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【できるだけエネルギーを使わずに、住まいの涼しさを極める】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
旧暦 季節 二十四節気 春分 次候 桜始めて開く
さくらの日
日本人が最も愛する花、桜の盛りが近づいてきました。日本中の「まだかな、そろそろかな」というワクワクに応えるかのように、桜前線が北上しています。
今日はさくらの日です。七十二候の「桜始めて開く」にあたることと、「咲く(3✖️9)=27(日)」の語呂合わせから制定されました。
桜前線は、全国各地の桜(おもにソメイヨシノ)の開花日をつないだ線です。各地の気象台が観測している「標本木(ひょうほんぼく)」が5〜6輪以上ほころべば、いわゆる「開花宣言」となります。例年通りならば、桜前線が九州と四国を通過した頃、ソワソワと待ち侘びているにもかかわらず、いざ「開花!」と聞くと、どこか寂しさを覚えもし、我ながら勝手なものだと苦笑いです。
私たちを一喜一憂させる桜前線は、ソメイヨシノのある特徴によって成り立っています。それは、日本全国、津々浦々にある樹木すべてがクローンであることです。
ソメイヨシノは、江戸時代末期に江戸駒込の染井村(現在の豊島区駒込あたり)で栽培がはじまりました。葉が出る前に花が咲く美しさと華やかさが、人々の心を掴(つか)んだのでしょう。明治時代に入ると、各地の自治体が植えるようになります。ソメイヨシノ同士では受分しないため、接ぎ木や挿し木によって数を増やしました。その結果、すべてが同じ遺伝子となり、気温や気候といった条件が整えば、遠い場所に植えた樹でも同じタイミングで開花するのです。桜前線を形づくることができるのも、そのためです。
ため息の出るような満開の桜並木も、散り際の桜吹雪も、人と桜と自然とが力を合わせてつくり上げた風景なのですね。
【できるだけエネルギーを使わずに、住まいの涼しさを極める】
少し気が早いかもしれませんが、温暖化の進む昨今、4月を目の前にして、この夏も猛暑の予感がします。
ところが、そんな日々でも涼しく過ごす知恵があります。
今回は、エコの視点でできるだけ自然以外のエネルギーを使わず、住まいの暑さ対策~パッシブクーリングを考えてみたいと思います。
涼しさを暮らしに取り入れる処方箋☆Eco1~朝の冷気を「蓄冷」する
まず最初の取り組みは、朝の冷気を住まいの中に取り入れる、ということです。夜明け前から朝にかけての空気や吹く風は、その日に一番冷たく、清んでいるものです。フィトンチッドやマイナスイオンなど、もっとも多く含んでいます。
これは、雲のない晴れた夏の夜に起きる「放射冷却」という現象によるもので、よく晴れた冬の朝が厳しい冷え込みになるのと同じ現象です。
逆転の発想から、冬の朝は大変つらいものですが、逆に、夏の放射冷却はありがたいものなのです。
昼間がどんなに猛暑であろうと、また熱帯夜といわれようと夜空に雲さえなければ、夜中から明け方にかけて地表の熱気が宇宙のかなた(絶対零度の無限空間)に向けて放射されるため、気温はぐっと下がります。晴れた夏の朝の夜明け寸前ぐらいに、外に止めてあった自家用車のボンネットやフロントガラスを観察してください。指でなぞるとわかりますが、うっすらと結露しているはずです。
この無料の冷気を逃す手はありません。早起きをして、窓を開け放って冷気を取り込み、
建物全体の熱気を放熱しましょう。
また、「アクアレイヤー」という水蓄熱システムは、この冷気を床下に設置した水の袋(アクアセル)に「蓄冷」することによって、「水まくら」のように昼間の温度上昇を抑えるものです。
あまり知られていませんが、水は同じ分量のコンクリートや石の2倍の蓄熱容量があり、重さは5分の1という優れた特性を持つ物質です。しかもどこにでもあり、どこに捨てても安全。
下の図は、夏の日差しをしっかり遮熱した高性能住宅にアクアレイヤーを組み込み、クーラーをまったく使わずに一日の室温変化を実測したデータです。
