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「生きる気力」は寒いと沸いてこない[収納の学び舎【第8回】]
「生きる気力」は寒いと沸いてこない[収納の学び舎【第8回】]
暖かい家は前向きでポジティブな人生を呼び込んでくれる!
小説『異邦人』などで有名な作家のアルベール・カミュ(1913-1960)は、『魂の中の死』というエッセイのなかで、寒々とした東欧のプラハから陽光降り注ぐヴェネティアに列車で移動する間に、それまでの暗澹たる気分が消え去り、身体の奥底から生きる歓びに満たされる経験をした、と書いています。
東欧の寒々とした町の重い雲の下で、「もう死ぬしかない」と思っていた人間が、花が咲き、木の葉がそよぎ、鳥がさえずる温暖な気候のなかに身を置くだけで、「ま、どうでもいいっか」というような楽天的でポジティブな気分になってくるものらしいです。
「もちろん、私自身に変化があったわけではない。私は相変わらず孤独だった。プラハで、私は四方を壁に取り囲まれて孤独だった。でも、ここイタリアでは、私は世界と向き合っている。
私は自分の影を四方に投げかけ、私の分身によって世界を満たしている」といい、土地、特に気候の違いによってなんとなくまわりから押しつぶされている感じとなんとなくまわりに自分が拡がってゆく感じの違いがあることをカミュは体験したのです。
また、デュルケーム(1858~1917)という社会学者はその著書『自殺論』のなかで、暖かい南の国にくらべて、寒い北の国における自殺率が異様に高いことを指摘しました。
人間は、寒いと生きる気力が沸いてこないのです。デザインや機能性や価格も重要ですが、住まいのリフォーム計画を立てる際に、「暖かい家」というコンセプトをもっと重要視してもいいんじゃないでしょうか。
私たち株式会社 大東建設では、収納リフォームを通して、「すっきり片づく暮らし」を提案しています。実は、暖房システムをしっかり計画することで、様々なかたちで床を占拠する暖房機器をすっきり無くすことができ、お部屋の整理整頓が一気に解決することにもつながる、ということをご存知でしたか?
例えば、リビングやダイニングを床暖房にすることで、ストーブやコタツが不要になります。季節ごとの片づけもいりませんし、収納スペースも空いてきます。最近では和室も床暖房が可能になっています。
冬が来る前にリフォームをお考えの方は、ぜひ、床暖房などの研究を始めてみてください。
さて、冬に旅行されて、日本旅館に泊まられた経験がおありのことと思います。風情のある老舗旅館ほど、冬の寒さは身にしみますね。
「寒い夜中、辛抱できずに何度も寒い廊下を歩いてお風呂に体を温めにいく」という経験をしたことはありませんか。古い日本旅館の主たる暖房は『お風呂』だということがわかります。
日本人はお風呂好きといわれますが、冬場のお風呂の目的は、「体を温める」ことにあることはまちがいありません。しかし、寒い旅館や自分の家で、体が温まるまで熱いお湯をがまんして長時間つかることのリスクは大きな悲劇を生み続けています。
日本の風呂・トイレは、世界で一番危険
日本の高齢者の溺死率は世界一で、主要24カ国だけでみると日本がその56%を占めているそうです(東京ガス都市生活研究所)。日本の高齢者が特別多く河川で溺死するとは考えられないので、日本特有の寒い季節に特徴的な入浴方法に原因があると指摘されています。
入浴中急死は外国ではほとんどなく、日本人の高温浴(冬季の入浴温度は43度、欧米の入浴温度は40度以下)が誘引と考えられています。入浴中の血圧変動を調査したデータでは湯温が高いほど血圧変動は激しくなることが明らかにされています。
入浴中急死が発生する場所は浴槽内が圧倒的に多く、何と76.6%。続いて洗い場が18.4%、脱衣所4.0となっています。東京消防庁の協力で全国の「入浴中急死者数」の推計を行ったデータでは、年間約1万4000人と推計され、交通事故死の数倍にのぼることが判明しました。
入浴中急死はこれまで、心筋梗塞や狭心症などの循環器疾患が主な原因とされてきました。
しかし最近の研究では、浴槽内で意識を失い、湯におぼれることが主たる原因と考えられるようになりました。
寒い家でのつらさから、身体を温めるために熱い湯で、しかも浴槽に長時間浸かりすぎて体温の上昇を招き、のぼせや湯当たりに似た症状で意識を失い、溺死。あるいは浴槽から出たあとの転倒事故につながっています。
また、夜間のトイレで事故が多いのも同じ理由です。正確には、用を足そうとふとんから出た瞬間から、危険が増します。通常、ふとんの中は35度位の温度になり、電気毛布を使うと40度くらいになります。
一方、冬場の夜間の室温は5~10度しかなく、トイレに行くためにいきなり20度以上の温度差に身をさらすことになります。 さらに、居室より寒いトイレで脱衣することでリスクは一気に高まります。浴室暖房やトイレ暖房は、高齢者のおられるお住まいには不可欠なものです。ぜひ、リフォームの際に導入されることをお薦めします。
日本人は暖房が嫌い?
さて、高齢の方から「暖房は嫌い」という声をよく聞きます。 頭がのぼせる、空気が汚れる、肌がカサカサになる、…でも、これはストーブやエアコンの暖房の現象です。そこで、あらためて床暖房のメリットをご紹介しておきましょう。
床暖房は空気を暖めて暖房するのではなく、輻射熱で暖めるため、空気が汚れず、ホコリが舞いません。
また、温風暖房は過剰な乾燥を招き、皮膚の水分を奪いますが、床暖房は遠赤外線で暖める方式のため、空気の乾燥を引き起こしにくいのです。
(暖房時のお肌の水分量の変化)
このように、床暖房は快適な暖房に不可欠な設備です。そして、床がすっきり使えて、お部屋が広々することは言うまでもありません。
[収納の学び舎【第8回】]
最近は各地で大きな規模の地震が多発し、東海沖や南海沖、関東地方などでの大規模地震が危惧されています。
そこで、今回の特集は地震、火災、台風、水害など、予測のできない災害に対して、日ごろからできる工夫についてご提案します。
まず、災害が発生して避難しなければならないとき、最低これだけは持ち出したいと思うものを、衣食住について書き出し、次にその収納場所を決め、さらに家族の誰もがわかるように確認しあう必要があります。
長期保存できる食料品については、建物の外に収納しておけば、家屋倒壊など最悪の状況でも被害を受けずに取り出すことができます。
最低でも2~3日、できれば一週間ぐらいの食品をショルダーバックにまとめておき、すぐに持ち出せる状態にしておきましょう。
次に、いざという時に誰でも持ち出しやすい場所として考えられるのが玄関や階段下の収納です。非常用品もショルダーバッグのように両手が使えるものが便利です。
【主な非常時持ち出し品】
衣…家族の下着、レインコート、運動靴、タオル、軍手
食…米、みそ、塩、缶詰、梅干、水
住…小形の大工道具、雑巾、ひも、懐中電灯、電池、ライター、ハサミ
その他…救急箱、ビニールシート、ラジオ、時計、貴重品、重要書類
非常用持ち出し品の収納方法と収納場所が決まれば、次に耐震リフォームも考えておきましょう。
まずは、今ある家具や家電製品の転倒防止対策、そして建物の耐震診断と適切な補強工事です。