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住宅を構成する各空間の標準寸法【寸法考②】
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
雨水(うすい)次候 【霞始めて靆く(かすみはじめてたなびく)】
「ビスケットの日」
時は幕末。水戸藩では、栄養価の高い保存食を探していました。
そこで白羽の矢が立ったのが、長崎藩で外国人向けにつくっていた「ビスケット』です。
とはいえ、その製法は分からずじまい。方々に手を尽くし、長崎県で開業していた水戸藩出身の蘭法医・柴田方庵(しばたほうあん)に調べてもらうことにしました。
彼がビスケットのレシピを手に入れ、水戸藩へ宛てて送ったのが1855(安政2)年の2月28日。
また、ビスケットがラテン語で「2(2)度焼(8)き」を意味することから、語呂合わせもかねて、今日はビスケットの日です。
ビスケットといえば、誰もが思い浮かべるあの童謡。「ポケットを叩くたびに数が増えるのは割れただけだよ」なんて、無粋なことは言いっこなし。
童謡のタイトルは『不思議なポケット』なのですから。
・今日の日をたのしむなら…
【不思議なポケット】
作詞、まど・みちお。作曲、渡辺茂。1954(昭和29)年発表
【織部(おりべ)の日】
従来の意匠を大胆に打ち破り、桃山時代から現代まで多くの人を魅了する陶器、「織部焼」が史実にはじめて登場する
日にちなみ制定されました。
【逍遥忌(しょうようき)】
明治から昭和にかけて活躍した作家・坪内逍遥の忌日。江戸文学の「勧善懲悪』を打破し、現実をありのままに描くよう主張した『小説真髄』は近代日本文学の出発点。
住宅を構成する各空間の標準寸法【寸法考②】
前回、【寸法考①】では、3尺モジュールを半分に細分化することでバリエーションがまったく違ってくるというお話をさせていただきました。
今回は、住宅を構成する各空間の標準寸法を寸法ごとにグループ分けしてみました。
以下、前回の【住宅考①のおさらいです。
住宅の設計に使われるモジュール(基準寸法)は、大変便利なものです。昔も今も尺貫法(しゃくかんほう)の3尺(じゃく)(910mm)を基本としたものが一般的です。
廊下やトイレの幅、押し入れの奥行きなど、3尺(じゃく)(910mm)という長さは遥か古(いにしえ)より、私たちの日常生活にフィットしてきた万能の寸法といっても決して過言ではありません。
建築物をつくる材料なども、大抵は3尺(じゃく)(910mm)が基準となっています。
ところが、私たちは、その半分にあたる455mmを実際には多く使用しています。ほとんどの住宅は、限られたスペースに個室や収納を設けなければなりません。
しかも、効率良くでなければ設計する意味がありません。なので、3尺(じゃく)(910mm)という長さが最小単位では、少しばかり大雑把すぎてしまいます。
よく古(いにしえ)より言われてきた、「帯に短し、たすきに長し」な部分や場所がいたるところに、いくつも出てきてしまうからなのです。
『ごはんをおかわりしたいな……。と思ってもお茶碗一杯だと多過ぎるかもしれないので、半分だけにしておこう』という腹具合ってありますよね。
ちょうど、もう一杯のほうが、少ないくらいかもしれません。その手の微妙な匙(さじ)加減が欲求を満たしてくれる、言い換えれば「かゆいところに手が届く寸法」といえるのです。
それが、一尺の半分、455mmという寸法の重宝さという魅力なのです。
【+455で刻みたい場所「寝室・廊下」空間】
平面図を(間取り)を細かく細部に渡って煮詰めていくと、455mmという寸法がまるでスーパーマンのように大活躍しそうな非常に多くの場所に出くわすというか、出逢います。たとえば、下図のようなところ…
【+455でベッドの周りを快適に】
間口2間(3,640mm)、奥行き1.5間(2,730mm)という6畳のサイズの寝室は、ベッドを2つ置くと間違いなく足元が大変窮屈になります(反面、両サイドは多少余裕)。
そこで、足元側に+455mm大きい奥行き3,185mmにすることによって足元に十分な余裕を作ることができます。僅か+455mmにするだけで快適といえるゆとりの寝室の出来上がりです。
【+455で廊下に収納スペースを設(しつら)える】
廊下の幅を910mmで計画すると、壁を張って仕上げた後の有効寸法は770mm程度まで狭くなってしまいます。この幅は通路だけで使用する分には問題ありません。
ところが、あと455mm広い幅1,365mmで計画することにより、壁面に収納スペースを設けることができます。僅か+455することで大容量のどこからでも出し入れしやすい収納空間となります。
以上ここまでは、おさらいでした。
910mmの空間
1.365mmの空間
1,820mmの空間
2,275mmの空間
住宅を構成する各空間には、一般的な標準寸法が存在します。それぞれの寸法ごとに4つのグループにまとめてみました。間取りを検討する際には、重宝するかもしれません。