早朝22℃だった外気温は、午前9時前には36℃を超える真夏日となりました。
明け方の水温26℃から日中最高28℃と、わずか2℃しか変化しないアクアレイヤーの影響で、室温は外気の影響を受けずにゆっくりと上昇し、ピーク時の数時間はエアコンが欲しくなる温度になりますが、大半は許容範囲に収まっていることがわかります。
大幅に熱容量を増やすことで、「放射冷却」という自然現象を利用して涼しく暮らせる住宅になりました。
涼しさを暮らしに取り入れる処方箋☆Eco2~西日に「よしず」、「東西に長い家」
西向きのマンションや、戸建で西向きに大きな窓があるようなお宅の場合、西日がダイレクトに差し込み、室温を激しく上昇させます。
この西日、できるものなら「生垣」のようなもので遮りたいものなのですが、昨今、防犯面などから敷地内の目隠しになるような背の高い生垣を避ける風潮もあり、難しいところです。
そんな戸建や、マンションで特におすすめなのが「よしず」。たいへん大きなものながら、ホームセンターなどで見る限り、びっくりするくらい安いのが「よしず」です。
背の高い「すだれ」だと思っていいでしょう(実際に「たてすだれ」という呼び方もあります)。『海の家』などの壁面を構成しているのも、多くこの「よしず」です。
・遮蔽なし(紺)
・ブラインド(ピンク)
・よしず(オレンジ)
「よしず」は、大きいものでは高さ11尺(およそ3メートル30センチ)にも及びます。
なお、マンションに設置する場合、風が強いときに落下の危険があるので、規約等でベランダ置きを禁じているかもしれませんので、よく確認してみて下さい。
ちなみに、夏の日差しは高度が高い、という特徴があります。
朝夕は、東西の壁にまともに日が差し、昼間は頭の上にあるので屋根を焼きますが、南北の壁には直射しません。
そして、冬は太陽の高度が低いので南側に直射します。(右図)
ようするに、「東西の壁は短く、南北の壁を長く」という形状を意識し、夏に備えて屋根や天井の断熱をしっかりする、という設計を心掛けると、「夏涼しく、冬暖かい家」になります。
涼しさを暮らしに取り入れる処方箋☆Eco3~目にも涼しい「緑のカーテン」
「緑のカーテン」は思っているより簡単にできるます。
100円ショップで突っ張り棒2本と植物用ネットを購入し、藤の鉢植えにネットを張って、上のほうに伸びるよう誘導すれば、どんどん葉が茂ってきて日に日にカーテン状態となってくれます。
「よしず」と同じか、それ以上の効果が期待できる「緑のカーテン」は、住まいの壁面に直接当たる日光を程よく遮ってくれるだけでなく、家の中から見た人の目を涼しく感じさせてくれる効果もあるのです。
また、気化熱による冷却機能があるため、緑を増やせば天然のクーラーとしての役割も果たしてくれます。
さらに、樹木が発散するフィトンチッドには精神を静める効果があり、木の葉の緑は目を休めて疲労を回復させてくれます。
このほかにも、植物の特性をうまく活用して快適な生活を実現する楽しい工夫があります。
敷地の西側と北側に常緑樹(1年中葉が茂る樹木)を植えれば、夏の西日対策と冬の北風対策になります。
南側には常緑樹ではなく落葉樹(秋から冬にかけて葉が落ちる樹木)を植えましょう。(図参照)
夏には葉が茂って日光を遮断し、冬には葉が落ちて暖かい日差しを室内に採り入れることができるからです。
また、緑のカーテンとして「ブドウ」の樹を植えるのも一案です。「ブドウ」の葉は夏に茂り、冬には見事に葉を落として日光が差し込みます。
そして秋にはおいしい「ブドウ」がいただけるのです。
「ゴーヤ」も同じように収穫が楽しめますが、「ブドウ」の樹に比べて葉が落ちる時期が早く、残暑の頃の日射遮蔽にはブドウの樹のタイミングがぴったりします。
もうひとつ、キャンプや農業などで日よけに利用される「タープ」を利用する方法をご紹介します。「タープ」は緑のカーテンの弱点である、枯れる心配やお手入れが不要なので、安定して使用できます。
