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アメリカ人にも、ゴミを出さずに、ゴミで家をつくる人・・・が、いる。[収納の学び舎【第14回】]

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ようやく春めいてきましたね。私たち建築関係者も、何か新しい取り組みを始めたい季節です。建築の分野でのトレンドは、二、三十年前からやはりエコロジー&断熱。これから先も重要なテーマです。

パソコンの資料を整理していたら、米国エコ建築の視察ツアーに参加した人のデータが出てきましたので、もう一度整理してみることにしました。

米国というと、貧しい他国に平気で爆弾を撒き散らす国という乱暴なイメージがありますが、一方では自然エネルギー予算が日本の数倍もあったり、結構多くの国民の多くがエコロジーを本気で考えていたりもする、不思議な国です。

とりわけ「アースシップ」と呼ばれる遊び心満載の家づくりは興味をそそります。「アースシップ」は米国の南西部にあるニューメキシコ州のタオスという町のはずれ、砂漠の中にあります。

そのとき、建築関係の知人が訪問したのは、ゴミで家をつくるという、ユニークな発想から生まれたエコロジー住宅を体験できるモデルハウス兼用のオフィスで、道路沿いに「ソーラーサバイバル」(Solar Survival)というオフィス名を書いた小さな看板があります。海に浮かぶ船のように、建物の半分が大地に埋まった半地下構造が目を奪います。

「アースシップ」とは、電気や水道などの公共サービスに頼らず、自立型の生活を志向する人々を手助けする建築の手法と、そのコミューンづくりを提案する運動の名称です。

まわりを見渡せば、砂漠に数百メートルの間隔をおいて、似たデザインの建築が点在し、ここがコミューンの中、あるいはエコ・ビレッジの中であることが実感できます。

このオフィスでは、「アースシップ」な暮らしを望む人々に周辺の土地を斡旋し、基本ルールに従った建築のデザインや工事を請け負うほか、別棟での体験宿泊、工事に参加するワークショップ、そして今回の見学のようなツアーを実施しています。

そのテーマはLow Carbon(低排出・二酸化炭素)な建築と生活。

そのために、古タイヤや空き缶・空きビンなどのゴミを利用した建築手法を確立し、太陽エネルギー(発電、暖房、給湯)、風力発電、地熱(土間床)などの自然エネルギー活用のほか、雨水の利用も徹底して行っています。

そのデザイン(外観)は、この地域独自のアドビ様式(日干しレンガと土壁建築)でもなく、2×4工法によるものでもない。洗練されたものでもなく、魅力的なものでもありません。

一言でいえば「大地から浮き出てきたサバイバル・カプセル」という感じです。

私は、船舶が好きなのですが、そのなかでも潜水艦が大好きなのです。そう、船ではなく潜水艦。砂漠に浮かぶ潜水艦のイメージです。そして自然に対してうずくまっているって感じです。

かつて、自分自身で訪れたことのある北欧のデンマークの「トロップ」というエコビレッジで見た住宅(地面に埋もれた家)に、似たデザインとも言えるかもしれません。

いくつかの球体が重なって下半分が地面に埋まり込んだデザイン。そして南面だけに窓がある。日本では考え付かない荒っぽいデザインです。

「気候風土に合わせたデザインがエコロジー建築」という説がありますが、寒さと向いあう北の町と、暑さと向いあう砂漠の町でエコ住宅のデザインが似てくるのは大変興味深いと感じました。

「アースシップ」建築の最大の特色は「ゴミ」でつくることにあります。
外壁は古タイヤをレンガのように積み上げ、中に土をしっかりと詰め、突き固めて構成します。そして、圧倒的な厚みを持つこの壁は、同時に大容量の蓄熱体となります。

この古タイヤによる壁は南側を開放したUの字型のユニットを構成し、このユニットをいくつも東西に連続させることで住宅とします。   

南側はすべてガラス張にすることで太陽エネルギーをふんだんに取り込み、蓄熱壁や床との組み合わせにより、シンプルなダイレクトゲイン方式のパッシブソーラーハウスを構成します。

なぜ砂漠で暖房?と思いますが標高2,000メートルを越す高地であるため冬季の冷え込みは厳しく明け方で氷点下5度を軽く下回ります。マイナス20℃以下になることさえあるそうです。

そしてこの建物の中はといえば、エアコンやストーブは一切使用せず、太陽エネルギーのパッシブ利用だけで汗ばむほどの暖かさ。逆に、夏季に南面の大開口はオーバーヒートをもたらすのではないかと心配してしまいます。

ところが、高い位置からの夏季日射は部屋の奥まで差し込むことはなく、わずかに直射を受けるガラス窓の内側1メートルは、後で述べる水のろ過装置を兼ねた緑のプランターで覆われ激しい日射をやわらげてくれます。
湿度の低い砂漠の室内(日陰)においては快適、もしくはガマンできる温度なのでしょう。東西の壁には窓がなく、北側の壁にたっぷりと土を盛ることで蓄熱能力と断熱性能を高めています。

空き缶や空きビンを埋め込んだ間仕切り壁も特徴のひとつで、独特の楽しさを持つ空間をつくっています。様々な色をしたガラス瓶を通して外の光が差し込む浴室やトイレの壁は、さながらエコロジーなステンドガラスです。

