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「魅せる収納」を外国暮らしから学ぶ 【CASE3】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
秋分 次候 蟄虫戸を坏す(すごもりのむしとをとざす)
神さまたちの会議
旧暦10月の異称は「神無月(かんなづき)」。神さまが無くなる月と書くのは、日本中の神さまが普段おいでになる場所を留守にして、島根県の出雲地方に集まるためです。
一方で、神々をお迎えする出雲地方では、旧暦10月を「神在月(かみありづき)」と呼びます。
神さまたちは風に乗って出雲に向かうと考えられてきました。そのため神無月に吹く西風には「神渡し」や「神立風(かみたつかぜ)」「神送り」「神の旅」など、情感豊かな名前がついています。
出雲地方にはこの時季、八百万(やおよろず)の神々を迎える神事を行う神社がありますが、なかでも有名なのは出雲大社でしょう。
出雲大社に祀(まつ)られているオオクニヌシは、見目麗(みめうるわ)しいモテモテの神さまで子だくさん。艶福家(えんふくか)の神さまにぜひあやかりたいと、多くの人々が恋愛成就のお願いをしてきました。
また、出雲大社に鎮(しず)まる際、目に見えないご縁を結ぶ役割を担うことを宣言したと神話が伝えています。
そのため旧暦10月10〜17日まで執り行われる出雲大社の「神在祭(かみありさい)」に集合した全国の神さまたちは、これから一年間のご縁について会議を行うとされています。
神さまたちが話し合うご縁は恋愛にまつわるものばかりではありません。仕事や趣味、人間関係に学業、健康など、何事もご縁あってこそ、出雲地方の人々は神在祭の期間中、神さまたちの邪魔をしないよう慎(つつ)ましく過ごすのだそうです。
晴れ渡った空のもとで心地よい風が吹いたら、神さまが出雲へと出発する合図かもしれません。良きご縁がもたらされるよう、そっとお願いしてみてはいかがでしょうか。
旧暦七十二候では、春の半ば、三月五日ごろから蟄虫戸を啓くの候があり、そのときもお伝えしましたが、覚えてますか?
それと対をなすのが秋分次候の、蟄虫戸を坏す(すごもりのむしとをとざす)です。
寒くなってきて、虫が土の中で巣ごもりの支度をし出すころ。およそ九月二十八日から十月二日ぐらいまでです。
このほかにも七十二候には、虹やつばめ雁などが姿を現し、また去っていく季節が対になっています。こちらも、お伝えしましたが、覚えてますか⁉️覚えてませんよね。
古い古い時代には人は半年を区切りとして、いろんな習俗を対にして行っていたといいます。一月の正月と七月のお盆、夏越しの祓えと年越しの祓、そして春分と秋分もそんな昔の名残りかもしれません。
旧暦七十二候では、春の半ば、三月五日ごろから膣虫戸を啓くの候があり、そのときもお伝えしましたが、覚えてますか?
それと対をなすのが秋分次候の、蟄虫戸を坏す(すごもりのむしとをとざす)です。
寒くなってきて、虫が土の中で巣ごもりの支度をし出すころ。およそ九月二十八日から十月二日ぐらいまでです。
このほかにも七十二候には、虹やつばめ雁などが姿を現し、また去っていく季節が対になっています。こちらも、お伝えしましたが、覚えてますか⁉️覚えてませんよね。
古い古い時代には人は半年を区切りとして、いろんな習俗を対にして行っていたといいます。一月の正月と七月のお盆、夏越しの祓えと年越しの祓、そして春分と秋分もそんな昔の名残りかもしれません。
収納を「家事(現状維持)」から「趣味(暮らしを彩る生きがい)」に
「魅せる収納」を外国暮らしから学ぶ 【CASE3】
隠す収納にこだわる日本に対してイギリス人は、見せて(showing)飾って(decoration)モノを美しく収納しようとします。前回(「魅せる収納」を外国暮らしから学ぶ 【CASE2】)に続き、19歳の時にイギリスを旅行してその美しさに魅了され、以来100回を越える渡英経験を持つ井形慶子さん(『古くて豊かなイギリスの家・便利で貧しい日本の家』等 著書多数)から、イギリス流の収納の知恵を学びます。
第4章 家の中のモノをさり気なく綺麗にしまう
英国に学ぶ小さな「モノ」の収め方
ちょっと気を抜くと、机の上、洗面台周辺はすぐに散らかり、ほこりも溜まってしまします。
それはなぜかと考えてみると、文具、マニキュア、電池など家の中には限りなく細かいモノがあるためです。
これらは、歯ブラシのように毎日必ず使うわけではないのですが、必要な時にないと、家中を探し回ったあげく、コンビニに駆け込み、買ってしまいます。
問題はモノが多すぎることにあります。
イギリスでは通常6ヵ月ごとに身の回りを点検し、モノをコントロールしようとします。定期的にチェックをして、たんすの肥やしを見つけ、それを捨てれば、よりスペースを有効に活用できます。
かつて、多くの人は細々としたモノを引き出しの中にしまっていましたが、近年、モノをたくさん持つ生活が始まると、すべてを引き出しに入れることは不可能となりました。それではどうするのでしょか。
ここにもイギリス人ならではの収納の知恵があらわれています。グラモフォンボックスといわれる四角い木箱があります。この箱にはレコード針を入れる小引き出しが側面に付いていて、レコード全盛時代の郷愁を漂わせています。
