつくることができないのでしょうか。

もちろん、そんなことはありません。コンクリート基礎を腰上まで立ち上げ、その上に土台を敷くという建て方をします。浴室以外の部屋と同じ高さで基礎を廻すとどうしても土台が腐りやすくなります。ブロック基礎で土台を高くするというやり方もありますが、現在の新しい耐震の考え方からすると鉄筋コンクリート基礎でやられた方がいいと思います。

それから、できれば外側の壁は二重壁にして通気層をつくります。どうしても内側の壁にタイルを張ってしまうと、モルタルから浸透した水や結露水が逃げ場を失って、乾きにくくなってしまいます。二重壁であれば、その水分や水蒸気を外側の通気層で乾かすことができます。手間と費用は多少かかりますが、家の寿命と安全を考えればお薦めだと思います。

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