BLOG
ブログ
縁側幅900mmで変わる採光計算[和室⑦‐採光換気]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
小満 次候 紅花栄う
花火の日
300年近く以前の今日も、日本は疫病や飢饉で亡くなる人がたくさんいたそうです。
江戸時代、夏の涼を求める人々は川辺に集い、川遊びや舟遊びをたのしみました。
とくに賑わったのは江戸市中を流れる隅田川(大川)で、納涼期間は旧暦5月28日?8月28日。
初日となる5月28日は「川開き」を大々的に行いました。
1733(享保18)年、飢饉や疫病による犠牲者を慰めるため、かの暴れん坊将軍・徳川吉宗は隅田川の川開きに併せて水神祭を催します。
この際に打ち上げられた献上花火を日本初の花火大会とするのが定説で、以降、隅田川の納涼期間を彩る花火は江戸の風物詩となりました。
今日、5月28日はこの逸話にちなみ花火の日。昔も今も、花火は人々を照らし出します。
・今日をたのしむ
【隅田川の花火】
1733(享保18)年以降、隅田川では納涼期間中、夜ごと花火が打ち上げられるようになりました。
一瞬で消えていく花火への散財は「粋」とされ、武士や町衆がこぞって花火のスポンサーとなったそうです。
隅田川を彩る花火大会は、「隅田川花火大会(7月開催)」として受け継がれています。
【虎が雨】
昨日の雨は、「虎が雨」だったんですね。
時を遡(さかのぼ)ること1193年(建久4)年の今日。曽我十郎祐成(そがじゅうろうすけなり)と五郎時宗(ごろうときむね)という兄弟が父の仇討ちを決行しました。
ふたりは松明(たいまつ)代わりに傘を燃やして仇に近づき、見事討ち果たしますが捕らえられ、処刑されてしまいました。
兄・十郎祐成の愛人であった虎御前がその死を悼んで流す涙が「虎が雨」となって、今でも降り注ぐといわれています。
【業平忌(なりひらき)】
平安時代の歌人で、六歌仙のひとりに数えられる在原業平(ありわらのなりひら
の命日。
晩年身を寄せたといわれる十輪寺(京都府)は、法要を執り行います。
ー旬のことばー
田毎の月
水を張った田の一つ一つに月が映っています。江戸時代、長野県の姨捨山(おばすてやま)の
ふもとの棚田では水面を眺(なが)めるお月見が流行しました。
風柔らかなこの季節に、そんなお月見を愉しんでみることをお奨めします。
【月の呼び名】
月の様子を表す様々な呼び名。さて今夜はどの月でしょうか?
[天満月(あまみづき)]
空いっぱいに光り輝く月
[名月(めいげつ)]
曇りなく澄みきった満月
[淡月(うすづき)]
淡い光の月。おぼろ月
[雨月(うげつ)]
名月が雨で見えないこと
[潭月(たんげつ]」
よどみに映っている月
[残月(ざんげつ)]
夜が明けても空に残っている月
[霽月(せいげつ)]
雨が上がった後のさっぱりと澄み切った月
【縁側幅900mmで変わる採光計算[和室⑦‐採光換気]】
前回は 【通常押入れ(1.75m幅)は、開き襖で広く使う[和室⑥‐収納確保]】
https://heiwadai.jp/osiirekousei/
というタイトルでお伝えしました。(前回記事を、お読みになりたい方は、リンクを張っておきましたので、青字の前回タイトルをタップしてください。直接飛びます。)
今回は和室シリーズの7回目、 【縁側幅900mmで変わる採光計算[和室⑦‐採光換気]】をお伝えさせて頂きます。
和室は床の間等の付帯空間が多く、窓が設置しにくい空間です。ここでは居室として必要な採光、換気面積の考え方と窓配置の工夫について考えます。
[1]【窓配置の注意点】
●特に、縁側付きや2間続きの和室は暗くて湿りがちになります。縁側がある場合は間口一杯の窓を設置することをお奨めします。押入れを吊り押入れにして地窓を設置したり、天窓を設置するなど工夫しましょう。床の間や仏間を間仕切り側に配置すると、窓が設置しやすくなりますが、本来の様式と異なり、押入れも確保しづらくなるため注意が必要となります。
[2]【採光計算について】
●随時開放できる建具で仕切られた2室は1室として採光・換気ともに計算ができます。「随時開放できる」かどうかは2室目の間口の半分が半分が目安となります。
●幅0.9m未満の縁側の場合は「縁側の窓=次室に有効な採光面積」。0.9m以上は「縁側の窓×7/10=次室に有効な採光面積」として計算します。幅が2.0m以上の縁側は居室とみなされます。地域によって規定が異なることがありますので詳細は所轄する行政庁で確認することをお奨めします。
[3] 【換気の注意点】
●風通しを良くすることはカビ対策として有効であり必須です。ただし、雨天時など湿気が高い日は畳が湿気を吸収してしまいますので、除湿器、換気扇などの併用が必要かと思います。
和紙や化学繊維でできた畳など、カビの発生を抑える畳の仕様もあるのですが、
壁材を自然素材など本漆喰、本聚楽などにすることで調湿はされますので検討をお奨めします。
また一方でビニルクロス材やスタイロ畳自体は湿気を吸収することはないのですが、調湿機能はまったくないので、和室全体の湿度を軽減する作用はありません。
………………………………………………………………………
□【窓配置の注意点】
①吊り押入れ+地窓
※床の間、仏間を東向きにすると、窓が設置しにくくなる。対策としては吊り押入れ+地窓にするなど工夫する。
※床の間、仏間を西向きにすると、窓が設置し易くなるが、本来の様式と異なり、収納も確保しづらくなる。
□【採光に有効な窓面積の算定】
①採光に有効な窓(縁側いっぱいの窓にする)
②幅が900mm以上の場合、次室の有効採光は7/10で算定する
③和室Bの間口の半分以上が随時開放できる建具
※縁側の窓だけで採光、換気の数値基準を満たしても、広縁付きや2間続きの和室の光視、空気環境は良いとは言えないので、2面開口となるように意識して窓を設置することをお奨めします。