人々はグラモフォンボックスをアンティークショップで購入し、必要のない中の機械をはずし、仕切りを付け、文具を入れたり裁縫箱にするなどして使います。レコード針を入れるための小引き出しには、クリップなどさらに細かいモノを入れるのです。
古い時代のこのような箱はそれほど高くありません。価格は店や年代によって5ポンドから上は数百ポンドまでと、日本円で1000円前後から購入できます。
人々は小さいモノを家の中でなくしたくないので、こういう魅力的な箱を工夫して、収納に役立てるのです。
これと同じ発想で、愛煙家がタバコを入れる金のシガレットボックスに、お気に入りの腕時計を入れて箱ごと部屋に飾る工夫もあります。
また、シガーが2本入るシルバー製シガーホルダーに、愛用のペンを入れて持ち歩く人もいます。
このようにイギリス人は、外出する際も身の回りのお気に入りを手放さず、独自の収納スタイルで持ち歩きます。
ここからわかるのは、イギリス人はたくさんのモノを持っていても、それらをもともと入っていた箱にではなく、わざわざ別の年月を経古い箱に入れて愛用することに価値を見いだすという、独特の習慣です。
イギリス人はこれらの小さなモノを、人と会う時も誇らしく見せます。
見せたくない雑貨は家事室に収納
イギリスの家のキッチンは、なぜショールームのように美しく保たれているのだろうかという疑問に、多くの人は「ユーティリティー(家事室)があるからだ」と答えます。
キッチンに置きたくないモノや、オーバーフローした缶詰・調味料などの食品ストック、そしてフリーザー・洗濯機・掃除機などの家電製品はすべて家事室に運ばれ、ここに収納されます。いっぽう、日本ではこれらのモノがたいていキッチンに集められています。
外国人が散らかった日本のキッチンを見て、「ここはレストランの厨房のように雑然としている」と驚くのは、キッチンが収納庫になっているからです。
日本人よりモノを溜め込まないとされるイギリス人は、従来、何かを余分に買い置きする「ストック」という発想を持たなかったのですが、最近では大型スーパーを中心にバイワン、バイフリーという、一つ買えば一つおまけが付くセット販売システムが広がっているため、必然的にモノが増えています。
シャンプー、ボディーソープなどがその最たるもので、1本だけほしいのに2本買うともう1本付くからと、ついストックを持ってしまうようです。
また、イギリスでは少子化に伴って、洗剤・シャンプーなどの消費財にファミリーサイズが少なくなっています。これらは、キッチンやバスルームに置いておくと空間が雑然となるため、家の中の家事室が最も適当な置き場所だと考えられています。
こんなことからも家事室は、イギリス人にとって唯一、ゲストに入ってほしくない場所といえるでしょう。ここは収納庫であり、洗濯室であり、アイロンがけスペースでもあるのです。
見せたくないモノを家事室に集めると、キッチンという表舞台をつねにキレイに保つことができ、散らかるというストレスがなくなるのもいい点です。
工具をオブジェのように飾るイギリスの感覚
通常、私たちの感覚では工具箱は隠されるべきモノとなっています。この常識を破って古美術品のように、美しいケースに入れて飾るのがイギリス式なのです。
日常的に使う道具はなくさないよう、魅力的な箱に入れます。どんなモノにも定位置を決め、使ったら必ずそこに戻す。これが小さなモノを収納するポイントなのです。
イギリス人の家にはシェッドといわれる倉庫が裏庭に設置してありますが、そこには通常、夫の趣味にまつわる道具が収められています。工具はその代表です。
夫らは倉庫の壁2面に金槌やのこぎりを「ぶら下げ収納」します。その際、工具をかたどった絵を壁に描いているのです。これは、使った工具を間違うことなく同じ場所に戻すためといわれています。
アメリカ人ほど大きな倉庫を持っていないイギリス人にとって、もともとあったモノを同じ場所に戻すこと、そして時には標本のように箱やケースに入れて見せることはとても大切な行為なのです。
さきほど紹介したように、アンティークショップで美しいケースを見つけ、お気に入りの道具を美しく収める習慣はイギリスではめずらしくありません。年代もののガーデニングツールやお菓子の抜き型など、たまに使うモノでも大切な宝物のように見せて保管します。
1970年代に日常の生活用具はデザイン化され、小型化が進み、人と違うモノを誰もかれもが持ちたいと願いました。この流れは80年代にモノを氾濫させ、おびただしい商品が家の戸棚や押し入れを占領していくことにつながります。
ところが、プラスチック製品も自家用車も使い捨てとはいうものの、実際に捨てるのは容易なことではありません。
アメリカ人は気に入ったらとにかく何でも買い、気に入らなければ捨てようとしますが、イギリス人は、気に入っても気に入らなくても、いつまでもモノをとっておく習慣があります。これは単なる節約主義ではなく、めったに使わないモノでさえ、見せ方いかんによっては、インテリアの一部になりうることを彼らは知っているからなのです。(次回「魅せる収納」を外国暮らしから学ぶ 【CASE4】に続く)