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脳神経が1度あたり2歳若くなる、暖かい家に住むということ
【脳神経が1度あたり2歳若くなる、暖かい家に住むということ】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
物への感謝、針供養
2月8日は「御事始(おことはじめ)」(地域によっては「御事納(おことおさめ)」)。厄日とされ、身を慎(つつし)み、仕事をせずに過ごす一日でした。
昔の女性にとって裁縫は大切な仕事であったため、やはり針仕事はお休み。
やがて折れたり曲がったりした古い針の労をねぎらい、感謝する「針供養」の風習が生まれました。物にも魂が宿ると考えて、大切にしてきた先人の心持ちがよくわかるならわしです。
各地の神社やお寺では、針供養を行います。参拝者は使えなくなった針を行います。参拝者は使えなくなった針をやわらかいコンニャクや豆腐に刺し、これまでの感謝を込め供養するとともに、さらなる裁縫の上達を願います。
【脳神経が1度あたり2歳若くなる、暖かい家に住むということ】
慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授(写真)らの研究で、冬に寒い家に住んでいると、「脳の神経細胞の質」が悪くなる。逆に暖かい家では脳神経が若くなる、という衝撃的な事実が明らかになりました。
伊香賀教授らが2016年から毎年調査を積み重ねるなかで、最新解析では「冬場に1度温かい家に住むと、脳神経が2歳若くなる」ことも分かりました。
「40代から80代まで150人の脳画像を基に、脳の神経線維の質などを点数化すると、冬季の居間室温が低い家と比べて、5度暖かくなることで脳年齢が10歳若く保つことができます。
寒い家では室温の変化が激しく、それによって血管の拡張収縮が繰り返されて動脈硬化が進行しやすく、脳が早く劣化してしまうと考えられます」(伊香賀教授)。
寒い家では高血圧症や動脈硬化を発症しやすく夜間頻尿リスクが高まるほか、自律神経や睡眠を乱すなどの研究報告があります。室内を何度に保てばいいのでしょうか。
日本の家の室内温度はどの部屋をとっても、あまりにも低過ぎます。
WHO(世界保健機関)は2018年11月、冬の住宅の最低室内温度として「18度以上」を強く勧告しました。
高齢者や小児はもっと温かい温度が推奨されています。
ところが、伊香賀教授が委員会幹事を務める国土交通省の調査では平均年齢57歳の人が暮らす住居2000戸を調査すると、居間では6割、寝室・脱衣所にいたってはなんと9割もの家が、18度に達していなかったのです。
廊下・脱衣所の平均値は約12度、居間でも16度でした。
英国では「家の寒さと死亡率の関係」を数十年にわたり調査し、結果を「住宅の健康安全性評価システム」として公表しています。それによると、「16度を下回ると呼吸系疾患に影響が出て、12度以下では血圧上昇や心血管リスクが高まる」とされています。
前述の国土交通省の調査でも、朝の居間の室温が18度未満の住宅に住む人の総コレステロール値、悪玉コレステロール値が有意に高く、また心電図表の異常所見も多くなることが明らかになっています。
図は、真冬外気温-1℃前後の時、室温20度で23時に暖房をOFFにした場合の6時間後の部屋の室温を示しています。
図中のH4は1992年新省エネルギー基準レベルの建物、H25年は2013年改正省エネルギー基準レベルの建物、G1は「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」HEAT20 G1レベルの住宅を示します。
G2は「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」HEAT20 G2レベルの住宅を示します。
今まで、S55年(1980年)旧省エネルギー基準、H4(1992年)新省エネルギー基準、H11(1999年)次世代省エネルギー基準、H25(2013年)改正省エネルギー基準、日本のエネルギー基準の編成があり、HEAT20は東京大学名誉教授、坂本雄三氏を委員長とする委員会で示されたものです。
ここで一つ感じてほしいことは、福島県田村市などの省エネルギー基準3地域では、国の省エネルギー基準レベルでは冬場の暖房OFF後、室温は10度を切ってしまうということです。心疾患や気管支疾患の大きく原因のひとつになります。
図の右下に示すように、例えばイギリスでは住宅における全ての室温の最低推奨室温が18度とされています。
イギリスの場合は…
10度:高齢者に低体温症が表れる温度
16度:呼吸器障害、心疾患など深刻なリスクが表れる
アメリカでは…
13度:冬期夜間において維持すべき最低温度(ニューヨーク州)
15度:冬期夜間に維持する温度(ペンシルバニア州)
など、室内温度の指標が指示されています。
断熱性能が高い家ほど、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などが驚異的に改善
室内を暖かく保つには「住宅の高断熱性」が求められます。
断熱とは文字通り、冬は外へ逃げていく熱を、夏は内側へ入ってくる熱を断つことです。
一番は壁や床などの断熱改修工事をすることで、コストはざっと100万円以上かかりますが、これによりさまざまな健康状態が改善することがわかっています。
近畿大学建築学部の岩前篤教授(写真)が、約2万4000人を対象に「ほぼ無断熱の家から、そこそこ断熱された家に引っ越した人」を対象にした調査では、気管支喘息、のどの痛み、手足の冷え、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの8つの症状について明らかな改善が見られました。
