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【階段】実は働き者「三方良しの階段」 [快適さを生む「繋ぐ」1]

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今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。

小暑 初候 温風至る

白南風(しろはえ)と黒南風(くろはえ)

この時期、白南風(しろはえ)と黒南風(くろはえ)という名の風が吹きます。
七十二候で小暑の初候は温風至るです。南風が温風を運んでくるということで、およそ7月7日の七夕から7月11日ごろのことです。

そして梅雨の晴れ間や、梅雨明け間近のころ、あるいは梅雨明けした青空に吹く雲を吹き飛ばすような南風を、白南風(しろはえ)と呼びます。

それとは対照的に、梅雨空に吹く湿気たっぷりの南風は、黒南風(くろはえ)といいます。

黒から白へ、空も風も人の心も晴れ晴れと澄み、いよいよ夏が来ます。

【階段】実は働き者「三方良しの階段」 [快適さを生む「繋ぐ」1]

【階段は建築・リフォーム計画の要】

 

階段は働き者

実は階段は思っているより働き者なのです

何かと蔑(ないがし)ろにされがちな階段ですが、実はリフォームや新築、建て替えの際に階段のプランニングは重要なかなめとなる部分なのです。

ほかの部分と整合性をとりながら、どんな階段がこの建物には合っているかなぁ、と考えたりします。家の中で階段は大きな空間を占めるところですし、小さな家になるほど家のなかの中心や目立つ位置につくらざるを得ないのです。

実際、いい家ほど階段は建物の中心にある場合が多いので、よかったら名建築といわれている建物を注意して見てみてください。必ずといっていいほど家の中心にありますので…

ですから、大変に神経を使うところでもあります。特にリビングのなかにある(リビングイン階段)場合は、四六時中、そこに住まう人がその階段を観ることになりますし、訪問客にだって観られることは間違いありません。

また、階段をつくれば否が応でも吹き抜けができます。というより下の部屋と上の部屋を繋ぐものですから、階段と吹き抜けはセットでそんざいするのが、当たり前といえば当たり前なのです。

これを採光と通風を確保するシャフト(縦方向の通り道)として活用します。特に吹き抜けの面積を別の場所に確保するのが困難な狭小住宅では、階段をフル活用しない手はありません。

もうひとつ、階段は安全性も重要なポイントとなります。どんなに便利で格好の良い階段でも安全性が損なわれていては、良い階段とはほど遠いものになってしまいます。

なので、意匠性、吹き抜け機能、安全性、の階段の三方良し原則です。この3つが揃ってはじめてよい階段ができ上がるのです。

【階段の種類】

〈実際にこの4タイプを使って、家にあうように設計、デザイン、コーディネイトします〉

折り返し階段

折り返し階段 横U字型階段

①【折返し階段(折れ階段)】

U字型の階段。途中に踊り場のあるタイプで、安全性に最も優れています。踊り場は必ずしも真ん中とは限られているわけではありません。上がり口につけることもあります。

スキップフロアや階高がある場合は、2箇所設置も考えられます。踊り場の階段下のデッドスペースは、天井が平らになりますので、収納やトイレなどに活用してもいいと思います。

鉄砲階段

鉄砲階段(直行階段)

②【直行階段(鉄砲階段)】

 

鉄炮階段とも呼ばれる真っ直ぐな階段。吹き抜けを最も長く取れるため、光と風を通す点からは理想的な階段です。

ところが、安全性の面では、つまずくと下まで一気に転げ落ちてしまう危険度の最も高い階段でもあります。

住宅ではそれほど問題にはならないかもしれませんが、死亡事故の件数が最も多い階段でもありますので、ご注意ください。

螺旋階段

お洒落だが意外と…螺旋階段

③【螺旋(らせん)階段】

1つの軸を中心に回転しながら昇降する階段です。見た目にはエレガントで美しいのですが、上り下りは意外としにくい階段といえるかもしれません。

軸と手すりは鉄骨でも、踏み板を床と同じ木の材質にすることで、温かみのある見た目になり、歩き心地も格段に快適になります。

回り階段

【回り階段(曲がり階段】

④【回り階段(曲がり階段】

折れ階段と似ていますが、はっきりした踊り場がなく、踊り場を三角形の踏み板で4分割することによって、緩やかにカーブを描きながらターンするタイプの階段です。螺旋階段よりはカーブがきつくないので、上がり下りはし易い階段です。

【階段を光と風を運ぶ通り道にする】

〈階段は絶好の吹き抜け空間。光と風の通り道として利用します〉

陰翳礼讃 障子の光が漏れる

南側の壁一面に張られた障子の手前に鉄砲階段をつくれば、障子から漏れた柔らかな光を2階はもちろん1階にまで取り込むことができます。

そして、1階から2階への空気を運び、風が吹いていなくても重力換気効果で、風を起こし、家全体を一定の室温に保ってくれます。

大きなガラス面は、夏は熱気を冬は冷気を家のなかに伝えてしまいます、障子も断熱効果がある建具なのですが、より断熱、遮熱効果の高い、インナーサッシに組子をつけても陰翳礼讃は楽しめて、断熱効果も大いに期待できます。

