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間取りを考える前にモノマネ上手〈資料収集1〉
間取りを考える前にモノマネ上手(資料収集〉
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
霜降(そうこう)末候 【楓蔦黄(もみじつたき)なり】
カニの出身地
11月5日から6日へと日付が変わるその瞬間、富山県以西の日本海沿岸部ではカニ漁が解禁となります。
各地の漁船がまっしぐらに目指す獲物は、「冬の味覚の王者」とたたえらえるズワイガニ。
オスは脚の旨味と甘味、メスは卵や「内子(うちこ)」と呼ばれる卵巣のコクが堪能できます。
ズワイガニは、スーパーマーケットに並んでいる際の表記やメニューに載っている名前によって水揚げされた港、いわば出身地が分かります。
代表的なものは、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県の「松葉ガニ(オス)、セコガニ(メス)」、福井県の「越前ガニ(オス)・セイコガニ(メス)」、石川県の「可能ガニ(オス)・香箱ガニ(メス)」など。
各地の漁港で水揚げされた証として、証明タグが脚につけられるのも特徴です。
そして、秋の最後の季節、霜降(そうこう)の末候は、楓蔦黄なり(もみじつたきなり)。紅葉や蔦が紅に黄に色づくころをいいます。およそ十一月二日から六日までのことです。時雨に紅葉と季節が続きますが、万葉集の時代から、あざやかに染まった葉に初時雨が降りかかるさまがこぞって歌に詠まれてるんですね。
十月(かんなづき)時雨に逢えるもみち葉の吹かば散りなむ風のまにまに
大伴池主
間取りを考える前にモノマネ上手〈資料収集1〉
その敷地の魅力を見出し、家族からの要望を整理できたら、あとは具体的な間取りを考えていくだけ…ではありません。
設計士や建築士などの間取りの専門家が考えるのは、その前に必ず、モノマネの時間を設けているのです。そうモノマネです。
たとえば、30坪の敷地に2階建ての住宅を設計する場合、過去に似たような条件でどんな住宅が建てられていたかを調べるのです。
その中からお気に入りの図面を元にして描いてみます。
図面のモノマネは、敷地に対する標準的な部屋のサイズや数量、それぞれの部屋の繋(つな)がりを把握するのに参考になるのです。
そこで訓練をしていると言っても過言ではありません。むしろそのようなモノマネを経験しているほうが、いい間取りがつくれるのです。
モノマネが嫌で、自分で最初から考えるのは時間的にも発想的にも無理があるのです。
いつまでも、いい間取りが考えられないというか、できたとしても時間がかかり過ぎて、何も生み出すことができずに終わることさえあります。
同時に、モノマネから入るメリットは、過去の秀逸な間取りが設計者の脳内にライブラリ化され、いつでもすぐに参照可能な、引き出しが増えるのです。
そして、それは設計上の大変有利に働いてくることはいうまでもありません。いいことずくめなのです。
もちろん、リフォームでも同じことがいえます。これからますますリフォームの需要は新築以上に増えてくることは間違いありません。
ものづくりに真摯な人ほど、過去の事例に敬意を払います。そして盗めるところは躊躇なく、盗みながら個性を磨くものなのです。
設計士や施工者に要望を伝える場合にも、過去の例を利用して少しでも近いものを提供できれば、より良い住いになることは違いありません。
【オリジナリティの母はモノマネ】
モノマネに使用する資料「似たような事例」は大きく分けて、4つのテーマで集めていきます。
①同じような「機能・規模」
床面積、階数、用途地域、建ぺい率などが似ているものとなります。店舗併用住宅を建てるのなら、そのような機能を備えた住宅を探すということになります。
②同じような「敷地」
敷地面積、平面形状、高低差、方位、接道状況などが似ているもの。
③「名作住宅」もマネしてみたい対称です。
「都市型住宅」「郊外の住宅」など、テーマが似ていてマネしたいと思わせるもの。単純に「好きな建築家の作品」などから探してみるのもよいでしょう。
④マネしてみたい「間取り」
LDKそれぞれの位置関係や、建物と庭の位置関係など。感覚的にマネしたいと思わせる要素がある住宅を集めます。
【大学の建築科などの「資料集成」なども利用しない手はありません】
目星をつけた事例は、必ず正確な図面まで揃えています。事例自体はインターネットなどで検索しても見つかるのですが、正確な図面までは揃えることはできません。
実際に役立つ図面は、書籍や雑誌
のページをめくることで手に入るのです。