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【リフォームで大切な視点①】1 リフォームの前に「日本の住まい」を知る。
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
小満 初候 蚕起きて桑を食う
蚕起きて桑を食う(かいこおきてくわをくう)
モスラって、ご存知ですか⁉️子どものころなによりも楽しみにしたいた映画「大怪獣ゴジラ」に出てくる人間の味方の怪獣が「モスラ」だったんです。そのモスラのモデルはお蚕様なんです。
しかも、今オンエアされている朝ドラ「エール」主人公のモデルは当時大ヒットした「大怪獣 モスラ」の大作曲家 古関裕而さんだったんです。驚きですね!?
話が逸れてしまいましたが、絹糸をもたらしてくれる蚕が、桑の葉を食べて育っていくころ、という意味の七十二候の季節が、蚕起きて桑を食うです。小満の初候で、およそ5月20日から25日までのこと。旧暦ではだいたいこの時期は、四月になりますが、木の葉採り月という別名もあります。桑の葉を摘む月。
初めは小さな蚕が葉っぱをもしゃもしゃしていたのが、脱皮をくり返して、最後には枝付きの葉をいっぱい食べます。そして体が透き通ると、生糸を吐いて繭をつくります。絹糸を得るためにその命をいただく蚕のことを、養鶏農家では、おかいこさま、おしらさまと尊称で呼んできました。
数百年の伝統工芸「生糸」を産出してくれる「おかいこさま」。それが、オレたちの子どもの頃の「モスラ」となっていたんですね。もちろん子どもの頃はそんなこと思いもしませんでした。でも、大人になって、いろいろと分かるようになり、やっと繋がったって感じがします。感動です。でも女性からすると「バカじゃないの⁉️」って感じなんでしょうね。
【リフォームで大切な視点①】1 リフォームの前に「日本の住まい」を知る。
あらためて日本の気候を知る。「開放」と「閉鎖」のある家にする。
縦に細長い日本は亜寒帯から亜熱帯に属し、列島の真ん中に山脈にあるため、地域ごとに風土が存在しています。日本の住まいはこれを上手に活かしながら、高温多湿の気候に合わせた風通しのよい住環境をつくってきました。
日本の住まいの大きな特徴は外部と内部の境界、ようするに開口部が曖昧な空間であることです。「まど」は外と内を空間を仕切る「間の戸」(間戸(まど))であり、外と内の風穴(window)が窓という欧米の考え方とはまったく異なります。自然を拒絶する欧米の考え方に対して、日本の間戸は一部を開放することで限られた空間に広がりをもたせ、機能を限定しない多用途な空間を生み出しました。まさに自然といかに折り合いを付けて強制するかを大切にしてきたのです。
夏の蒸し暑さに対処するなら風通しのよい開放的な空間(ひらく家)、冬の寒さを凌ぐのなら閉鎖的な空間(閉じる家)にします。解放と閉鎖の両極端な考え方は四季の変化で衝突を避けられませんが、この衝突するポイントをいかに工夫するかがデザインの鍵となります。たとえば、廊下とデッキ、リビングとダイニングなど、一体感と区切り方を工夫してできた空間で、場面に応じたドラマチックな場所と空間を生み出すなどです。
現代の家は一般に南側の開口を大きくとり、北側の開口を小さくするだけのもので、ほとんど地域特性を感じることはありません。地域に合わせて風通しや北側の採光を考えれば、開口部をより大きくしたり、デザイン性を持たせたりできるのではないのでしょうか。リフォームの際は、あらためて自分が住む自然環境、地域特性を充分に読み解いて生かさなければ満足のいく家はできないと思っています。
格子戸
外と内を隔てながらも、最高と通風が確保できる。
町屋
日本は雨が多いため、低くて深い軒が特徴的。
廊下
引き戸の建具一枚で、自然との一体化を表現している。
いろり
暖をとるとともに、家族や来客者を集結させる場になる。
2 リフォームの目的をはっきりさせる。
リフォームの基本的な考え方
時間が経過すると建物は劣化し、さらに時代に合わせた住宅性能が必要になります。メンテナンスをしながら、住まいの性能を上げるのがリフォームです。
【リフォーム前の5つのチェックポイント】
建て替えかリフォームかの判断は建物の見た目だけではわかりづらいところがあります。設備機器の新調や生活の質を上げるリフォームであれば改修工事だけでよいのですが、建物の基本となる骨組みに問題があれば、まずこれを直さなければ改修費用が無駄になってしまいます。リフォームを始める前に、必ず建物の基本となる構造のチェックをしておきましょう。
チェックポイントは次の5項目です。
- 基礎補強
- 基礎+土台緊結
- 柱引き抜きの防止
- 架構(かこう)の新設
- 耐力壁の補強
この5項目をきちんと確認してからリフォームにはいりましょう。
とはいえ、実際には確実にそれを調査するには、床壁天井の破壊検査が必要となりますので、経過状況とか見える範囲での劣化状況からある程度の予測が余儀なくされます。
もちろん、破壊検査、調査をするに越したことはありません。ですが、それには棒大な費用が必要となりますので、その状況を鑑みながら、判断をすることも必要になります。
設計者と十分な検討、打ち合わせを積み重ねる
かつてちゃぶ台を使っていた食事が現在ではダイニングテーブルに変わりつつあります。このように暮らし方が変わるに応じて、日本の家は、建物を調査し、変化に合わせて手を加え、長もちさせて住み継いできました。
しかしその後、古いものや生活の推移に合わなくなったものは壊して新しくするという考え方によりスクラップアンドビルドが繰り返され、住宅の平均寿命は26年程度となってしまいました。とはいえ昨今は環境問題に配慮し、限りある資源を大切に使おう、街の資産になる家をつくろうなどと、意識に大きな変化がみられるようになりました。
リフォームの目的も家族構成の変化、設備の老朽化、あるいは健康、安全に配慮するなどさまざまです。それぞれの目的に合わせてリフォームを成功に導くには、最も大切なことは、優先順位を決めること、設計者との充分な打ち合わせを積み重なることです。
【住宅を変化させる主な要因】
リフォームしたいと思うときの要因は、大きく人的要因と物理的要因に分けられます。「家族が減って、家が広すぎるようになった」など、両方の要因が絡むこともあります。
【人的要因】
①家族の成長と老化・衰弱
・家族の成長
・家族の老化
・家族の衰退(病気や事故など)
②家族の増減
・家族の増加
・家族の減少
【物理的要因】
①機能的ではない
- ・現代生活に合わない
- ・ランニングコストがかかる
- ・高齢者向けではない
②狭すぎ
- ・敷地が狭い
- ・建物が狭い
③広すぎ
- ・敷地が広い(植栽の手入れが大変)
- ・建物が広い(冷暖房費がかかる)
④老朽化
- ・構造の老朽化
- ・仕上げの老朽化
- ・設備機器の老朽化
- ・総合的な老朽化