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【壁構造の家はリフォームしにくい】(間違いだらけのリフォーム④)

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今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。

立秋(りっしゅう)初候 涼風至る(りょうふういたる)」

夏の甲子園

今年も夏の甲子園が開幕しました。兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場を舞台に、球児たちが熱戦を繰り広げています。

2019年以来、コロナ制限のほとんど撤廃された甲子園大会の4年ぶりの再開です。

甲子園が始まると、郷土愛が呼び覚まされますよね。ふるさと代表の試合は欠かさずチェックし、勝ったとなれば一日ご機嫌。たとえ負けたとしても心からの拍手で健闘をたたえる、という方も多いことでしょう。生まれ故郷が離れた場所で暮らしている知人は、甲子園がはじまると郷里が少し近くなるような気がするそうです。各代表校の地元も熱く盛り上がり、しばらくは日本中が高校球児に夢中になる日々が続くはずです。

・今日をたのしむ
【野球の日】

 8(や)月9(きゅう)日の語呂合わせから制定。夏の甲子園の正式名称は「全国高等学校野球選手権大会」。1915(大正4)年に始まり、米騒動や戦争による中断を挟みつつ開催数は100回を超えました。

【長崎忌(長崎原爆の日)】

 1945(昭和20年)8月9日、長崎市に原子爆弾が投下されました。長崎市では世界平和を祈る「ながさき平和の日」としても定めています。

【壁構造の家はリフォームしにくい】(間違いだらけのリフォーム④)

前回ブログ→【壊すべきか、生かすべきか!のりふぉーム!!】(間違いだらけのリフォーム③)

 

【木造でも特にRCでは壁構造の家は注意!!】

家や建物は、構造に応じて効果的なリフォームの方法が違いますし、どの程度のリフォームが可能化も全く違います。20年以上前にK様というお客様で築100年以上の木造家屋を、みごとにリフォームというか、完全にリノベーション例があります。

【木造軸組み工法】

飛騨高山白川郷その家は古くても柱や梁(はり)などの構造材が全く傷んでいなかったので、いったん丸裸に仕上げを落として、基礎を二重基礎にして、しっかりと補強しました。

その上で柱や梁を組み直し、新たに設備を入れ、最後は現代的なデザインセンスで内装を仕上げました。100年も昔、当時の熟練した職人たちの手で大切に建てられた家が、現代の技術と設備で確かに蘇(よみがえ)った(少し大袈裟ですか…)のです。

この家がリフォームによってこれほど見事に生まれ変わったのは、昔ながらの木造軸組み工法、いわゆる“在来工法”で建築された家だったからなのです。木造軸組み工法とは、柱と梁の仕口(接ぎ手・組み手)による(それぞれの建物で程度は違いますが…)伝統工法のことです。

西欧の伝統工法柱や梁、板を接合する際、一方の木材にホゾやサネと呼ばれる突起を造作し、もう一方にそれらを差し込むためのホゾ穴を彫って、きっちりと1mmのすき間もなく嵌(は)め合わせていきます。

これは、強靭さと融通性を兼ね備えた大変優れた仕口であり、骨組となる柱や梁さえしっかりしていれば、何十年経っても(材と仕口が本物であれば経過とともに強くなるとも言われています)、バラバラに解体しても、再び元の姿に組み直し、復元することができます。

明治時代の歴史的な建築物が愛知県の明治村に、江戸時代の豪農の屋敷が川崎市の古民家園に移築され、立派に生き続けているのも、そのためです。

【ツー・バイ・フォー工法及び木造パネル工法】

ツー・バイ・フォーの家「軸組み」に対して、同じ木造でも、まったく考えの違う新しい工法があります。ツー・バイ・フォー工法とか、木造パネル工法と呼ばれる「枠組み」の木造です。ツー・バイ・フォーは、北アメリカからカナダ地方に掛けて開発された開拓者用住宅、バルーン工法の現代版です。

「ツー・バイ・フォー」要するに、2インチ×4インチ角の材木を芯枠にして、両側から合板を太鼓張りに打ち付けて、最初に壁面を製作してしまいます。その後、この壁面を四方に建てて金槌(ハンマー)と接着剤で接合します。屋根と床仕上げ材を付ければでき上り。

 

北米の家壁も天井も風船のように骨無し(骨がない)一体だというところから「バルーン工法」の名がついたと言われています。木造軸組み工法がマッチ棒で造られた柱、梁の家にたとえれば、ツー・バイ・フォーは、ボール紙を折って作られた壁の家(あまり、たとえがいいとはいえませんが…)いうこともできるかもしれません。

要するに、ツー・バイ・フォーは、家全体が大きなパネルから成る建物だといえます。同じパネル工法の家としては、工場でつくられた1メートル幅の木造パネルを現場でパタパタと組み立てる工法や細い鉄骨を軸にしてパネルを組み合わせる鉄骨系のパネル住宅などもあります。

これが「プレファブリケーション」、すなわち「プレファブ」です。あらかじめ部材を工場で生産される家です。

そこで問題です。

日本の伝統工法たる木造軸組みと、海外から輸入されたパネル住宅と、一体どちらが強いのでしょうか?住宅に興味を持つ人なら、おそらく誰もが知りたいテーマではないでしょうか?

【ツー・バイ・フォーと木造軸組み工法どっちが強い?】

残念ながら、まだ答えが出ていないのが実情です。実際、永遠に答えは出せないのかもしれません。「壁全体で建物や屋根を支えるパネル工法のほうが地震に対して強い」という説には、それなりの根拠があります。

ですが、パネル工法が日本に導入されてからの歴史は、まだあまりに浅いのです。ツー・バイ・フォーが誕生した、カナダや北アメリカと日本ではまったくといっていいほど気候が違います。

日本は世界に類を見ないほどの「高温多湿」の環境です。壁で囲まれた気密性の高い家に、はたしてどの程度の耐久性があるのか疑わしいところです。率直にいって、今の段階ではまだ分かりません。

昔の日本の家が100年以上も長持ちしたのは、開口部が広くて外部と一体化した、風通しのよい構造だったからに他なりません。これに対してパネルの家は、壁で囲まれた箱の家です。20年、30年と経過するうちに、結露やカビが原因で構造材が腐り始めるかもしれません。

そうなってから大地震に見舞われたとしたらどうでしょうか。はたして、それでも在来工法の家より強いのかどうか疑わしいところです。

さらに、ツー・バイ・フォーやパネル工法の家は、すべての壁が一体となって初めて強度が出る壁構造です。したがって、あとになってから「ちょっとこの壁に穴を開けて窓をつくりたい」と思っても、簡単にはできないのです。

間取りの変更などもむずかしく、無理をすれば全体のバランスが崩れて、家の構造がいちじるしく弱体化しかねません。リフォーム、リノベーションという視点から見ると、壁構造の家やプレハブは大変扱いにくい、厄介な家とも家なのです。ですが、少なくともこれらの論争で言えることは、少なくとも『家は強さだけでははかれない』ということだとおもいます。

ただし、それなら最初から間仕切りの変更の必要のない外壁面だけで構造体とする『スケルトン・インフィル』という考え方もあります。その説明は、また後ほど改めてということで、今回はここら辺で…。

by株式会社 大東建設 阿部正昭

 

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