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【玄関】余裕をもったスペースが必要です!(63歳からのリフォーム①)
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
大寒 次候 水沢腹(みずさわあつ)く堅(かた)し
合格祈願と初天神
これから本番を迎える受験シーズンの心強い味方、学問の神さまといえば天神さま・菅原道真(すがわらのみちざね)です。コロナ禍の今年は余計天神さまにお祈りしたくなりますよね。
菅原道真は平安時代の政治家であり、学者。その明晰すぎる頭脳と優秀さゆえに政敵に妬まれ、讒言(ざんげん)により失脚、非業の死を遂げました。
しかし生前の功績が認められ、やがて学問の神様として祀られるように。全国の天満宮や北野神社の祭神になっています。
菅原道真が二月二十五日に逝去(せききょ)したことから、天神さまは毎月二十五日が縁日です。
以前湯島天神の真ん前でビルを建築していたのですが、工期一年二ヶ月の間に縁日が十二回も開催されていました。
人の出入りがその日は激しくなるので、交通整理や安全確保が大変だったのを昨日のことのように覚えています。
まだ若いころの話で、それが最初の7階建て以上のビルの監督を任された現場でした。
それはそれは大変な現場でしたので、苦労をしたことも忘れはしません。でもその経験は今後の人生になによりも大きな影響を与えてくれました。
そして…水沢腹(みずさわあつ)く堅(かた)し、は七十二候で、大寒の真ん中の季節です。
沢の水が厚く固く張りつめるころ、という意味からして、寒さここに極まれりですね。
およそ一月二十五日から二十九日ごろの五日間ほどの候ですが、日本の最低気温が記録されたのも、まさしくこの時季。明治三十五年(1902年)一月二十五日に旭川市で、マイナス四十一度が観測されました。
地中ではもう泉の水が動き出してはいるけれど(小寒 水泉動く)、地上では川も湖もまだ厚く氷が張っています。
【玄関】余裕をもったスペースが必要です!(63歳からのリフォーム①)
家族が多いときにはなんと言っても「収納」が最重要課題でどこへ行っても井戸端会議ではそのようなお話やご相談で持ち切りでした。
ところが、高齢になれば夫婦二人だけの暮らしにになれば、そこまでの収納はいらなくなります。
ほとんど、お宅を拝見させていただくと、子供世代の荷物の物置になっている場合がほとんどではないでしょうか⁈
これから必要になるのがさまざまな「余裕のあるスペース」です。
人がかがみ込むゆとりの空間・人を抱きかかえるスペース・自分以外の人が動けるスペース・杖や車椅子を置く場所…。
家の顔といわれる『玄関』は広さを後から広げることが非常に難しい場所です。
今から、将来の自分たちの暮らしに思いを馳せてみましょう。ただし頑張りすぎてあれこれつくり込まず、おおらかで、少し余裕のある空間づくりを目指していくことが必要です。
【失敗談 成功談?!etc…】
車椅子を使い出したら、困るのは…
「将来、車椅子を使うことになったときに最初に困るのが、玄関ドアだと聞くが…??」
「そうそう、私も膝の調子が悪くなり始めているから、ちょうどリフォームを考えているところ」
「うちも、それで、いざ、車椅子で開け閉めや通りやすくするために引戸にしようと思ったら、実は玄関の幅が足りなくて引き戸にできないって言われた。そういう家は多いみたいね。」
「引き戸にしておかないと、全開にして開け放して留めておくことができないから不便なのよ」
「そうそう、だから家を建てるときから玄関幅は、広めにしておく必要があるわよね」
「ほんとうに、そうよね。後からどうにもできないって本当に困るよね」
「それから、車椅子や杖を使うようになると、汚れを落とす場所が必要になるって聞いたんだけど…」
「言われてみると、そうかも…」
「うちは介護をするときになって初めて気付いたんだけど、杖の汚れを落としたり、車椅子のタイヤの汚れを落とすために雑巾を濡らしにいちいち洗面所まで行くのが毎回で面倒だったよ」
「そうだよね。外出から帰ってくる度に玄関から一番奥にある洗面所まで行き来するのは大変よね。」
「そうなの、どうして玄関に洗う場所がないんだろうって、心底思ったよ」
「分かるよ。それに杖って外では使うけれど家の中ではほとんど使わないでしょう?だから玄関に杖たてを置く場所は前持って確保しておくことが必要だっと思ったわ」
