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No.17 対症療法のツケ(2006.10.28)
部分的に考えたり、分解して修理したり、治療したりすることの弊害を最近よく目にします。悪く言えば目先に囚われていると言うか、付け焼刃。よく言えば科学的とでも言えるのでしょうか。
例えば、その部分だけにしか目を向けないために、いくら治療しても治らないストレス性の歯痛や胃炎等。
糖尿病を治すためにはバランスの取れた栄養が必要なのに、血糖値を下げるしか能がないため、無理な食事制限だけを要求するお医者さん。
散歩等の適度な運動は、健常な生活を送るためには不可欠にも拘わらず、心臓に負担をかけるからと安易に安静をとなえる先生と呼ばれる人。
全てにおいてこのようなことは、まかり通っていて、私達の建築業界でもあたり前のように行われています。
戦後、すきま風が寒いからとアルミサッシにして、外壁も風が浸入しないように、土壁や板張りから、サイディングやモルタル吹き付け壁に代わりました。
これらは、必ずしもすきま風を防ぐためだけではなく、人件費が高騰していく中で、養生や手間がかかり過ぎてしまうのにも原因がありました。
ただ、やはりこれも対症療法の典型的なものであったため、日本の住宅の寿命を極端に短いものにしてしまいました。
高温多湿の日本の気候を無視しまい、すきま風の入りにくい家は結露を発生させる家をつくり出してしまいました。
すきま風のない家をつくることはある意味必要だったのかもしれませんが、やはり部分的にしか見ていなかったことが最大のミステークでした。
すきま風が入らない家は、風が通らない家ですから、風に代わって湿気を抑えたり、除去したりするものを考えなければなりませんでした。
それどころか、ビニールクロスやビニール床等の、調湿を妨げるもので家中を包んでしまいました。
フローリングや内壁の板張りも、新建材は木でつくられているようですが、呼吸のできない塗料がかけられているので、それもビニールで包まれているのと同じです。
住宅の対症療法は、カビの生える、腐ってしまう家を日本中につくってしまいました。
この腐る家は現在大変な難問を抱えています。
シックハウス症候群によるアレルギーが蔓延し、腐る家をつくっていながら、外からの水(雨)や、白蟻の被害にはやたらと敏感で、ペンキや防蟻剤のような人体に有害な物質が平気で使われてきました。
言うまでもないと思いますが、アスベストの問題も対症療法から発生したものです。
電磁波と癌との因果関係もWHO(世界保健機構)がやっと重い腰をあげて発表したようです。
数年のうちには日本でも大変な騒ぎになるかもしれません。(おそらくアスベストのように・・・)
電気を使わない生活はやはり考えられないと思います。
ですが、その便利に支払われる弊害の対策もしなければ取り返しのつかないツケがまわってくるのも間違い無いようでうす。
(2006年10月28日のメルマガより)