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障害者も健常者も快適に暮らせる家[快適さを生む「繋ぐ」4]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
初侯 雷乃声を収む(かみなりのこえをおさむ)
秋祭り
「ドン!ドン!」と聞こえてくる太鼓の音に耳を澄ませていると、軽やかなお囃子が風に乗って聞こえてきます。
これからは各地で秋祭りシーズン。その多くは、秋の実りを神さまに感謝し、喜びを分かち合う収穫祭です。
稲の成長を見守った「田の神さま」は、収穫が終わると人里を離れ「山の神さまになると信じられてきました。
そのため秋祭りは、田の神さまを送り出す意味合いも含んでいます。旅立つ神さまにたのしんでいただくため、歌や舞、相撲といった神事の奉納も欠かせません。
来年の豊作を願いながら、神さまと人とがたのしいひとときを過ごします。
障害者も健常者も快適に暮らせる家[快適さを生む「繋ぐ」4]
バリアフリーというと、車椅子の人など障害者のための「手すり」や「段差の解消」などの装置を想像し勝ちですよね。私は何らかの障害がある人でも、健常者と同じように普通の生活を送れる家が、バリアフリー住宅だと思っています。
以前、建主さんに呼吸困難の病気を患っている方がいて、酸素チューブの動線を間取りのなかに組み込んで設計をさせて頂いたことがありました。
これも正にバリアフリーの1つの例だと思います。ですが、私が設計監理及び現場監督させて頂いた家に住んでみると、自然に病気が治り、その後完治したらしいのです。
お医者さんからは、不治の病だといわれていたそのなので、世の中には、不思議なことがあるものだと思いました。
それから、今は健康なのに、将来車椅子を使うときのため、とりあえず手すりを付けておくという方がいます。私の間取り的経済学からいえば、これも無駄な出費だと思います。
右側の壁に手すりをつけたにもかかわらず、体の右側に障害が出たらどうするのでしょうか。将来のために下地を用意する程度にとどめるべきだと思います。
と、30数年前までは、若気の至りでしょうか、そう思っていました。ところが、段差のある場所に手すりを付けた家に住んでいる方は、十年後、二十年後も車椅子が必要にはなっていなかったのです。
将来のために、ホームエレベーターを設置させていただいたお宅では、十数年後、半数近くの方が、車椅子生活になっていたにも関わらずです…
ホームエレベーターの話は、また別の機会にお話させていただきます。手すりの話にもどると、どうも毎日足にかかる負担を、手すりがある程度軽くしていたのだと思いました。
そして、手すりがあると、階段の上り下りや外出が億劫にならず、適度な運動に繋がっていたようです。毎日の足腰を中心にした適度な運動は、筋肉の衰えを軽くし、むしろ高齢者でも鍛えられることも分かってきています。
その筋肉の衰えをとめるだけでも、元気で楽しい老後を満喫できうる手助けになるのです。右側の壁に手すりを付けておけば、身体の右側に障害は出ないのです。
むしろ、全身の障害を予防してくれるのではないかと思っているくらいです。
建て替えや大規模リフォームをする際には、玄関、廊下、階段に手すりを付けるための下地は仕上げ下地壁の以前に入れておくことは
当然計画しています。
むしろ、将来のために下地を用意するのは最低限で、逆にそこまでで終わらしてはもったいないのだと思っています。
【実際に怖い段差と大丈夫な段差】
[できればフラットですが、段差はほんの少しの高さの違いが安全性に影響するのです]
【できれば取り除きたい畳の段差】
段差が小さいと気がつきにくいため、かえってひっかかって危険にさらされることがあります。特に危ないのは和室です。板の間から畳1枚分持ち上げた状態は大変危険なのです。フラットにするか、35cm~40cmほどはっきり持ち上げてしましょう。
【段差をつけるなら思い切り。段数は極力1段に】
どんな段差であっても1cm~3cmくらいでは躓く危険があります。最低でも10cmくらいはほしいところです。実際にはそれでも見えやすい工夫を施していなければ躓きます。小さな段差を数段つくるなら、大きな段差を1段つくるべきなのかもしれません。
【段差などの高さを揃える】
階段で、何よりも危険なのは、段差の高さが違う場合です。踏み板から次の踏み板までの高さを変えることは絶対NG。確実に躓きます。他の場所に段差がある場合も、階段と高さを揃えるとより安全でストレスがなくなります。
【手すりは。下準備だけでもOK】
[将来の対策として今のところ下地だけ準備しておいても大丈夫です]
【応用が利く下地の範囲】
将来家族の誰が手すりを必要になるかは誰も分かりません。むしろ誰もが必要になることを前提にしておかなければならないくらいです。必要な人の背丈や腰から下の高さにより、手すりの高さも変わるので、誰に合わせてもいいように、60~90cmの幅をもたせて下地をつくっておくことをお奨めします。
【アクセスに絶対的に便利なのは回遊動線】
[回遊動線は歩行にも車椅子にも圧倒的に使い易い]
歩行が大変になり、室内の移動もままならないという場合には、動線がくるりと繋がって、各部屋へのアクセスが圧倒的にし易い「回遊動線」の間取りが便利です。
特に玄関、LDK、浴室トイレなど水廻りへの動線は繋げたいところです。車椅子の場合は動線の幅も重要で、車椅子が通れるように75~80cmほど必要になります。