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ハウスメーカーに嫌われる敷地、設計者心をくすぐる敷地
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
小暑(しょうしょ)次候 蓮始めて開く(はすはじめてひらく)
海水浴
海から突き出た鉄の棒に捕まった人々が、静かに海水に浸かっている。実はこれ、つい130年ほど前の「海水浴」の光景です。
「海水浴」という言葉は明治時代、当時の西洋諸国に広まっていた、健康増進のための海水療法を紹介するにあたりつくられました。
もともと日本には、心身の調子を整えるために海水を浴びる「潮湯治(しおとうじ)」や「潮浴(しおあみ)」といった風習があったため、医療としての海水浴が浸透するのに多くの時間はかからなかったようです。大正時代になると次第に泳ぎ遊ぶ人々が増え、日本の夏に欠かせない一大レジャーとなりました。
七十二候で小暑の次候は、蓮始めて華さく(はすはじめてはなさく)です。およそ7月12日から16日までのこと。
以前は毎年この時季、朝の電車でふと外を眺めたら、お寺の池に蓮が咲いていて、葉っぱにまんまるい露を浮かべている姿を見かけることがあります。蓮の葉は、表面にうぶ毛が生えていて、微妙な凹凸のおかげで、水を弾き、雨水が染み込むことがありません。
それを蓮を意味するlotusから、ロータス効果といってナノテクにも応用されているほどです。
蓮は泥の多い池や沼を好むんですね。ところが、その葉や花はきれいな状態を保ちます。よくお釈迦様が蓮の葉の上に座っている姿を仏像や絵画でみることができます。ヒンドゥー教では蓮華は純粋さや善性の象徴とされ、中国や日本では「蓮は泥より出でて泥に染まらず」と言い習わして、やはり蓮を愛してきました。
蓮の葉の研究者、ドイツの植物学者、ヴィルヘルム・バルトロットにより、そこに天然の自浄機構が備わっていることが発見されています。
ハウスメーカーに嫌われる敷地、設計者心をくすぐる敷地
不整形地の個性をデザインに活かす
不整形な敷地に建てる家は、ハウスメーカーには嫌われるかもしれませんが、設計事務所に依頼すると家を自分の作品ととらえるせいかもしれませんが、俄然目を輝かせてきます。設計者の力量が直接反映される敷地だけに、実力のある人ならいくつものアイデアが浮かんできます。基本的には、不整形な形状に合わせて建物を変形させるか、不整形のなかに整形な建物を置き、周囲を緑の空間としてデザインしていくかのどちらかです。
まるで良いところなしの土地なら…借景を探ってみる!
「まるで良いところがどこにもない」。そんな敷地でも、隣家や道路側とのちょっとした隙間から借景を見つけられるかもしれません。借景を利用して室内外が連続する空間をつくり出せれば、狭い家でも広がりを感じられます。
借景すら見つけられないというなら、上空を見上げてみましょう。隣家の屋根越しに見える空の青さは、日本であれば、どんな敷地にも分け隔てなく与えられています。
自分で「景色」をつくり出すという考えかたも有りだと思います。
煮ても焼いても食えない敷地もあります。
地盤が悪い=改良費が掛かり過ぎる。
敷地の形状が良かったとしても、地盤が軟弱地盤だったりすれば、今までの話は振り出しに戻ってしまいます。というよりマイナスから始めることになります。
地盤改良の費用はケースバイケースですが、最低でも100万円近くは覚悟しておかなければなりません。軟弱地盤の程度によっては、もっと高額になることもあります。
擁壁が古いもしくは、車庫が半地下の場合は…購入前なら見送ったほうがいい
「高さ2mを超える古い擁壁がある」「車庫が半地下にある」、そんな敷地は注意しなければなりません。擁壁や車庫の再築造に数百万円から場合によっては一千万円以上かかることもあります。建物や間取りに大きなしわ寄せがくることは必至です。
再建築不可の場合は…スケルトンリフォームを考える
法律上、建物の敷地は道路に2m以上接していなければなりません。ですが、古い住宅地ではこれが守られていないケースがしばしば。
その手の「法律違反の敷地」は、「再建築不可」という状態です。新築はもちろん、既存の住宅の建て替えできません。
こんなとき使える方法が「スケルトンリフォーム」なのです。建物の骨組みだけ残し、あとは全体的にリフォームしてしまう方法です。すご腕のベテラン設計者なら、新築以上に魅力的な住まいを提案してくれるかもしれません。
いい間取りになるかどうかは、「敷地にこだわる」段階から始まっているのです。