BLOG
ブログ
【場の複数利用】馬車馬のように働く屋根[1~プランニング⑤]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
雨水(うすい)末候 【草木萌え動く(くさきもえうごく)】
ますます萌え出ずる、弥生
いよいよ春本番、三月の始まりです。旧暦三月の呼び名でもある「弥生」は、もともとは「いやおい」と読み、草木がますます生い茂るさまをあらわしています。
陽光とやわらかな春雨によって多くの植物が萌え出ずる時季であるため、この名前がつきました。
ほかにも百花繚乱となることにちなんで「花見月」や「花月」「桜月」といった美しい別名があります。
冬篭(ふゆごも)りから目覚めるのは、植物だけではありません。動物や虫たちが巣穴のなかからモゾモゾと。あちこちできらめく命の息吹きに、おのずと元気をもらえます。
・今日をたのしむ
【草木萌え動く(くさきもえうごく)】
雨水の末候は、草木萌え動く(くさきもえうごく)
「下萌(したもえ)」や「草萌(くさもえ)」とも呼ばれる、季節ですよ。芽吹きの瞬間をあらわしています。
うららかな日差しに誘われて、新芽の淡い緑色が樹上や地面を染めていきます。
【木の芽おこし(きのめおこし)】
今の時季の雨は、木の芽が膨らむのを促す恵みの雨。「木の芽おこし」や「木の芽雨」という呼び名があります。
【修二会(しゅうにえ)】
我が身の穢(けが)れと罪を懺悔(ざんげ)し、国家の繁栄と五穀豊穣、人々の豊楽を祈念する法会(ほうえ)。
もとは旧暦2月に修めて(=行って)いたことがその名の由来です。三月一日から二週間にわたって行う東大寺二月堂(奈良県)の修二会が有名です。
・季節をたのしむ
【ネコヤナギ】
川辺ではヤナギ科の落葉低木であるネコヤナギが銀白色の花穂を猫の尾に見立て、「ネコヤナギ」の名がつきました。
【場の複数利用】馬車馬のように働く屋根[1~プランニング④]
前回は【間取りの計画】についてのお話をしました。今回は一からプランニングの5回目、「場の複数利用」馬車馬のように働く屋根(他)についてです。
【馬車馬のようにあくせく働く屋根があったって…】
ある空間を間取りする場合、何か他のことにも使えないかなぁ、といつも考えています。寝室は寝室だけ、玄関は玄関だけの機能ではもったいないと思えてしまうのは、私だけでしょうか?
きっと貧乏性なのかもしれません。実際、みなさまのお宅でも、何らかの工夫をして他のことに使っている場合があると思います。
私の場合、部屋の用途をひとつに限定しないことを「一空間(ひとくうかん)多目的用途」などと呼んでいます。名前をわざわざ付ける必要もないのですが、便宜上そう呼んでいます。
この考え方においては、「ただの吹き抜け」や「ただの階段」というのありえません。よくあるのは、吹き抜けに洗濯物干しの機能を、階段にワークショップの機能をもたせるケースなど…という具合です。
その他、究極的な例としては、畑になってしまった屋根というか屋上もあります。屋根本来の役割として雨風を凌(しの)げばいいだけなのに、畑としても働いているわけですから、欲張りというか、まさに馬車馬のように働く屋根ですね。
この「一空間多目的用途」では、空間を限定しないマルチ空間としての面白さがあると同時に、都市住宅における建築面積の狭さの問題も解決してくれるかもしれません。
【空間を使い回す】
【空間を多目的な用途で利用した例を紹介いたします。】
[吹き抜けに物干し機能を追加]
1階のリビングと2階の多目的室を繋(つな)ぐ、階段脇にある吹き抜けには、ワイヤーを張っていつでも洗濯物を干せるようにしました。南側に位置しているので、太陽光と太陽熱がよく当たり、洗濯物の乾きも抜群なのです。ただし、吹き抜け全体を高断熱仕様にしておかないと、窓ガラスに思わぬ結露が発生してしまいます。見える窓ガラスが流れるほどの結露水が発生するということは、壁内にもそれ以上、結露しているということです。
[ワークショップ機能を兼ねた廊下]
吹き抜けの2階部分の廊下に、ワークショップ機能を兼ねさせるのもありだと思います。勉強机を家族の公共のスペースにつくることで、子どもが部屋に籠(こも)らずに勉強することができます。東側に造られた緑豊かな中庭を眺めながら作業や勉強、読書ができるのもお客さまより好評をいただいております。
次回【継続循環する家づくり】中身はリノベしても構造は残す[1~プランニング⑥]にもどる