「確かに忘れがちだよね。あとは杖だけじゃなくてシルバーカートの置き場も用意しておかないとあとで困るよ」
「シルバーカートって手押し車のことだね」
「シルバーカートって使うのがお年寄りっぽくて嫌だって言う人も多いけど、途中で疲れて休憩するときに椅子なったり大きな荷物が入ったりとても便利なんだよね」
「そうみたいだね。うちの母にもプレゼントしたらすごく便利って言って頻繁に外出するようになったんですよね」
やっぱり少しの時間でも散歩したり、外の空気を吸うだけでも気分転換になるし、いずれにしてもシルバーカートは必需品になるかもしれないね」
「その通りだね」
介護者側のスペースは見落としがち
「そう言えば、つい最近玄関が狭くてこんなひどい目にあったんです。車椅子に乗っている母を私が玄関から家の中に移動させるときに、私がかがんだら下駄箱の取っ手に自分の背中を思いっきり引っかけてガリッ!て傷つけちゃたんですよ〜」
「それは、ひどい目にあったねーツ。大丈夫だったの?」
「えぇ。不幸中の幸いで、深い傷にはならなかったんですけど、狭い場所で介護するのはいかに危険で大変かが身に染みてわかりました」
「痛い思いをしてやっと気づく…ってつらいわね」
「車椅子を乗り降りするスペースは分かっているけど、介護する人のスペースまでは気が付いてなかったのよね」
「これからは、高齢者と介護者の動線とスペースまで含めて間取りや家具の配置を考えるっていうのが身にしみて教訓になったわ」
「なるほど、実感がこもってる!」
便利な戸建用宅配ボックス
「それから、今秘かに考えているのが戸建用に宅配ボックスをつけること!」
「そうね、高齢になったら、家にいることが多くなりそうだけど…病院とか整体に行ったりと何かと外出すること多いかもしれないね」
「そうなんだよね」
「一度荷物を入れたら、開かなくない方式で、受け取り、取り出すときは裏側から鍵で開ける宅配ボックスが発売されてるのよね」
「へぇ〜、そうなんだ、それは知らなかった」
「受領印も入れておくことができるし、現金と生鮮食品以外は受け取りできるから本当に便利で楽になるよね」
「それはいいですね。うちの母は足が不自由で玄関まで取りに行くのに時間がかかってしまって、配達員の人が留守だと勘違いして帰ってしまったこともあるみたいなんです…」
「でも、私は宅配のお兄さんと喋るのも楽しみの一つなんだけどね(笑)」
「なるほど、そういうこともありますよね」
「そうね。でも高齢で一人暮らしの場合は、荷物を受け取るのに不安な場合もあるから、戸建用の宅配ボックスはこれからもますます普及するかもしれないね」
【さりげないベンチが、玄関に置いてあるといいな】
「それと、日本の玄関てどうしても段差が一番あってケガをしやすいっていうけれど上がり框(かまち)の部分はみんなどうしてるのかしら?」
「もちろん玄関に段差はないに越したことはないけど、靴を脱いで上がる場合は埃とか水滴とか家の中に入るから最低限段差はあった方がいいものね」
「そうよね。それでうちは壁側に腰掛けられるベンチを設置したわ」
「ベンチもいかにもっていうのではなくて、あまり腰掛けに見えないようなさりげないデザインのものができると嬉しいよね」
「シューズボックスの機能を備えたベンチっていうのも、いいかもしれねいわね」
「なるほど、それはいい案かもしれない」
「高齢になると靴は夫婦二人分だけで済むから、そこまで大きい収納である必要ないものね」
「そうそう、手が届く範囲に収められるようにしたいものね」
「測ってみると、だいたい40センチ〜45センチぐらいが座れるちょうどいい高さだと思うんだよね」
「今は段差を車椅子で上がれるように、電動式段差解消機を設置することもできるみたいよ」
「へぇ〜、便利になったのね〜」
毎日を安全快適に過ごすために…
「そういえば、うちの実家は庭の内扉から玄関まで和風にしたいと張り切って飛び石にしたんだけど、結局車椅子だとどうしても困難でコンクリートで埋めてしまったのよね」
「分かるー。その当時は素敵!と思ってたんだけど、後から不便が見えてくるのよね」
「あとは外の段差対策で手すりを付けたんだけど、雨で濡れて手が滑るから手摺りの素材にも気を使ったほうがいいってことも分かったわ」
「なるほど、安全だと思って付けたのに、、逆に手が滑ってしまい危ない場合もあるってことね」
「そうだね。そうなると、玄関の床の素材も考えておく必要があるわね」