東南の角

東南の角を開放して各階の暗闇からの脱出

南東の角を開放する

光が一番良く入る東南の角にあえて階段をもってくるのもありだと思います。図は東南の角に回り階段を設置した状態です。全面窓から自然光を確保し、風も通すことが可能です。まさに光と風の通り道として機能します。

ただし、夏は灼熱地獄、冬は極寒地獄となることは間違いありませんので、ガラスやサッシの断熱工事も併せて考えなければ、なりません。

【それぞれのアイテムに階段以外の機能をもたせる】

階段にもうひとつの機能をもたせて空間を最大限にフル活用

書斎としての機能

書斎としてのプラスα機能をもたせる

(広めの踊り場にして、書斎機能をもたせる)

踊り場の奥行を少しだけ広げることにより、簡単に書斎空間はできあがります。机の上部の壁には本棚を設え、さらにその本棚の上には窓を設けてハイサイドライトとして採光と風の通る道をつくります。昼間も快適に読書できる空間を生み出します。

壁面いっぱいの本棚

壁面いっぱいの本棚のプラスαの機能をもたせる

(階段壁面いっぱいの本棚を設える)

壁一面に本棚を設けることも十分に可能です。階段の高さを利用した、ハリーポッターに出てくるような、大スケールの本棚を設えることも十分可能です。階段に腰掛けて読書するのは、楽しいですよ。

この階段をつくられた、お客さまは、明るくて、いつでも風がとおり、夏は家族全員で階段に腰掛けて読書なり、宿題なりをされると話されていました。

ただし、やはり本棚の裏の壁面と窓の断熱は十分に考えなければなりませんね。真冬は本棚の壁が結露でびっしょりなんてことにもなりかねませんからね。それにそのような状態では、快適とはなりませんから、冬はそして誰もいなくなったとなりかねませんので…

階段下収納

階段下収納のプラスαの機能をもたせる

(階段下の収納)

ありふれた、一般的な階段スペースの活用法です。特に折り返し階段ではつくりやすいと思います。物を取り出すために奥行の深さは欲張ってあまり深いものにはしないようにしましょう。結局は奥のものは取り出すことがないまま二十年などということにもなりかねません。

もちろん、階段は毎日目につくところ、お客さまにも観られるところです。見てくれのデザインもシンプルで構いませんが意匠にもこだわりが必要だと思われます。

【いい階段とは、上り下りし易いに限ります】

もちろん機能は大切です。ですが、階段は何をおいても安全でないと

手摺は上から下まで

手摺は上から下まで手を離さないで降りられます

[上から下まで遮られないのが手すり]

手すりには受ける金物が必要なのですが、その金物が付けられていて、握った手が遮られる階段は危険極まりありません。最低限避けるようにしています。

上から下まで握りっぱなしでも繋がるようにつくられていなければ、設計しているとはいえません。ちょっとした工夫で安全性は格段に増すのです。

蹴込みは重要です

蹴込み板は、無くてはならない重要な部位です

[蹴込み板は、無くてはならない重要な部位です]

階段の踏み板と踏み板の間の、立ち上がりの奥まった部分を「蹴込み」というのはご存知ですか?その蹴込み板のない階段では、上る際に足の構造上、つま先が蹴上げ板引っかかってしまいます。

そして、降りる際には踵(かかと)がぶつかってしまいます。蹴込み板のない階段は構造上問題なのですが、なぜか、大変よく見かけます。階段は上れればいいと思っている人が設計されているのでしょうね。

では、これを防ぐためには、踏み面の奥行は270mmにして、次の踏み板との重なり部分を30mmにするとかなり引っ掛かりにくくなります。

踏み込みないと何度もぶつかって、上り下りする際の恐怖心に繋がることもありますし、そのまま大事故に繋がる場合もあります。階段はたかが階段なのですが、されど階段です。舐めてかかっては痛い目に遭うかもしれません。

12段

12段2600mm

[理想の階段の階高と段数は、それぞれ2,600mm/12段]

1階から2階までの高さ、いわゆる階高は概ね2,600mmを推奨しています。そこに12段の踏み板をつくるので、1段の高さは、おおよそ216mm(蹴上げ)となります。13段にして200mmでもいいかもしれません。

階段滑り止め

階段滑り止めの溝

滑り止め

踏み板に滑り止めのための溝を2~4本付けています。また、ウレタン樹脂塗装はかなり滑りやすくなるので、避けたほうがいいでしょう。できれば自然塗料、天然塗料がお薦めです。

今どきの建物で階段に手摺を付けていないものはおそらくないと思われますが、その手摺の付け方がいい加減なものは信じられないくらい多く見られます。

工事は金額の高い安い以前に最低限、信頼できる人を探すことから始まります。

by株式会社 大東建設 阿部正昭

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