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2階リビングの長短所を考えてみる【領域②】
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
次候 天地始めて粛し(てんちはじめてさむし)
空を見上げる
今日から七十二候は「天地始めて粛し(てんちはじめてさむし)」。夏の暑さが徐々にやわらぎ、秋の気配が色濃くなってくるころです。
空の透明度が増し、箒(ほうき)で掃いた跡のような巻雲(けんうん)が見られるように。
天気予報では「秋晴れ」や「秋雨前線」といった言葉も登場するようになります。
折しも今日は、毎日の天気予報で、私たちがお世話になっている「気象予報士の日」です。
1994(平成6)年の今日、はじめて国家試験が行われました。天気を読む達人である気象予報士を見習って、時には空を見上げてみませんか??
空の色、雲の形に思いがけない発見があるかもしれませんよ
2階リビングの長短所を考えてみる【領域②】
面積が広く庭が十分に取れる敷地なら、リビングは1階に配置するのが妥当です。ですが、周りがぎっしりと建物に囲まれた住宅密集地の猫の額のように狭い敷地では、とうしても1階の日当たりは最悪となります。そこにあるリビングは暗くなりがちです。
そこで登場するのが「2階リビング」という考え方です。私は断然この考え方がお薦めなのですが、敢えて長所短所を整理して考えてみたいと思います。
[日当たり・明るさ]
最大のメリットはこれなのです。ハイサイドライトを設けてお日さまの光を取り入れれば、隣の家の影になる影響を受けずに一年中明るい家になります。雨空や曇天の日は例外ですけどね。
[耐震(地震に対する強さ)]
2階にリビングにした場合、通常は1階にそれほど広くない個室がくるので、各部屋を細かく仕切る柱や壁が耐震性を上げてくれます。1階に比べて2階の壁はあまり必要ないので大空間の実現可能となります。
◯[プライバシー・防犯]
通行人からリビングの中への視線を遮りやすくなります。人から中を覗かれにくくなるということです。1階の個室の窓はそれほど大きくすることはないので、防犯性もあがります。通行人から覗かれにくいということは当然ながら泥棒にとっては何よりも怖いのです。
◯[木の内装]
こちらは少しだけ専門的な話になるのですが、「火気使用室」(キッチン)が最上階になるので、内装に「防火の制限」がかからないのです。床・壁・天井に木を張ることができます。木造の階数や高さ制限が日に日に廃止されている現在では、この内装制限も無くなっていくかもしれません。
△[庭との関係]
リビングの前での庭いじりができません。その代わり、外の眺めはよくなります。どうせ2階にリビングを持ってくるのであれば、2階に広めのブルコニーもあったほうがいいに決まっています。できるかどうかは、場所によっては分かりませんが。
×[将来の不安]→◯ 昇り降り→不安。でも…◯鍛錬で足腰良好
こちらは賛否両論ありますが、足腰が弱ると階段の上下移動がつらくなるというか困難になっていきます。将来的にはエレベーターやミニキッチンの設置が必要になるかもしれません。最大の弱点はコレ…
だと、建築家の先生がたはいいます。
ところが、私の経験上では2階にリビングを計画され実行された家ほど、1階リビングの方よりも明らかに、足腰の丈夫さが際立って目立ちます。
要は2階にして毎日の階段の上り下りは、建築家の先生がたが思いも寄らないほど、足腰を丈夫にしてくれるのです。歳をとると足腰が弱くなるのは当然だという考え方は捨てたほうがいいと思います。
どちらかといえば、足腰がどんどん弱くなるから、エレベーターを考えるよりも、足腰が衰えないほうが、幸せですからね。
【L・D・K】の組み合わせ、実際は…】
ゾーニングをしていく上で、LDKの扱いを気にする人は少なくないと思います。建物の表側に陣取るL・D・Kの関係性に着目すると、その配置には限られた組み合わせしかないことに気付かされます。
ダイニングキッチンにリビングをプラスするという考えかたで良好!
【キッチン+ダイニング(KD)にリビング(L)接続する】
キッチンとダイニングは、その機能特性上、隣どうしにしておくと食事の準備も後片付けも効率的です。
この2つは「いつでも一緒」が基本であり、間違いなく相性抜群なのです。一方リビングは、キッチンからたとえ遠くにあってもそんなに不便にはなりません。
ダイニングに近ければいいかなぁという程度のものです。というわけで、「キッチン+ダイニングにリビングを接続する」と覚えておけば、LDKが使いにくいおかしな配置になることは無くなると思います。
【形はどうにでもなるのです】
キッチン・ダイニング+リビングが基本となれば、LDKは下図のような正方形でもよいことが分かります。基本的な理屈さえ押さえてしまえば、あとは自由気ままで、どうとでもなるのです。
ただし… …
【広さがなければ…15畳がひつつの目安】
ちなみに先ほどの[カタチはどうにでも]の話ですが、広さは無視できません。LDKに必要な面積は、長方形にしろ、正方形にしろ、だいたい15畳程度必要なのです。
ダイニングセット、テレビ、小さめのソファ、パソコン用スペースなどを確保したLDKは、どんな家でもそれくらいあれば納まります。
【「リビング階段」を入れて20畳以内で納める】
最近増えている間取りの1つが、リビングのなかに階段を設ける「リビング階段形式」のLDKです。
収め方はいろいろですが、左図のようにダイニングとリビングの間に階段を挟むと、良いか悪いかは別として両空間の領域性がよりはっきりしてきます。
面積は階段を含めて約20畳。なお、リビング階段は吹き抜けと同じ効果をはっきしてくれますので冬は階段を伝わって上部に熱が逃げていきます。
断熱・機密設計がしっかりしていない住宅は、竣工後にクレームとなるおそれが大となります。十分にそこのところは注意する必要があります。
【和室を足すなら「小上がり」もお薦め】
リビングの一角に和室の空間を設けるのは、40年も昔からおなじみの間取りの1つかもしれません。洗濯物を畳んだりアイロンを掛けたり、ちょっとごろ寝をしたりという行為は、フローリング直には抵抗ありますが、なぜか畳の上では気にされない方々が多いようです。
畳の部屋は生活のさまざまな場面で重宝されるアイテムといっても差し支えないと思います。23畳程度の広さがあれば、押し入れ付きの小さな和室が導入可能なのです。23畳と簡単にいうなぁと思われるかもしれませんが、広さのなかなかとれない方々にもいずれ有効なアイテムのお話をさせていただきます。
ただし、和室を設けるとソファの置き場所に困ってしまいます。いっそ和室を30cm~35cmくらいの小上がりにして、そこに腰掛けるスタイルにしてもいいかもしれません。
【何事も基本さえ押さえておけばあとはどうとでもなるものなのです】