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[古きをたずね、新しきを知る 昔の家と今の家「温故知新」1]

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今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。

立冬 初候 山茶(つばき)始めて開く

山茶(つばき)始めて開く

今日から立冬です。

立冬の最初の七十二候は、山茶(つばき)始めて開く。

山茶とは中国でツバキ科の花を指し、山茶花(さざんか)の花が咲きだすころという意味です。およそ十一月七日から十一日ぐらいまでですね。

山茶花(さざんか)は古くから日本に自生する花で、もともとは白い、一重の花びらが五枚ある野の花でした。

やがて赤、ピンク、絞り、八重咲き、とさまざまな品種が生まれ、江戸の初めには園芸品種として愛でられるようになりました。

椿と似ていますが、散り方がまったく違います。椿は花が丸ごとボトッと落ちますが、山茶花は一枚、一枚花びらが舞い散ります。

ちなみに、つばきの花言葉は、「完全な愛」。さざんか(山茶花)の花言葉は、「ひたむきに愛します」。

椿の英名は「カメリア」。常緑樹で冬~春にかけて光沢のある厚みのある葉っぱに、赤や白のぽってりとした花を咲かせます。

19世紀のヨーロッパでは一大ブームが起こり、文豪アレキサンダー・デュマの「椿姫」はあまりにも有名ですよね。

ヒロインは1ヶ月のうち、25日間は白い椿を、残りの5日間は赤い椿を身に着けて社交界に登場していました。

山茶花(さざんか)。サザンカの生け垣にたき火の煙といえば、かつては住宅街の風物詩でした。

    【たきび】
「さざんか♪さざんか さいたみち 

たきびだ たきびだ おちばたき♪

あたろうか あたろうよ♪ 

きたかぜ ぴーぷーふいている♪」

幼稚園などで一度は歌ったことはありますよね。

 

[古きをたずね、新しきを知る 昔の家と今の家「温故知新」1]

 

【昔の家】

 

すごく昔の家

江戸時代以前からの昔の家

 

【昔の家と今の家との違い】

現代の家は地震でも傾かない耐震構造となっていますが…というか、建築基準法で最低限決められた耐震構造としなければ建築することは原則として許されません。

では昔の家は耐震構造ではなかったのでしょうか?ちょっとした地震が来ただけでも、倒壊していたのでしょうか。そんなことはありません。昔の家は地震の力をいなす免震構造を地震対策として採用していました。

地震がくれば、揺れますがもどる力を利用して地震を和らげるのです。免震構造で、傾いてももとに戻り、倒れない工法だったのです。昔の建物に使用されている建材は、茅(かや)で葺(ふ)いた屋根や土壁などほとんどすべてが自然素材でした。

エアコンやストーブなどの冷暖房製品などなく、当時は夏の涼しさを旨としていたため、基本的には、建物全体の気密性が低く、冬は朝など家の中で吐く息が白く(結露)なるほど寒かったのです。

その上、昔の家は部屋を仕切る襖(ふすま)や障子などを開け放てば、冠婚葬祭などで大部屋としても使用することができました。
かまどのある大きな土間も特徴的です。

構造  ※1曲げ系(このあとに詳しく説明)

断熱  基本的に冬の対策はなし※2

屋根  主として茅葺き

間取り 部屋の用途を限定しない

収納 押入れと納戸のみ

キッチン 土間

トイレ  家の外

【今の家】

 

現在の家

昔の家に見習うべき今の家

 

【昔の家から見習うべきこと】

家族が集まる土間空間は、現代の家から消えてしまいましたが…。さまざまなことができて、現代の家造りにでも、工夫をすれば大変面白い空間に十分成り得ます。

温故知新、復活させたい住宅空間のひとつです。

なぜならば、私たちは2LDK、3LDKなどと部屋数にとらわれがちですが、これからの住まいは、個室にこだわらない開放的な間取りも考えたいものです。

その他にも、土壁などの自然素材を使った家づくりや、室内の熱を排出するハイサイドライト(越し屋根)の文化などは見習いたいどころか、亡くしてしまってはならないものだと思っています。

  • 構造  ※2軸力系(このあとに詳しく説明)
  • 断熱  あり
  • 屋根  瓦、金属系などさまざま
  • 間取り 部屋ごとに用途を限定
  • 収納 部屋ごとに収納を設ける
  • キッチン 床上
  • トイレ  家の中

【曲げ系と※1軸力系建築構造】

同じ木造住宅でも昔の家と今の家では構造上、地震対策が大きく違います。

 

 

昔の家の構造

昔の家の構造はゆるゆるで力をいなす柔構造

[昔の家は曲げ系構造]

伝統工法(民家型工法)は、筋交いのない「曲げ系」と呼ばれる構造です。地震の際には、力を受け流して維持するという理論で、20分の1の歪みまで許容範囲です。

家が倒壊しなければ、人命は助かるという考え方で一種の免震構造ともいえます。実際に地震で家が傾いてしまった場合は、ロープなどを掛け建物を垂直状態に起こして直します。

今の家は軸力系

現在の家は柱梁土台をガチガチに固める軸力系

 

今の家は※2軸力系

一方、現代の木造住宅は「軸力系」の軸組在来工法でつくられています。これは、柱、梁、筋交いという3つの軸をしっかりと固定し、家を歪めないようにする構法となります。歪みの角度を120分の1以上にならないように施工します。

ただし、建築基準法では、耐震力は基本的に耐力壁の数や配置で計算されています。

【曲げ系(昔の家)

  • ・伝統構法(古民家型構法)
  • ・制震工法(柔(じゅう)構造)
  • ・地震の際、1/20の歪みまで許容範囲
  • ・地震で曲げながら人命は助ける
  • ・歪んでも建物を起こして直す

【軸力系(今の家)】

  • ・軸組在来工法
  • ・耐震構造(剛(ごう)構造)
  • ・地震の際、歪みの許容最大値は1/120まで
  • ・歪まないよう基礎と梁、柱をホールダウン金物等で緊結

by株式会社 大東建設 阿部正昭

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