「滑りにくい素材とかね」
「私は最近、家に入ったらすぐに人感センサーで玄関を明るくする照明を付けたんだけど、気持ちも明るくなっておすすめだよ。
荷物持ってても、点灯してくれるし、消し忘れもないしね」
「ましてや、車椅子や杖をつきながら電気のスイッチを探すのって結構至難の業なのよね」
「介護するほうだって手が塞がっていることが多いので人感センサーは本当に便利ですよ」
「手が塞がるので思い出したけど鍵を開け閉めするのも意外と大変な作業よね」
「そうね〜、分かるわ〜。歳をとると目が悪くなって鍵穴に鍵を入れるのも大変だし、今だって荷物を持ちながら鍵を開けるのって苦労するのよね」
「そうそう。だからうちは将来のことも考えてタッチキーにしたんだけど、カバンの中で鍵を探すこともなくなったし本当に便利だよ〜」
「へぇ〜、いいね、それ〜。うらやましい。タッチキーにしても自動施錠をするかしないかを設定できるみたいだから安心って話も聞いたことがあるわ」
「ただ、反応する範囲があるので玄関錠に置きっぱなしする人は注意しないと、鍵がかかったり鍵が開いたりするんですって」
「私のところもありそうで怖い」
「そうそう。だから、そうならないためにも何かあったときに事前にどうするか家族でコミュニケーションを取っておくことが大切だよ」
「そうだね、合鍵を持っておくだけでも安心だよね」
【解決策アドバイス・処方箋】
家の顔といわれる玄関。
ただ困ったことに、この空間は後から広げることはなかなかできません。
少しだけ未来を見据えるとしたら、ゆとりをもった空間にしておくことが必要だと思います。
靴を履いたり脱いだりする際も、体の向きを変えて腰を下ろしてするほうがぐっと楽になります。そのための小さくて構いませんのでベンチが玄関あるといいですね。
玄関で体の向きを変えたり、身体を曲げたりすると、意外とスペースが必要なことが分かります。
一度現在の玄関で、やってみてください。もちろん、体格のいいご主人であれば、それだけ十分なスペースが必要となります。
将来、玄関にあったほうがいいなと思うものもリストアップしてみるのもいいかと思います。
ご両親と過ごすといろいろと発見があります。
靴べらも短いものより、しゃがまずに使える長いものがあるといいとか、帽子掛けやコート掛けなど、出がけに体温調整できるものがすぐに用意できるようにしておくと便利です。
杖も取りやすい位置にあるといいですね。ご夫婦それぞれに場所が決まっていてもいいと思います。
そうしたことを考えて、少し余裕のある広さにしておきましょう。新築されるなら、引き戸の玄関も検討しておきましょうね。
手すりは最初から取り付ける必要はありません。
ですが、将来のことを考え、建築の専門家のかたと十分打ち合わせをして、取り付ける必要のあるところに、下地を入れておいてもいましょう。
そうしておけば、必要になったとき、手すりを購入して、自分でも取り付けられるようになります。
それから、将来電動式のさまざまな便利グッズが登場することを考慮して、コンセント(外部用)をひとつは用意しておくといいでしょう。
玄関に後からコンセントを用意するのは大変です。工事をする前にもしっかりと伝えておきましょう。
【玄関 チェックリスト】
- 将来玄関ドアを引き戸にすることも考慮し、玄関幅を確保しておくか、最初から引き戸にしておく。
- 車椅子のタイヤや杖の汚れを落とすための洗い場の設置スペースを考慮しておく。
- 玄関に杖立のスペースを確保しておく。
- シルバーカートを使用することも考慮し玄関に置場のスペースを確保しておく。
- 車椅子から高齢者を移乗させる際の介護者の動くスペースも考慮しておく。
- 戸建用宅配ボックスを置くことを検討する。
- シューズボックスの大きさは生活者の目線に立ち、手の届きやすい範囲に収納できる大きさで設置することを考慮する。
- 段差があっても車椅子を使用できるように、電動式段差解消機を将来設置することを考慮し電源とスペースを確保する。
- 車椅子で通行することを考慮した上で、外構を検討する。
- 外の手すりの素材は、雨で濡れても滑りにくい素材を選ぶようにするとよい。
- 玄関の床材についても、できるだけ滑りにくい素材を選び検討する。
- 玄関の照明は最初から人感センサーにしておくと、本人、介護者双方にとって便利。
- 玄関錠は、タッチキーもしくはカードキーなどにすることを検討する。