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コロナ禍でも、優れた建具と言えばガラリ戸です〈風通し考④〉

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今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。

啓蟄 末侯 菜虫蝶と化す(なむしちょうとかす)

田の神さまと十六団子

田の神さまと十六団子

田の神様へのお供えの十六団子

田の神さまと十六団子

十六団子は田の神様へのお供え物

稲の成長を見守り、実りに力を貸してくれる「田の神さま」は、春から秋は水田に、秋と冬は山にとどまり「山神さま」になると信じられてきました。

今日はそんなフットワークの軽い田の神さまが、里山に降りてくる日なのです。東北や関東地方には、16日にちなみ16個の団子をつくり、田の神さまにお供えする地域があります。

団子は上新粉でつくり、串に刺さずに盛りつけます。このならわしはその名も「十六団子」。田の神さまの恵みである米の粉でおもてなしし、今年のさらなる実りを願う行事です。

菜虫蝶と化す

菜虫蝶と化す(なむしちょうとかす)

そして、七十二候で啓蟄の末候は菜虫蝶と化す。

冬を過ごした虫が、さなぎから蝶になるころ、の季節です。

だいたい、3月15日から19日までの時期です。

春めいて暖かくなっては、寒さが戻ってくる不安定な天気が続きます。

蝶が、さなぎ形から抜け出してだんだん蝶になっていく姿をテレビなどの動画で観ることがあると思います。

動画では、超早送りで再生されているので、分かりませんが、さなぎを抜け出して蝶になって飛び立つ間は、かなりの時間です。

菜虫蝶と化す

菜虫蝶と化す(なむしちょうとかす)瞬間です

羽は最初たたまれているのですが、その皺を少しずつ伸ばしながら、ピンと張ってくるまで、数時間から十数時間も要します。

それを、途中で助けてやろうと、脱皮を手伝ったり余計なお世話をしてしまうと、その蝶は、二度と飛べなくなってしまうそうです。

自然界って不思議なもので、その超スローに見える過程も、さなぎから蝶になるために必要な過程だったんですね。

以前、建築でも、さなぎから蝶になるのに必要な過程を観て感じた覚えがあります。今回はそのお話をさせていただきたいと思います。

コロナ禍で、優れた建具と言えばガラリ戸です〈風通し考④〉

以前、トルコを旅行して、一週間ほど滞在したことがありました。行く前は、全然知らずに、日本よりはるかに開発途上の国なのだと、なんの根拠もなく侮っていました。ところが、訪ねてみてびっくり、とれも美しく高度な文化をもった国でいろいろと教えられる旅であったことを思い出します。

「飛んでイスタンブール」という曲が大分昔に流行りましたが、そのトルコでも首都のイスタンブールが主な旅でした。トルコに行くちょっと前まで、トルコの首都がイスタンブールだということすら知らないでいたのです。

そして、そのトルコのイスタンブールでも、イタリアやフランスと同様、石造りの建物にこのガラリ戸(ヨロイ戸)がよく似合います。
このガラリ戸は主に両開きの形式が多いのですが、よく見てみると羽が自由に動くようになっていて、風や視線を通したり、またはカットするようにできているのです。

そしてまた、そのような優れモノのガラリ戸は、扉の中にさらに突き出し式の少し小さめのガラリ戸が仕組まれているのです。

それは、気候の変動が激しい地域でもあるので、さまざまな環境の変化に合わせ、扉の開閉の角度を変えてみたり、さらには、羽を調節して住みよい環境を工夫しながらつくっていたことを知って、愕然とするほど感心しました。

もちろん、わたしの中で、トルコの国を侮っていたことを反省し、むしろ大いに尊敬する国に変わったことは言うまでもありません。

・ガラリ戸の開閉が可能になることで、機能は大幅に広がります

① 下記左図 開にして物干しにも利用します。このような使い方は日本ではあまりしませんが、洗濯物が少ない場合はこのような使い方も便利です。

ガラリ窓
② 上記右図 開閉を調節して視線や日差しを調整します。視線や日差しをコントロールするガラリ引き戸は日本にもありますね。京都の町家など古都にはハネ上げ式のガラリ戸がありました。

③ 下記左図のように、向きに合わせて、開閉を調整して風を入れます。この機能は観音開きのガラリ窓でなければなりません。しかもガラリが可動式であれば、大抵の風を取り入れることが可能です。

ガラリ窓の機能
④上記右図のように、日差しも視線も遮りますが、少しの風くらいは入ります。日差しの量は調整できるので室内が真っ暗になるようなことはありません。

・ガラリ戸の羽根の角度調節は下記の図のような仕組みです。

ガラリ戸調節

ガラリ戸の調節の仕組みは上記のようにワンタッチ

 

扉のなかにもガラリ戸が二重に仕組まれています。

① タテ・ヨコ、上下、左右にガラリが可変できれば、さまざまな気候や環境の変動に対応できます。これは優れモノの窓としかいいようがありませんね。

ガラリ戸変幻自在
② 日差しの角度によって羽根の角度を自由に変えられます

日本の夏の高温多湿の気候では、窓の上にある程度の深さの軒や庇がないと維持管理が大変なのですが、このようなガラリ戸がわたしは大好きです。
ガラリ窓から、虫が入ってくるのを何とかできないかと言われ、防虫網を窓の内側や羽根の真ん中に仕込んだガラリ戸つくったこともあります。

ガラリ戸は視線を遮り、風を通すことができます。そしてその上防犯にも効果があるのですが、唯一虫の侵入を防げないのが欠点でした。

でも、下記のようなガラリの中に網戸も組み込まれていれば、防虫も心配ないですね。

ただし、時間が経つと網に埃が付き目詰まりするので、風圧や水で洗い流すようなメンテンナンスが必要になります。

・網入りガラリ戸は2種類。下記のような仕組みになっています。

網戸内蔵ガラリ戸

防虫網を内外のガラリの間に挟み込んだタイプ

網戸内蔵ガラリ戸

防虫網を室内側のガラリ戸に張ったタイプ。

ガラリ戸は大変便利な優れものです。ですが、乾燥はしていますが、生の木を使って造られたもの。雨風日射で狂いもすれば、腐りもします。その上、放っておけば割れてしまうかもしれません。手入れは必要です。浸透性塗料をコマメに塗り込む必要があります。つくる前に十分にご検討ください。

 

そのとき訪れたトルコは、イスタンブールだけでした。ところが、この国にはその他にも神秘的な文化や技術がいたるところにあることを知ります。
そして、そのトルコの地を訪れた数年後カッパドキアという古代都市が世界自然/文化遺産に登録されています。この地の古代人と自然がみごとに調和して造られた遺跡です。

いつか、この地にも訪れて自然と調和した建築物に触れてみたいと思っています。そのときは、また新たな発見があるかもしれませんので、そのときはまたこのブログでお伝えできたらと思っています。

 

by株式会社 大東建設 阿部正昭

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