実際にはそこまでコストをかけられない人も多いでしょう。
その場合、手軽にできて効果的な断熱ポイントは「窓」です。
冬は室内の熱(暖かさ)の約60%が窓から逃げていきますから、「窓」の断熱化は効果的です。
すきま風ではありませんよ!足元がヒンヤリするのは!!「コールドドラフト現象」が原因なのです。
特に暖房しているのに足元がヒンヤリする、窓から冷気が漂ってくるのは「コールドドラフト現象」と呼ばれ、窓からの冷気が部屋の内部に流れ込んでいる状態です。
1箇所につき3万~10万円程度の「内窓(二重窓)」を取り付けるか、複層ガラスでできている「高性能の窓」に交換するのがお勧めです。
古いタイプの住宅であっても、窓を見直すことで最新性能の住宅環境に近づくことができます。
その予算もない場合は、窓に断熱シートを貼ったり、厚手のカーテンを吊るすと、室内の暖かさを保ちやすくなります。
腰高窓でもカーテンを床まで垂らしたり、カーテンの裾と床の間に隙間ができてしまう場合はクッションを埋めたりすると、多少の効果が得られます。
お客さまには、特に日常で使うことの多いリビングと、その日の疲れを癒やす寝室の窓には充分な対策(断熱窓へのリフォーム)をお勧めしたいですね。
暖房をケチって、室温が下がると、睡眠にも悪影響を及ぼします。
けちらずに暖房器具を使うことで、ぐっすり眠れることもわかってきました。
「冬のある日、石川県の同じ町でも、温かい家と
寒い家があります。私たちが調査した約280世帯のうち、75%が寝室の室温が13度を下回っていました。
国土交通省が2017年に発表した全国調査でも、約55%の家の寝室が13度未満でした。睡眠時に寒すぎる家が多いんです」(伊香賀教授)
寝室の室温の低さは寝つきを悪くし、熟睡時間を短くして、翌日の作業効率を低下させます。
また、就寝前の23時の居間の室温が18度以上に住む人と比べて、12度以上18度未満の住宅では頻尿リスクが1.2倍に、12度未満では5.3倍もリスクが高まります。
窓を見直しても寝室が寒い家は、光熱費をけちらずに暖房器具を使用したいところです。
その場合、窓側に暖房器具を設置すると窓からの冷気を押しとどめ、暖房効率を上げることができます。
図は寝室の室温と収縮期血圧(起床後)の関係を調べたもので寒い寝室では起床時の血圧が高くなっています。
睡眠中の空気の「乾燥」は中途覚醒する確率が、なんと2.9倍に悪化します。
暖房を使用するにあたって、問題になるのが空気の「乾燥」です。
伊香賀教授らの研究で、寝室の乾燥を「感じる」群は「感じない」群と比べて中途覚醒する確率が2.9倍、いびきをかく確率が1.6倍高まり、睡眠の質も2.5倍悪くなることが分かりました。
エアコン暖房の場合は加湿器を併用して、冬場の湿度を40%~60%に保ちましょう。
加湿器にはいくつかのタイプがありますが、エアコンとの併用の場合は運転コストが安価な気化式加湿器がいいでしょう。
ただし、カビが生えやすいのでこまめな清掃が必要です。
ちなみにスチーム式の加湿器は、メンテナンスが減る分電気代が気化式と比べて約3倍になります。
また、室内の仕上げが人工材料か自然素材かが自律神経や睡眠時間、翌日の作業成績に影響するという報告もあります。
気のせいではなかった!自然素材のスギ無垢材の部屋の「鎮静効果」!!
伊香賀研究室の研究では、
- 床を木目柄ビニール(天井は白クロス)
- 床と天井を木目柄ビニール(視覚が自然風)、
- 自然素材のスギ無垢材の部屋(視覚も香りも自然)
に男性大学生を振り分け、3泊してもらいました。それぞれの部屋の入室者の就寝前の自律神経を測定すると、自然素材のスギ無垢材の部屋で“鎮静効果”が確認できたのです。
(2)床と天井を木目柄ビニールの部屋でも、鎮静に傾きました。自然素材ほどではありませんが、視覚だけが自然風の刺激でも体に良い影響を与えるようです。
ノンレム睡眠(深い眠り)にも影響が出ました。(3)自然素材のスギ無垢材の部屋に泊まった学生は、(1)床を木目柄ビニール、に比べてノンレム睡眠の時間が平均して20分も長かったのです。
部屋の環境を「偏差値」にすると、5ぐらいの差が出る
さらに、(3)自然素材のスギ無垢材の部屋は、翌日の作業成績も高めました。
(1)の部屋より(3)の部屋に宿泊した大学生のほうが、単純作業(タイピング)では9点、マインドマップ(連想ゲーム)では6点、成績が良かたのです。
これは偏差値でいうと「単純作業では5ぐらいの差」(伊香賀教授)というから驚きです。
温かい家でゆっくり眠って心身の疲れを回復させ、翌日の仕事に備えるとともに、これからもずっと使う“脳神経の質”を大切にする家づくりに取り組んでみませんか?!
注意! 肌の老化を進め、心臓に負担、疲労回復を損なう、電気毛布の使い過ぎ!!
過度な加温は皮膚をカサカサにし、老化を進めます。人は体温を下げないと「深い眠り」につくことができず、外部から温められているため体温が下がらず心拍数が増加します。脳と身体は体温を下げようとして、疲れがとれません。
電気毛布に頼らない家づくりをしませんか!?
21世紀にもなって「寝る前に暑いお風呂で長湯して無理に体を暖め、そのうえ電気毛布で布団を暖めておかないと寒くて眠れない」、という日本の住まいの実情は、おかしいのでないか?と思いませんか。
北半球の先進国では建物全体を暖める24時間暖房が主流となっており、ヒートショックの恐れが少なく、安全で快適な暮らしができます。このような環境をつくるには2つの条件が必要です。ひとつは、しっかりとした断熱。もうひとつの条件は、常時熱エネルギーを供給すること。昼間だけの太陽熱や、夜間の安価な電気を活用しようとすると、「蓄熱」という機能も不可欠なものとなります。株式会社 大東建設では、「蓄熱」機能を利用した設備も扱っております。興味のある方は、ご相談ください。