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【ベッドルーム⑥】高齢者に優しい寝室(ベッドルーム)は誰にもにも同じく…
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
大寒 次候 水沢腹(みずさわあつ)く堅(かた)し
ヤブツバキ
椿が見頃を迎えています。椿の一種、ヤブツバキが群生する伊豆大島(東京都)では、島をあげての一大イベント、「伊豆大島椿まつり」を催します。
ヤブツバキは10m近くにまで成長する、日本原産の常緑高木(じょうりょくこうぼく)です。
鳥に受粉を媒介させる「鳥媒花(ちょうばいか)」であるため、豊富な蜜でメジロやヒヨドリを誘います。
艶(あで)やかな花と可憐なメジロの組み合わせは、目にもたのしい春の使者です。
【ベッドルーム⑥】高齢者に優しい寝室(ベッドルーム)は誰にもにも同じく…
【ご高齢のお母さまの寝室をどこに配置するか?その結果…】
馴染んだキッチン、窓から見える風景、風通しの良い窓。長年住み慣れた家の中は、極端に言ってしまえば、目をつぶっていても歩けるほどといっても過言ではありません。
でもトイレが狭い、使っていない部屋がある、階段が多いなど改善したい部分が多くあり過ぎて…。
この矛盾した気持ちのため、家の建て替えを躊躇(ちゅうちょ)するかたは、少なくないと思います。
実際、世田谷区のNさんが、ご実家を改築する際にもこのような問題を提起されてしまいました。
お母さま(70歳代後半…ご年齢をお教えいただけないため、施主の息子さんにお聞きしました)とお姉さま(母親からみたら、娘さん)の2人暮らしのご実家を建て替える際、もっとも悩んだのが「お母さまの部屋をどこに設(しつら)えたらいいか?」という点につきました。
お施主さまのご家族も交えて、いろいろな案を考えて、導き出された結果、以前(既存)の家の中でお母さまが最も長い時間過ごされていたダイニングキッチンのあった位置に設えてみることにしました。
ダイニングキッチンに隣接していたトイレ・洗面脱衣室・浴室・トイレの水廻りの位置は変えることなく、寝室とほとんど隣接するくらい近くすることで、すぐに行き来できるような設計プランを考えてみました。
寝室(ベッドルーム)を階下(1階)にすることで、ラクにキッチン・トイレ・浴室に行けます(お母さまのお部屋を元のダイニングキッチンの位置に配置し、もともと1階の水廻りを変えなかったからにほかなりませんが…)
そして和室だった寝室(ベッドルーム)を洋室にしました。お母さまはまだまだ全然元気でしたが、もしも介護が必要になった場合の介助行為のし易さも当然ながら考慮した結果です。
お姉さまのベッドルームは2階なのですが、「寝室(ベッドルーム)にいらっしゃるお母さまの様子や気配が分かりやすいようにしてほしい」とのお母さま、お姉さまのご要望をいただいておりました。
それらのおご要望をお聞きした上で、お母さまの部屋の建具(ドア)を引戸にし、玄関ホールの吹き抜けを介して音や気配などが感じられ易いように計画してみました。
窓はなるべく以前と同じ場所に設え、窓から見える景色などが変わらないことで精神的な安心感が得られるようにと考えてみました。
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【長く馴染んできた場所を寝室(ベッドルーム)に】
[改築リフォーム前]
お母さまの長くお気に入りだったダイニングキッチンを寝室(ベッドルーム)に
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[改築リフォーム後]
トイレなどの水廻りの位置は以前と同じ場所にしたので、寝室(ベッドルーム)からの動線は良好となりました。窓から見える景観なども以前と変わることなく、精神的な安心感があり、寛(くつろ)ぐための縁側も設えさせていただきました。
【ご高齢の方にとっては布団よりベッドのほうが身体への負担は軽くなる???】
[布団の場合]↓
【ベッドの場合】↑
でも…長い目でみたら…
《ベッドと布団とどちらがラク?》
ベッドでは寝ている状態から起き上がるのが、ご高齢者の場合、特にラク。布団の場合と比較するとバランスの原理から、腕や腹筋の力をあまり使わずに起き上がることができます。ただし、筋力を維持し続けることを考えると、そちらのほうはあまり期待できないと思います。
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高齢者の寝室(ベッドルーム)というと「畳の部屋と布団が落ち着いていいのでは?」と考え勝ちですが、実は高齢者こそベッドのほうがいいのです。
寝る、起きるという動作はベッドのほうが負担が少ないからなのです。布団は毎日敷く、片付けるという作業がありますが、ベッドならそれもいりません。
「畳に布団」では、長い時間寝ていると腰が痛くなることもあると言います。
また、高齢になると階段の昇降がつらくなるので、ベッドルームの位置はできれば1階に配置したいものです。
というのは、昔の考え方で、以前はそのようにいわれ続けてきました。ところが、どうもそれは違っているようなのです。布団から起き上がるときや、布団の上げ下げは高齢者に負担がかかるというのは、まるで逆なのです。
筋力は、ある程度毎日少しずつでも負担を掛け続けていなければ、維持することはできません。ですから、布団から毎日起き上がる動作や布団の上げ下ろしは、筋力維持には最も適しているのです。
ご高齢者には階段が負担になるので、できるだけ寝室は1階にというのも幻想だと思います。なぜなら、毎日若い頃から、少しだけ緩やかで連続手すり付きの階段を昇降されている方は、ご自分の脚でいつまでも歩くことができる方が明らかに多いのです。
以前から、何度かお話させていただいていますが、ホームエレベーターを設置したために、ほとんどのかたが車椅子生活になってしまったことを…
それは、私の若気の至りなので、あまり話したくはないのですが、軽度の筋力不可は継続的にかけ続けなければ低下は免れないのです。
毎日、ジョギングや歩きを続けられている方のほうが、明らかに健康だと思いませんか?
毎日、お出かけされている方のほうがいつまでも健康で若々しいと思いませんか。まわりの方をもっと観察してみてください。その理由がお分かりいただけると思います。
逆に、暖かい部屋から寒い廊下やトイレなどに出た際の急激な温度変化で、身体に負担がかかることは、できるだけ避けたほうが、いいと思います。
温度の負担は高齢者にとって命取りとなります。こちらは筋力維持とはまったく違う構造となっているようです。それらを考慮すると、トイレをベッドルームの中に設けたり、隣接させるのもよりベターな方法だと思います。
ベストはなんといっても床暖房なので床から家全体を温めたり、床壁天井の断熱を十分にして、同じく家全体を温め、温度のバリアフリーを実現させることたと思っています。
その他、寝室にいる時間が長くなることも考慮して、日当たりと風通しの良い場所に設えるのもお奨めです。窓から緑が見えれば気持ちも晴れやかになり、精神的な安心感が得られます。
簡単に外に出られるような縁側やテラスがあるのも理想的だと思います。
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【間仕切り壁の防音に手を抜いてはいけません】
寝室の隣に洗面室やトイレ、浴室などのサニタリーを設けることはお奨めの動線ですが、十分に考慮して音対策をしなければなりません。
間仕切りを図のような防音性能の高いものにして、静かな環境で精神的な安心感、安らぎを得られるようにしましょう。
もうひとつ、最後に音の配慮について触れておきたいと思います。防音には必ず配慮しなければなりません。なぜなら騒音や雑音が日常茶飯事の部屋では、精神的な安心感を得ることができないからです。
寝室の隣にサニタリーやトイレなど水廻りがある場合は間仕切り壁を遮音性の高いものにすることをお奨めいたします。