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貴重な電気を必要なだけ使うためには?①
貴重な電気を必要なだけ使うためには?Ⅰ
みなさま、お元気でお過ごしでしょうか。
今回は、「ハンドドライヤー」についてお話させていただきたいとおもいます。
便利だけど「ハンドドライヤー」は細菌だらけ
「ハンドドライヤー」って、お店や、高速道路のサービスエリアのトイレなどに置かれている機械です。用をたして手を洗ったあと紙や布などで拭くのではなく、電気で温風を吹き出してブオ~ッと乾かしてしまうヤツです。
ちなみに、3310名の医師に対して、この「ハンドドライヤー」を使うかどうかのアンケートをした結果があります。それによりますと、医師の7割が、「使わないほうがいい」ということでしたが、その理由は……
お医者さんの7割が使わない!
じつは、この「ハンドドライヤー」なるもの、わたしは、いままでさんざん使ってきました。ハンカチを忘れたときなど大変便利だし、ペーパータオルなど使い捨てのものは環境破壊に繋がります。濡れた手を乾かしてしまうのは、衛生的にいいのはないかとも思っていました。
ところが、やはり……という事実が、最近少しずつ、世界各地で分かってきたんですね……
ところで最近、この「ハンドドライヤー」なる装置がやたらと増えてきました。そう思いませんか?
ところが、じつは、医師たちの多くは、この「ハンドドライヤー」については、あまりいい気持ちを持っていません。
清潔感を最も大事にしなくてはならない職業にお医者さんがあります。そのお医者さんたちに聞いた、膨大な数のアンケート結果があります。それによると、なんと「7割の人がこのハンドドライヤーは使わない」……と、答えているんですね。
その理由は、あとで、お話します。
彼らはよく知っています。そりゃ、そうですよね。もし病院などの診療現場で、少しでも安全性に問題があれば、自分の立場上、大変なことになりますから。
とにかく、いま、この「ハンドドライヤーの世界」に何が起こっているのでしょうか。
「世界」なんて言うと、ちょっと大げさですが、こうしたところからも、「わたしたちの世界」がよく見えるものなんです。
「ハンドドライヤー」が危険なわけ
ニコール・ワードさんは、「ハンドドライヤー」に、培養実験用のシャーレ皿を入れ、わずか3分後に(!)そのシャーレ皿を取り出したと言います。わずか3分後ですよ。だけど、そこにはなんと真菌とバクテリアがぎっしり詰まっていたんですね。
彼女の正体は、アメリカのカリフォルニア州・カールスバッドの大学生で、看護プログラムを専門にしています。
この人は、2018年の3月、ご自身のフェイスブックに、ある実験結果を載せています(出所:「自然宇宙:TOCANA」2018.03.17)。
・その実験とは……。
「ハンドドライヤー」に、培養(ばいよう)実験用のシャーレ皿(培養実験で用いられるガラス製の平皿のこと)を入れ、わずか3分後に(!)そのシャーレ皿を取り出したというものでした。
わずか3分後です。
だけど、そこにはなんと真菌(カビの仲間の総称です。普通、原虫よりは小さく、細菌よりは大きいものを指します)とバクテリアがぎっしり詰まっていたんですね。
ニコールさんはその「あまり気持ちのいいものではない写真」を、人々に警告するために投稿したわけです。
最初の投稿時には、この実験に使った「ハンドドライヤー」の製品名も明記したのですが、あとで企業の圧力なのか、そのブランド名は削除されています。でも、このブランドの名前をあえて言いますと、……それは……
「ダイソン」製でした。
先述したように、このときの、ニコールさんの取った実験方法は、ごく簡単なものでした。公共トイレの「ハンドドライヤー」に、フタを開けたシャーレ皿をわずか「3分間だけ」貼り付けておいたものです。
彼女の言う「ハンドドライヤー」とは、よくトイレの壁に設置されていて、上から手を差し入れて乾かす「あれ」です。よくありますよね。
こうして投稿した彼女の映像は、いままでに50万回以上共有されたと言います。この結果に、なにより、彼女自身が一番驚愕(きょうがく)しているようです。
それほど、多くのかたも、この「ハンドドライヤー」については、ふだんから危惧していたのかもしれません。
もちろん彼女は、「これからは手をよく洗って布で拭くか、自然乾燥することにします」などと述べていました。
まあ、こういう現実を知れば、そうなるのは当然でしょうね。わたしも既にそうしています。
そして、その製造元のスポークスマンは、この結果について反論しています。まあ、彼らの立場としては当然でしょう。
彼らが言うには、細菌のような小さな粒子をとらえる「HEPA(高効率微粒子除去)フィルター」なるものが付いているから安全である……というわけですね。
もし、彼ら企業の言うとおりだとしても、上記のような実験結果が、現実に出ているとするなら、そのフィルターは完全だとは言えません。
・トイレ内のどこよりも、はるかに多くの細菌が…
それに、もう一つ。
2018年4月、アメリカの科学誌で発表されたものですが……。
2018年の4月に、アメリカの科学誌「応用・環境微生物学」(オンライン版)に発表された研究によりますと、コネティカット大学の研究者チームが大学内にある36カ所のトイレを調べたというわけです。
まあ、いろいろな「研究」があるものですね。
そして、トイレのさまざまな位置に「培養皿(ばいようざら)」を置いて細菌の数を調べたというわけです。
その結果、この「ハンドドライヤー」から吹き出される温風には、トイレ内の空気中よりも「はるかに多くの細菌」が含まれていることが分かったと言います。
「とくにフタのないトイレの場合は、水を流す際に、排便に含まれる細菌がいくらか空気中に飛散する」……と、この論文の著者であるコネティカット大学のピーター・セトロー教授(分子生物学・生物物理学)というかたが、この掲載誌に話したようです。
・研究室などにしかいないはずの細菌までが…
そして、とくにこうした大きな建物のトイレには、大勢の人間が出入りすることなども、事態を悪化させているようです。
わたしもよく利用している、カフェやショッピングセンター、公共の建物などは、まさにこの部類に入ります。
そのため、「ハンドドライヤー」は、多くの人が使うトイレの細菌を含んだ空気を取り込み、高速で吹き出す……と言うわけです。
これじゃ、この近くにも寄れません。
そして、今回の研究によりますと、本来は研究室にしか存在しないはずの「PS533」(遺伝子操作によって無害化した枯草菌・こそうきん)というものが、どのトイレでも見つかったようです。
恐らく、研究室から、研究棟全体にこの菌の胞子(ほうし)が飛散(ひさん)したのだろうと、セトローさんは言っておられます。
このチームによりますと、「ハンドドライヤー」も、その飛散原因の一部になりかねないと言います。
大変、長くなってしまいました。この続きは次回お話したいと思います。