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「快適なダイニングづくりのポイントはまずは居心地です」【ダイニングCASE1】
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
小暑(しょうしょ)末候 鷹乃学を習う(たかわざをならう)
全部言える?日本三景!
江戸時代の旅行は、眩(まばゆ)い景色を愛(め)でることと有名な社寺への参拝がセットになってたんですね。
なかでも人気を集めたのが、松島(宮城県)・天橋立(あまのはしだて)(京都府)・厳島(いつくしま)(広島県)。
そう、日本三景です。松島は瑞巌寺(ずいがんじ)、天橋立は成相寺(なりあいじ)、厳島は厳島神社と対になり人気を集め、今も多くの人で賑わいます。
四方を海に囲まれた日本らしく、いずれも海岸沿いの景勝地ですね。
松島は文字通り松に覆われた大小の島々で、天橋立は宮津湾に突き出る白砂青松(はくしゃせいしょう)の砂州(さす)、厳島は原始林の広がる霊峰・弥山(みせん)と麓に建立された厳島神社の美しさで訪れる人々が胸を打たれます。
「快適なダイニングづくりのポイントはまずは居心地です」【ダイニングCASE1】
食事の場は、家族の生活がそのまま表れる場所です。その家ごとの社交度合いを確認しながら、日々の使いやすさも考えてみましょう。
【快適なダイニング5か条】
- ダイニングテーブルの椅子は座り心地の良さを最優先に考えましょう。ダイニングを居心地の良い場所にするには、何をおいても座り心地の良い椅子を用意することです。
- ダイニングに迎え入れる来客との親しさの度合い(社交度)によって、キッチンとの繋がり加減を考えましょう。
- 主婦コーナーをつくることで、一連の家事が円滑に流れます。また、作業スペースが確保できるため、ダイニングが散らからず掃除の手間も時間も省けます。
- 大きなダイニングテーブルにすると、近すぎず、遠すぎずで座っている人同士の距離にゆとりができます。また、多目的に使えるのでいろいろな会話やふれあいも生まれるパブリックなスペースにもなります。
- 大きなダイニングテーブルにしたからといって、その周りには、ゆとりが必要です。椅子の後ろ側にも人が十分通れるくらいの広さを確保しましょう。
【快適ダイニングのアドバイス】
人が集まれば、自然と食の場が生まれます。人が集まって楽しく食事をすれば、何でも美味しく感じるものです。そのような場をつくることを考え優先しましょう。
大きなダイニングテーブルや使いやすい椅子を設えて、長居したくなるようなダイニングをつくりましょう。
① 主婦コーナーを設えておくと、料理以外の家事効率が向上します。家事に必要な書類などをまとめておけるので、部屋も散らかりません。ひいては料理や家族団らんに時間をもっと長く取れるようになります。
② 多目的に使える大きなテーブルは、窮屈にならないためおのずと滞在時間が長くなり、ひいては、コミュニケーションの生まれる場所になります。
③ダイニングは家族が共に食事をする、家の中心です。食事をしながら寛(くつろ)いだり、時には来客を迎えたりもする場所です。
【居心地のいいダイニングは、座り心地のいい椅子で決まります】
【食事と料理、大事なのはどっち?】
食にまつわる話題のほとんどは、料理のつくり方やメニューのことばかりです。食育といった言葉でさえも、食事バランスや栄養のことばかりしかいいません。
食事が大切なのは分かりますが、おいしい食事があっても、家族が
一緒に楽しく食事をしなければ、それこそ絵に描いた餅となってしまいます。
【キッチンばかりでなくダイニングにも気を配る】
家に寝る場所がなかったら「住まい」とは言いません。家とも言わないかもしれませんが…同じように食の場がない家に「生活」も当然ながら、ありません。
そうなんです。生活の豊かさとは、食生活の豊かさにかかっているのです。では、その食生活の豊かさとは何なのでしょうか?
ほとんどの人は、新鮮な食材をふんだんに使った美味しい料理を食べることばかりを想像するのではないでしょうか。ですが、実際に大切なのは家族全員が一緒に食事をすることなのです。
食生活のイメージと同じように、家造りの過程でも、ほとんどの主婦(夫)は食事をするダイニングより料理をするキッチンにばかり関心をもちます。
設計の打ち合わせの際にも、どんなキッチンにしたいかばかりを楽しそうに話してはくれますが、ダイニングの話を聞きたいと思っても、まるで集中力が途切れトーンダウンしてしまうような気がします。
心ここにあらずで、まるでキッチンの方に心を置き忘れてきてしまったかのようです。
話を聞いていると、キッチンでテキパキと料理をする姿は手に取るように分かるのですが、家族の食事風景はイメージすることができないようです。
設計をするものとしては、もう少し家族が食の場に集う話をお聞きしたいと思うのですが、そうは問屋が下ろしてくれません。楽しく家族が食事や団らんをする姿はどこに行ってしまったのでしょうか?寂しい限りです。
【家族が長居したくなるスペースづくりを】
日本には、昔から「茶の間」という空間がありました。もちろん食事をするだけではなく、卓袱台(ちゃぶだい)と呼ばれる脚がたためるテーブルをおいただけで、食を通じて、まわりに家族が集ってくる不思議な場所だったのです。
ところが、欧米化が進むにつれて、各部屋の機能も次第に限定され、会話はリビングへ、食事はダイニングへと分離するようになっていきました。
家族の交流の場所はリビングに奪われたために、ダイニングに楽しそうな家族のイメージが浮かばなくなってしまったのです。ですが、生活の豊かさには生き生きとした家族の食の場が絶対に必要だと私個人的には思っています。
生き生きとしたダイニングをつくるには、家族が集まってきたくなり、しかも長居しても苦にならない場所にしなければなりません。そのためには、座る場所とその空間の工夫をして居心地の良い、寛げる空間をつくらなければなりません。
まずは、ダイニングテーブルの椅子を心地良い椅子にすることが先決です。可能であれば肘掛け椅子がお薦めです。そして次は、その椅子をストレス無く楽に動かせるスペースと、その後ろに人が動けるスペースを確保しなければなりません。
スペースがない場合は、ベンチにするのも有効です。寝転がるなど、自由度が比較的高いからです。既成のダイニングセットの椅子にとらわれる必要はまったくありません。
家族それぞれの好みや座り心地、座り易さに合わせて選んでもいいでしょう。
日本では7,8割以上の家庭でテレビを観ながら食事をしているようですが、そういう私も子どもの頃から、社会人になるまで、そのような習慣で育ちました。
楽しく食事できるのであれば、なんら否定するものではありません。ただし、テレビばかりに頼らない、魅力的な居心地の良いダイニングをつくることは何より大切なことだと思っています。
心地よい椅子を用意することは、魅力的で居心地の良いダイニングづくりの第一歩なのです。音楽やラジオなどを気楽に聴いたりするのも良いかもしれません。
プランの段階で外に繋がる窓を配置して、明るく開放感のある空間をつくっておくこともひとつの方法だと思います。ダイニングがリビングのようになってもいいのです。
むしろそのようなダイニングのほうが魅力的で居心地はいいのかもしれません。居心地の良いダイニングは豊かな食と生活が結びつく空間となります。
そのようなダイニングはそのご家族の今後の幸せの一貫を担っているといっても決して過言ではないのです。
【ダイニングが家の中心】
ダイニングの中央に上部から光が入り、ダイニングを中心としてリビング、キッチン、玄関などがあります。大きなテーブルのあるダイニングが家の中心になっています。
①※採光を目的にハイサイドライト(=高窓)を設えました。