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経年変化美にこだわる家づくりを【リフォームの大切な視点8】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
立冬(りっとう)次候 【地始めて凍る】
ポカポカ小春日和(こはるびより)
木枯らしが吹いた翌日はうって変わって穏やかな陽気に包まれることが多いとされています。
まるで春が来たのかと勘違いするような、のどかな天気。それが、「小春日和」です。
「小春」は旧暦10月の異称で、「小春日和」は新暦の11〜12月上旬にかけて使います。
寒さに身構えるなか訪れる不意の陽気にほっとするのは、誰もが一緒なのでしょう。
各国に秋の好天をあらわす言葉があります。アメリカは「インディアンサマー」、ドイツは「老婦人の夏」、ロシアは「女の夏」。
夏が登場するのは、緯度が高く、日本ほど春が温暖ではないためといわれているんですね⁽⁽ଘ( ˊᵕˋ )ଓ⁾⁾
そして、 立冬の次候は、地始めて凍る。地面が凍りはじめるころ、という意味で、およそ十一月十二日から十六日ごろまでのことなんですね。パリパリと霜が降り、地方によっては川面や湖面が凍りだす時期ということだそうです。
そんな霜の降る夜を、霜夜(しもよ)といいます。雪夜とも違った、静かに凍てつく寒さの夜。静けさのなかの霜の気配を指して、霜の声という冬の季語があります。
不忍(しのばず)の鴨寝静まる霜夜かな
子規
まるで、霜が降りてくる音が聴こえてくるようです。それを昔の人は霜の声といっていたのですね。
経年変化美にこだわる家づくりを【リフォームの大切な視点8】
リフォームの際に考える4つの寿命
【物理的寿命】
・バランスよく平面計画している
・耐震性に優れている
・湿気や結露対策がされている
【心理的寿命】
・採光方法がよく考えられ工夫ている
・表情豊かな自然素材が多く使われれている
・ギリギリのスペースではなく、プラスαがある。
【生活的寿命】
・ライフステージの変化に対応できるようになっている
・段差や湿度、気温のバリアフリーが考えられている。
・できるだけ目立たない場所に点検口が設置されている
【資産的寿命】
・自然素材などホンモノの素材を使用している
・経年変化(時間を経ても価値が喪失しない)に対応している
・将来売ることになっても、高く売れる
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時を経過するほど素材から生まれる美しさ「経年美」にこだわる
【人間の本能、木で心も体も安らぐ】
木は生きているため、木材にも個々のばらつきがあります。日射の多い南側の木は枝が多く、当然節目も多くなります。
一方、北側の木は節目が少なくなるのはいうまでもありません。
木は製材されたとしても自分が育った方位を覚えているので、くるいの少ない長持ちする家をつくるには、南側で育った木材は南で使うー適材適所といいますが、それがなによりも、大切なことなのです。
ブナやナラなどの紅葉樹は比重(同じ体積の水と比べたときの重さ)が大きく堅いので床材や家具に使われます。
比重の小さい杉や赤松、檜(ヒノキ)などの針葉樹は柔らかく温かみがあり、軽くて変形しにくいため内装材に使われます。
木を使った空間に入ると心が安らぐのは、木が生きた材料であり、人も同じ生物として本能的に感じるものがあるからです。
【経年美をつくるのは限界性のある材料】
私たちは、材料の性質の中からいくつかの特性を引き出し、それぞれの優劣をかってに語ります。
ところが、材料の調和が図られているかを考えるとき、個々の感覚で評価が分かれます。
たとえばステンレスやアルミなどは、非生命感の材料でシャープなイメージをもち、メンテナンスに手間もあまりかからない点が便利で優れています。
当然、これを好む人もいますが、人の心を和らげる要素に欠けているように感じる人もいます。
一方、無垢材をはじめとして、銅、漆喰(しっくい)、和紙、畳などは生命感があり、環境とともに変化する限界性をもっています。
これらの材料は時間とともに適度な手間をかけながら美しく古くなっていきます。
要するに「経年美」をつくってくれる立役者たちなのです。
【建物に使われる主な材料の感覚】