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伝統的な民家は『日本住文化』の結晶ですⅤ
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
立春 末候 魚氷に上る(うおこおりにのぼる)
寒天の日
2005年(平成17)年2月15日の今日、テレビの全国放送で寒天が健康食品として取り上げられました。その後、世は空前の寒天ブームに。
これを記念したのが「寒天の日」です。
テングサなどの紅藻類(こうそうるい)を煮溶かして固めたトコロテンを凍らせ、乾かしてできる寒天が生まれたのは江戸時代初期。
厳冬の折、戸外に放置していたトコロテンの変化に気づいた宿屋の主人が製法を研究し、売り出しました。
やがて江戸時代後期に寒天づくりが信濃国諏訪地方に伝わると、冬場の気温の低さも相まって一大産地に。
なぜか知り合いに長野県出身の人が多いので聞いた話です…。今も寒天の生産量は長野県が全国一位です。
そして、立春の末候は「魚氷に上る(うおこおりにあがる)」となります。
意味は、だんだん暖かくなってきて、湖や川の氷が割れ、魚が跳ね上がる季節を言います。およそ2月14日~18日までのころです。
そして割れないまでも、春先の薄く貼った氷のことを、薄氷(うすらい)といいます。
2月半ばと言えば、 まだ寒さが続きますが、立春を過ぎればもう春なので、寒の季節は終わり余寒となります。
夏でいえば、残暑のようなものです。この時期の寒さに相手を思う余寒見舞いがあるのですが、余寒見舞いは、立春から二月末までに送ります。
伝統的な民家は『日本住文化』の結晶ですⅤ
重要文化財指定民家
幾世代にもわたり風雪に耐えてきた日本の民家が、社会構造や生活様式の変化のなかで取り壊され、失われようとしています
伝統的な日本の民家は、地元に育った木と地域の人々の技術で造られた住いであり、「日本の住文化」の結晶といえます
旧名手本陣 妹背(いもせ)家住宅
所在地:和歌山県紀の川市名手市場 指定物件:主屋、米蔵、南蔵
建設年代:主屋居室部=享保3年(1718年)、主屋座敷部:延享2年(1745年)増築
特徴等:大庄屋兼紀州藩の本陣を努めた住宅 所有形態:私有
妹背家はもともとこの地方の土豪で江戸時代には大庄屋を世襲的に努めました。
屋敷のある名手場(なでいちば)は大和街道沿いの町で、土塀を廻らせた敷地は大和街道に面し南面の御成門を入ると、左手西側寄りに入母屋造り・桟瓦葺の主屋が、正面の玄関式台や土間入り口を南面して建っています。
居室部は西側に土間、東側の床上部は喰違四間取りで一間巾の畳敷入側(いりがわ)縁を廻らせています。増築の座敷部は居室部の背面東側に角屋で取り付き東側を正面とします。
北端の首座は床・棚付で一間巾の入側縁が付いています。妹背家は宿場本陣の遺構として、また主屋の建築年代が明らかであり貴重な文化遺産です。
すまいかた教室★大切にしたい住まいとまち
大きな建物の残し方
建物は中にいる人やものを雨や風、暑さ、寒さなどから守っていて、そのため常に自然の脅威にさらされています。
このような建物を残していくには、いろいろな方法があります。
たとえば、古い木造の建物で有名な奈良の法隆寺などは、悪いところを直しながら千年以上も当時の姿のままで建っています。また、岩手県の中尊寺金堂のように、建物をすっぽり覆うように建物をつくって、風雨などをあてないようにして保存する方法もあります。
建物すべてを残すのではなく、外観だけ、または1部屋だけ、と部分的に残すこともあります。さらに、建物を他の場所に移して残すこともあります。木造の場合は、いったん梁や柱などをていねいに取り外して解体し、移動先の場所で組み立て直します。
こうして、いくつかの価値のある古い建物が1か所にまとめられ、一緒に保存されている地区があります。
たとえば、明治期の文化を代表する建物を集めた愛知県犬山市の博物館明治村、江戸時代から昭和初期までの建物を集めた東京都小金井市にある江戸東京たてもの園などがそれです。
外観や内部のインテリアも、できるだけ使われた時代のものを残し、一般の人びとが身近に見られるようになっています。
ビミョーな言葉研究★日本語のセンスを磨こう
今回2021年2月のビミョー…上がる・揚がる・挙がる
下の2例はどちらも使いますが、意味にビミョーな違いがあります。さて、どう違うのでしょう? 答えは最後に♪
(1)「効果が上がる」と「効果が挙がる」、 (2)「手を上げる」 と「手を挙げる」 ・・・つまり「上げる」と「挙げる」の違いとは?
ともかく「上がる」は多義的です。そして「上がる」とも「揚がる」とも、どちらも使う場合もあります。
例えば「花火が揚がる」は、辞書によっては「上がる」を使っています。「歓声を揚げる」も「歓声を上げる」とも書きます。
「揚がる」と「挙がる」はどんな場合に使うかをマスターし、それ以外は「上がる」にするという方法がいいかもしれません。
●上がる(上げる)
移る(低い所から高い所へ) 【例】2階に上がる・荷物を棚に上げる
高まる(程度・価値・数値・値段) 【例】営業成績が上がる・税金を上げる
進む(上の段階に) 【例】小学校へ上がる
入る(建物の中に) 【例】どうぞお上がりください
出る(水の中から) 【例】風呂から上がる・プールから上がる
終わる(完了する) 【例】原稿はきょう中に上がる予定です
●揚がる(揚げる)
空中に高く向かう/高く掲げる/水中から陸に移る 【例】たこ揚げ/国旗を揚げる/いかりを揚げる
天ぷらやフライなどがほどよく熱が通ってできあがる 【例】天ぷらがカラッと揚がる/揚げ出し豆腐
●挙がる(挙げる)
はっきりわかるように示す/列挙/意思表示/事を起こす。【例】手を挙げて意見を言う(挙手)・例を挙げる(列挙)
※京都市内では北へ行くことを「上がる」、南へ行くことを「下がる」と言います。御所が北にあったことからだそうです。
では、問題の解答です。
「効果が上がる」の「上がる」は、アップするの意。「効果が挙がる」の「挙がる」は、出る・残すの意。
「手を上げる」の「上げる」は、ホールドアップや殴るの意。「手を挙げる」の「挙げる」は、挙手の意。「怒って、子供に手を挙げてしまった」では、へんな親になってしまいます。