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床の間からトイレの音が漏れてくる和室【和室CASE 5】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
大暑 次候 土潤いて溽し暑し(つちうるおいてむしあつし)
土潤いて溽し暑し(つちうるおいてむしあつし)
大暑の時期らしい七十二候の季節がこの、土潤いて溽し暑し(つちうるおいてむしあつし)です。七十二候の名前をすべて並べてみて、もっとも暑そうなのが、この候です。
ムワッと湿気のこもった熱気が、いまにも地面から湧き上がってきそうです。想像しただけでもくらくら…としてしまいます。まとわりつく熱気で蒸し暑いころという意味で、およそ7月27日から8月1日ごろのことです。
床の間からトイレの音が漏れてくる和室【和室CASE 5】
またまた今日も母娘(おやこ)連れのお客さんが相談にやってきました。今回はどんな相談事を持ってくるのか愉しみです。
m 客間と水回りの位置関係って悩むよね。
d 和室の押入れの後ろ側に水回りが集まっている間取りをよく見かけるよね。
m 近くて使いやすそうだから便利だと思うわ
① トイレの音が客間に漏れやすい。
② 紙巻器の音や振動が客間に伝わりやすい
③ 隣を洗面室にしても、洗濯機・ドライヤーの音が客間に伝わりやすい。
d この間取りPLAN A・Bもそうだね、客間の後ろに水回りが集まっているわ。両方とも床の間を介して水廻りと隣接しているけれど、音漏れの心配はないのかな?
m 床の間は部屋じゃないし、壁1枚だからきっと音漏れすると思うよ。
d そうよね。トイレの排水音は大きいからね。間取りPlan Bは洗面室が隣接しているけれどどうかしら。
m 私の家は女の子が多いからお風呂が長くて、夜も遅いの。
ドライヤーや洗濯機の音も問題ね。
d 母の寝室にしようかと思っていたけれど、それじゃトラブルのもとになっちゃう。
m d 何か簡単にできる対策ってないのかしら?
【解決策・処方箋】
水廻り空間の音は遮音壁で遮断する
今回の間取りは、客間と水廻り空間との位置関係が問題となっていますが、客間を応接、法要などに使うほか、両親が宿泊する可能性もあると解釈して検討してみましょう。
① 紙巻器を浴室側へ移動
② 床の間と押し入れを入れ替え
押入れ内部の布団などが遮音効果を発揮してくれる。
(ただし、一般的な並びとは異なるので確認が必要。)
③ 床柱をこの配置の場合は丸太にしないほうがよい。
④ 紙巻器を浴室側へ移動。
⑤ 仕切りを遮音性の高い壁にする。
(二重壁にして、遮音性を高める方法も可)
間取りPlan Aでは、床の間とトイレの位置関係が問題になっています。トイレは視線や音漏れなどに対して、最も配慮すべき空間です。特に1階のトイレはお客様も使用しますので、間仕切り壁1枚で居室と仕切ることはやめましょう。紙巻器の配置も壁を通じて音が伝わるのでよくありません。
間取りPlan Bでは洗面室と隣接しています。洗面室は、日中はトイレ程には頻繁に使いませんが、朝と夜に比較的長い時間使われます。特に夜は入浴の準備やその後のヘアセット等で音が発生します。昨今、共働きや室内干しの影響もあって、夜間に洗濯を済ます家庭も多いため、洗濯機の音も長時間発生します。そのような空間とも間仕切り壁1枚で仕切ることは避けたほうがいいでしょう。二世帯同居となると、子どもを含めた3世代の生活時間が大きく異なり、日常の生活音がトラブルの原因になることが大いに考えられます。
間取りPlan Aの処方箋では押入れと床の間の位置を入れ替えました。押入れに布団等が詰まっていれば遮音効果は見込めるでしょうが、そうでない場合は、間仕切り壁を遮音壁仕様にしましょう。また、この場合は通常の床の間の配置と逆になるため、事前に施主への説明が必要になります。さらに、床柱を丸柱にした場合、引き違い襖が丸柱の中心線より前側で納まって、丸柱が綺麗に見えませんので、角柱にしてください。紙巻器は浴室側に位置を変更しています。プランをそのままにして対策するには、間取りPlan Bの処方箋のように、床の間の壁を遮音効果の高い壁にして、さらに床の間の奥行を調整して2重壁にするなど万全な対策をとるとよいでしょう。