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湯船から[富士山]を見るバスルーム[暮し向き5]
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
大雪 末候 鱖魚群がる(さけむらがる)
年の市と羽子板市(はごいたいち)
スーパーマーケットやデパートがない時代、生活必需品を買い求める人々が向かったのは「市(いち)」です。特に年の瀬には、お正月用品や新年を迎えるにあたり新調したい道具類が集まる「年(歳)の市」が各地に立ちました。
毎年12月17〜19日に開く浅草羽子板市も、元は年の市。江戸時代末期頃から邪気をはね(羽根)返す縁起物である羽子板と羽根がお正月飾りとして人気を呼ぶようになり、今も多くの人で賑わいます。定番は歌舞伎の助六や藤娘といった和の魅力あふれる絵柄。今年話題になった有名人やスポーツ選手をモチーフにした「世相(せそう)羽子板」も登場します。
令和2年、西暦2020年のコロナ禍でも、開催される模様です。
そして、大雪の末候は、鱖魚(さけ)群がる。鱖魚(けつぎょ)とは鮭のことで、鮭が群れをなし、海から生まれ故郷の川へ戻ってくる季節です。
およそ十二月十六日から二十日までのこと。ところで関東以北では、鮭を「しゃけ」と呼ぶことが多いようですが、これは「さけ」が訛った方言だとか。
アイヌの人にとって鮭はカムイチェブ(神の魚)というほど貴重な食料ですが、川の下流に住む人は、漁をするとき上流の人の分を残しておきます。
分け合うこと。そして産卵前に獲り尽くさず、来年に命を繋ぐこと。そんな知恵が暮らしに根づいていました。
湯船から[富士山]を見るバスルーム[暮し向き5]
銭湯行くと必ず壁一面に圧倒的な存在感を撒き散らす「富士山」…の壁画。
まるで目線が遥か遠くまで抜けていくような感じがしますよね。
私が思う理想的なバスルームは銭湯だと思っています。若いときの寝る時間も惜しんで仕事をしなければならなかったころは、機会があれば、いろんな銭湯に必ず行くようにしていました。
壁の富士山を見ながら湯船に浸かってくつろぎ、ストレス解消につとめていたのだと思います。
ただし、長く湯に浸かることはありません。なぜなら私、のぼせ症なのです。
のぼせ症でなければ、いつまで長湯するか計り知れません。オレ以外の家族は全員、超長湯なことからも分かります。
湯上がりには、必ずコーヒー牛乳を飲んだりして湯船にゆっくり浸かる分、楽しい時間を過ごしています。
家のバスルームも単に頭や体を洗うだけの場所ではなく、リラクゼーションの場にしたいものです。
当然、バスルームの設計計画では、ユニットバスやシャワーを選んで終わりでは決してありません。
バスタブからどういう景色を見せられるかが、建築設計の腕の見せどころとなります。
1坪程度のバスルームではさすがに壁に富士山を描くことは無理ですが、バスタブから遠くまで抜ける目線をつくります。
外の景色、坪庭などが眺められるようにすることも一つの方法なのです。
[サイズはいろいろユニットバス]
まずはサイズ選びから
最小サイズは3/4(0.75)坪タイプ、最大1.5坪タイプまであります。一般的な住宅では1坪から1.25坪くらいですが、余裕があるのなら、できるだけ大きなバスルームにしたいところですね。
ユニットバスは大きく分けて、[フルユニットとハーフユニット]
バスルームの特徴に合わせてどちらもよく使用します。
フルユニット
床からバスタブ、、、壁、天井、棚まで、すべて一体型の既製品のお風呂です。ミストサウナやテレビ付きのハイグレードタイプから、低価格に特価したシンプルなものまで、最近のユニットバス業界のバリエーションの豊さには目を見張るものがあります。
ハーフユニット
一方、ハーフユニットは床とバスタブの縁までが一体型なので、上半分の壁や天井は自由に施工することができます。タイルやヒノキなどを張って、雰囲気ある空間をつくるのに適しています。窓も腰から上ならば好きな位置につくることができます。
ハーフユニットの例
たとえば、壁にはヒノキや米杉(ウエスタンレッドシダー)のパネルを張り、温泉宿のような和の見た目や避暑地のロッジのような見た目や香りを演出するのもいいでしょう。外に面した部分に大きめの窓を設置すれば、景観を楽しみながら、ちょっぴり贅沢な入浴ができます。
外の景色を見せる
一面につくられた掃き出し窓から外の景色(田園風景や庭)が見られるお風呂です。床と壁はタイル仕上げ、バスタブはヒノキ製の浴槽です。
湯上がりにはデッキテラスに出て、外の風にあたりながら寛(くつろ)ぐこともできます。
坪庭をつくる
たとえば、大きな窓の外に坪庭をつくり、目線が抜けるようにしました。お施主さんの趣味であるサーフボードを飾って明るく楽しい雰囲気を演出します。ハーフユニットを利用して、壁はタイルで仕上げます。
[目のやり場をつくる]
できるだけリラックスできるように、バスルームに目線の抜けをつくります。
庭がなければ、サニタリーを見せる
バスタブからガラス戸越しに、洗面室とトイレが見えるようにします。洗面室をひとつの風景と捉えた例です。目のやり場ができると意識がそちらにも行くため、実際の広さ以上にゆったりと感じ、寛(くつろ)ぐことができます。
雲の流れを感じる
窓から空に目線が抜けるように設計するには、景色がしっかり見えるように、バスルームを上階に設置します。
晴れた日は、朝っぱらから湯につかりたくなるようなお風呂です。入れば時間を忘れてしまいます。
といいたいところですが、実はわたし、のぼせ症なのです。
あまり調子に乗って、長湯をしてしまいますと、いつの間にかひっくり返ってしまうかもしれません。