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現場で生まれる発想を極める。(かたちと構造PART8)
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
大雪 熊穴に蟄る(くまあなにこもる)
正月事始め(しょうがつことはじめ)
今日十二月十三日は「正月事始め」
新年を連れてくる神さま・年神さまを家へお迎えする準備をはじめる日です。
昔は年神さまがやってくる目印となる門松に用いるための松を伐りにいったり、住まいの汚れを清める煤払(すすはらい)いなどを行いました。
煤払いは現在も各地の社寺で営まれるとともに、私たちの暮らしのなかでは「大掃除」と名前を変え受け継がれています。
大掃除は仕事が一段落する年末休みになってから、というかたも多いとは思いますが、今日からえいやっと気合を入れて取り組んだほうが良いみたいですよ。
もちろん、私にはできませんが…
半月以上かけて丁寧に家を清めていけば、年神様も大いに喜んでくれそうです。
そして、大雪の次候は、熊穴に蟄る(くまあなにこもる)。
熊が穴に入って冬ごもりするころ、という意味で、およそ十二月十一日から十五日までの季節です。
冬眠中の熊は、うんちもおしっこもせずに、春を待つそうです。なぜそんなことができるのか同じ哺乳類として不思議で仕方ありませんね。
ただし妊娠中の母熊は、冬の間に赤ちゃんを産み、巣穴でおっぱいをあげて育てるそうです。
ところで、俳句には冬北斗という季語があります。
冬の空に浮かぶ北斗七星のことで、おおぐま座の腰からしっぽまでの星たちなんです。
日本では冬の七つ星(青森)、柄杓星(ひしゃくぼし)(山口)、風車星(かじまやーぶし)(沖縄)などと呼ばれてきたんですね。₍₍( ´ ᵕ ` *)⁾⁾
同じ北斗七星でも地方によって呼びかたも違ってたんですね。なんかロマンティックですね😊💕
現場で生まれる発想を極める。(かたちと構造PART8)
家づくりでは、そこで使う建材他、実物を前にして具体的に考えることがなりよりも大切なことです。
家造りが生まれる場所は設計事務所ではなく「現場」なのです。
現場で原寸の材料を前にして、職人さんたちとかわす会話などもヒントの宝の山なのです。
以前施行させていただいた現場でのことですが、玉砂利洗い出しの床に平たい大小の踏み石を埋め込んだ例です。
玄関ポーチの真ん中に石を埋めるのではなく、ここでは周辺に配置することにしました。
玄関ドアの下框の戸当たりにも石の一部が掛かるようにすることで動きのある意匠となるのです。
【良い発想は、素材や経験から生まれることもある】
その場の空間のスケールや具体的に用意した自然石や砂利を目の前にすることで良い発想は生まれます。
光の差し込み具合、視線の抜け具合、施工者の技術や経験など、さまざまな要因が影響を与え合うことで科学変化が起こり解答が導き出されます。
そのため、何ミリの石がよいとか、建て具の桟は何ミリが美しいかなど絶対的な数字に美醜はないと思っています。
現場で生まれる発想は、机上で意識して考えることのできる部分の外側にあるのです。そして大きな可能性が秘めているのです。
植木屋(庭石屋)さんの持ってきた石、左官屋さんの洗い出しの小石、大工さんと木……設計者と職人さんの現場での会話の中から生まれてくるのが、現場での発想なのです。
[開放感を極める]
家の内から外に向かって開放感を得ることは、敷地の状況やプライバシーの問題などがあって、なかなか難しものです。
ですが、狭い住宅空間でも、開放感をつくり出すことは不可能ではありません。
天井高が低いところから高いところへ、また幅の狭い場所から広い場所へと移動したときには、その変化によって開放感を感じることが可能となります。
下記の図のように完全な吹き抜けでなくても視線を遮らず、見通しをよくすることで、開放感を得ることが可能となるのです。
ただし、段差を極力無くすバリアフリーが当たり前の現在、そこに住む依頼主さんと事前に十分な話し合いをして、ご理解いただくことが必要です。
[開放感を得るためには、天井の高さや床段差の調整が必要]
さらに壁をずらすなどして、水平・垂直方向に視線(空気)が流れるような空間にすることで開放感が出るのです。
①トップライトから光と風を入れます。
②空に向かって目線が抜ける
③天井の高さが変化したり狭い空間から広い部屋に出たときに開放感を感じることが可能です。
④段差+吹抜けで開放感が断然上がります。
⑤外に向かって目線が抜ける。
⑥室内内部の床から外部の木製デッキに続いているように配置することで開放感が得られます。
⑦スキップフロアにしたり、床に段差をつけたりするなど、床の高さを変化させることにも効果があります。