アクアレイヤーを開発した前田誠さん(千葉県我孫子市)は、太陽熱利用や緑が溢れる庭などエコロジーの工夫のひとつとして、自宅2階の広々したテラス(写真左、友人とくつろぐ前田さん)や、1階のベランダ(写真右)で「タープ」を上手に使って、夏の暑さ対策をされています。
「タープ」によって直射の日光侵入を防ぐ効果に加え、テラスの床面や地面の温度上昇をおさえて照り返し(輻射熱)の室内侵入を減少させています。
涼しさを暮らしに取り入れる処方箋☆Eco4~「打ち水」で涼しく
江戸時代の庶民の知恵である「打ち水」が、ヒートアイランド現象に対してどのような効果を持つのか、決められた時間にみんなでいっせいに打ち水をして、その効果を検証しよう、という壮大な社会実験として「打ち水大作戦」というイベントが2003年からスタートしました。
「打ち水大作戦」は、誰もが手軽に楽しくできるヒートアイランド対策として、毎年推定600万人以上が参加する、今だかつてないほどの広がりと深さを持った市民運動です。
実証実験をもとに作成された論文によれば、東京都23区内の散水可能な面積約265k㎡に散水を行うことによって、最大で2~2.5℃程度、正午の気温が低下すると予測されています。
ぜひご家庭でも、お風呂の残り湯などの「再利用水」を使って挑戦してみましょう。
涼しさを暮らしに取り入れる処方箋☆Eco5~「そうじ」で涼しく
あまり知られていませんが、それを行うことによって、家の中がヒンヤリする類のそうじがあります。
一つは、窓拭き。できるだけジャブジャブと水を多めに使い、スクイージー(T字型水切り)で景気よく、汚れ水を拭い、ついでにサッシの周辺も拭きあげてしまいましょう。
窓を濡らしてそうじすることで、窓に溜まった熱が気化されて涼感が得られるのです。
二つ目は、床拭き。こちらはフローリングを傷めてしまいかねないので、硬く絞ったぞうきんで、部屋の隅々から拭き取って行きましょう。掃除機では排気の熱風が粉っぽい上に気温上昇に寄与してしまうくらいですが、床を水拭きする際には床に溜まった熱を気化するのを助け、部屋全体が掃除前よりもひんやり感じられるのです。
ただし、閉め切りの部屋では湿気がこもりやすいので、なるべく窓を開けて換気しながらにしましょう。
三つ目は、電化製品のそうじ。こちらは本体に水気厳禁です。主電源を落として、化学ハタキなどでホコリを取ってから、周囲を床拭きの要領で水拭きし、微細なホコリ汚れごと除去します。
おまけとして、こんな情報を載せておきますので、よかったら参考にして下さい。
ビミョーな言葉研究★日本語のセンスを磨こう
ビミョー…「温かい」と「暖かい」の使い分け
●温かい ⇔ (冷たい)
(温度が)冷たくなくて気持ちがよい。
▽例▽
温かい料理・温かい家庭・温かい歓迎・
温かい・気持ち・温かいもてなし
●暖かい ⇔ (寒い)
(気温が)寒くなくて気持ちがよい。
▽例▽
暖かい冬・暖かい地方・暖かい日・暖かい色
「反対の言葉」を考えるとうまくいきそうです。
冷たいスープ → 温かいスープ
冷たい心 → 温かい心
寒い部屋 → 暖かい部屋
寒い気候 → 暖かい気候
ですから、
「手足をアタタめる」は「温める」に、「室内をアタタめる」は「暖める」になります。
ただし、「席がアタタまる暇がない」や、「懐がアタタかい」などの抽象的表現は、辞書によって「温/暖」の見解が分かれるようです。
8月、蓄熱量の多い海に囲まれた日本においては蒸し暑さの盛り。年間でも体感と暦との間に大きなズレがある頃です。この時期は続く蒸し暑さから、夏バテを起こしやすい時期なので、体調管理には十分な注意が必要です。
夏バテの原因は、食欲減退によっておこる栄養不足、発汗による水分とミネラル分の流出などがあげられます。夏バテはこれらの要因が絡み合っているので、複合的に改善する必要があります。
食欲のない時にはスパイスや香味野菜をうまく利用しましょう。夜の睡眠の質を高めるには、寝る前に熱の溜まりやすい油っこい食品やアルコールを控える必要があります。モロヘイヤをしっかり食べましょう。