ゴミで家をつくるのは「オシャレだ」と感じるアメリカ人もいるのだなあと感心しました。この感じは「新しいか」といえば、決して新しいという感じはしません。

1970年代に始まったヒッピームーブメントやサイケデリックアートの雰囲気が濃厚で、むしろ「懐かしい」。実際、この「アースシップ」の基本的なデザインが考案されたのは40数年前です。

マイケル・レイノルズという建築家が1970年代のエネルギー危機の中で、環境問題、ゴミ問題、そして低コスト、省エネルギーな住まいづくりをテーマに取り組みを始めたものです。

当事は趣味と思われた「アースシップ」建築の手法は、21世紀に入ってようやくブームに火が着いたようです。ゴミという大量の『資源』があり、大きな機械を使わずに素人が建てる事のできるこの建築手法は手軽です。

しかし素人には難解で大変なものが「水」の処理。

「アースシップ」では電気と並ぶ公共サービスである上下水道からも自立を図っています。水は屋根で集めた雨水に頼るわけですが、幸い、ニューメキシコ州のタオスでは水の自立に必要だとされる最低年間250ミリを上回る降水量があります。

この水を高度な循環システムによって4回利用します。

まず、屋根で集めた水を貯水槽に貯め、①浴槽やシャワー、流し台で使用する。この排水は南側の開口に沿って設置されたプランターへ運ばれ、②植物を育てる。同時に植物の根や土によってろ過された水は、③トイレの水洗に利用されます。

この汚水はコンポストトイレによって肥料に姿を変え、④建物の
外にあるプランターの植物を育てます。さらに、このうち20%程度はトイレに廻さず、①へ戻して文字通り循環させる試みを始めている、といいます。

アメリカのエコロジーはオープンで明るく、若者がいきいきとまるでクラブ活動のように参加しています。これに対して北欧やドイツのエコロジーは道徳的で哲学的。エリートやシニア層が引っ張ります。

エコロジーにもお国柄が出るんですね。わが国でのエコロジーはまだまだ政府の主導です。

私たちも「日本ならでは」といえるようなエコロジーの伝統と文化を作り上げていきたいものです。実際に、私たち日本人の祖先は、世界中で最も優れたエコロジー文化を誇っていました。

徳川時代の話ですが、それについては、また別の機会にご紹介したいと思います。

まずは建築資材をエコロジーな自然素材に切り替えていくこと。そして建築現場からゴミを出さないこと。建て替えにさいしては、できるかぎりのリサイクルに挑戦すること。・・・

このようにテーマはたくさんあります。多くのお客さまの智恵もお借りしながら、小さくても確実な歩みを続けていければと考えています。

[収納の学び舎【第14回】]

片づけの本質を学ぶ本  

ハリエット・シェクター (著), 早野 依子 (翻訳)
『いつか片づけようと思いながらなかなかできないあなたへ』(600円 PHP文庫)

TV・雑誌などで「片づけられない人」が増えているという現象が大きく取り上げられてから数十年。ずっと以前に発刊された、この本は個人から企業まであらゆる人を対象にワークショップを展開していた当時、大変話題の著者による、片づけられない人への実践アドバイスです。

著者は、整理するのではダメ。整理していては、また散らかるだけで本当のキレイさへ遠回りになるだけであると言います。そして、モノを溜め込まない、捨てる習慣を学ぼうと主張しています。

わたしたちは、モノが散らかっていることで、年間約6万円から約984万円(!)も損をしてしまっていて、不要品こそが贅沢品だと指摘します。

また、◎「先延ばし癖」がなくなる簡単な習慣◎「捨てるべきゴミ・モノ分類表」でストレスの元を特定する◎「絶対にすぐやること」というカテゴリーはつくらない◎「ノー」は時間管理のノウハウでもっとも強力等々、著者の実践から生み出されたアドバイスは、ほんとうに役立ちます。

整理整頓をラクにするためのコツは、「まず、捨てる」こと! 部屋が散らかる最大の原因は、“モノが多すぎる”ことだからです。本書では、整理整頓のミラクル・ワーカー(奇跡の仕事人)として、世界中で賞賛を受けている著者が、今すぐできる片づけの方法を紹介します。

「完壁主義、怠け癖を克服する必要はない」「何かを捨てても、また手に入れられると自分に言い聞かせる」「郵便物はゴミ箱の横に立ってから開ける」「モノを使う頻度によって置く場所を5つに分ける」など、簡単で効率のいい方法ばかり。「ついためこんでしまう」「どこから手をつけていいかわからない」という人でも、きっと「これならできる」と思えます。

「モノを手に入れ、手放したくない」というのは、人間の自然な欲求です。しかしその欲求をうまくコントロールすることはそんなに難しくないと著者は言います。「ため込みグセ」「先延ばしグセ」がいつのまにか直る本です。

詳しくは、この本を買って読んでいただければ、いいのですが、新刊は既にありません。図書館で探していただくか、AMAZONユーズドなどで検索していただければ、まだ読むことはできますので、是非手にとってお読みいただければと思います。

by株式会社 大東建設 阿部正昭
heiwadai.jp

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