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ほとんど知られていない「加湿器」の世界

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ほとんど知られていない「加湿器」の世界

室内空気が乾燥するとウィルスや細菌が元気に

まだまだ寒い日が続いて暖房が欠かせませんが、注意したいのが乾燥です。

エアコンで暖房をする場合は、さらに室内の乾燥がすすんでしまいます。

乾燥はお肌のトラブルはもちろん、新型コロナやインフルエンザなどウィルス感染症のリスクも高くなると言われています。

のどや鼻の粘膜が乾くと、異物を排除する細かい毛(繊毛)の動きが鈍くなり、細菌やウィルスを排除しにくくなります。のどだけでなく、空気にさらされている肌も乾燥するとうるおいがなくなり、「しわ」や「くすみ感」が出てしまうことも。

そこで「加湿器」の出番ですが、複数の加湿方式があり、性能や機能もさまざまです。今月の特集として、『失敗しない加湿器選び5つのポイント』を紹介します。順番にチェックしていけば、部屋やニーズにピッタリ合った加湿器が選べます。

その1 「方式の違い」をチェック

加湿器は、加湿方式によって主に4つのタイプに分かれます。

ここが最初のチェックポイントです。4タイプのメリットとデメリットを説明します。

(1)気化式(ヒーターレス)

気化式は、水を含んだフィルターにファンで風を送り気化させる方式です。水に濡らしたタオルを扇風機で乾かした状態が近いといえます。ファンがあるため、広範囲に加湿できます。

ヒーターを使用せず、送風のみなので吹出口が熱くならないのがメリット。消費電力も少なくてすみます。

ただし、急速な加湿には不向きで、部屋も冷えやすく、加湿フィルターの交換や手入れも定期的に必要になります。

(2)スチーム式

スチーム式は、水をヒーターで加熱し、水蒸気に変える方式です。

お湯を沸かすと湯気が出るのと同じ原理で、加熱中のポットのふたを開けたイメージに近いです。

水を沸騰させるので衛生的に加湿できるのがメリット。

また、加湿パワーがあり、即効性も高くなっています。

ただし、吹出口が熱くなる機種もあるので要注意。

消費電力も大きい傾向にあります。

(3)超音波式

超音波式は、水に超音波を当てて霧状の微粒子にして放出する方式。

簡単にいうと、ものすごく細かい霧吹きといったイメージが当てはまります。

仕組みが簡単なのでコンパクトで低価格な機種が多いタイプです。

部屋に気軽に置けて、消費電力も少なくてすみます。

短所としては水を加熱しないので、タンク内の雑菌がそのまま外に放出されてしまいます。衛生面は気になるところ。こまめな手入れが必要です。

(4-1)ハイブリッド式(気化式×温風気化式)

ハイブリッド式は、2つの加湿方式を組み合わせたものです。

このうち「気化式×温風気化式」は、フィルターに送る風をヒーターで加熱し、加湿力を強めたタイプ。

ファンがある方式なので、早く広範囲に加湿できます。

(4-2)ハイブリッド式(超音波式×加熱式)

「超音波式×加熱式」は、ヒーターで加熱した水を超音波で霧状にして放出します。静音性が高く、水を加熱することで衛生面とパワーを向上させたタイプですが、消費電力がやや高くなる傾向があります。

2つのハイブリッド式は、それぞれの加湿方式のデメリットを補った進化したタイプです。

機種によっては、状況に応じて2つの方式をうまく使い分けて省エネしてくれるものもあります。

本格的な加湿器にこのタイプが多く、やや価格が高くなりがちなのがデメリットでしょうか。

その2 「加湿量」をチェック

部屋の広さに応じた加湿量(加湿能力)も加湿器選びには欠かせないポイントです。

本体が大きくても加湿量が少なかったり、逆にコンパクトに見えて加湿量が優秀だったりと、この部分は機種によっても大きな差が出るので、必ず購入前にチェックしたいところです。

なお、加湿量は「mL/h」で表示します。こちらは室温20℃・湿度30%のとき、1時間あたり何ミリリットル(何cc)の水(水蒸気)を出すかを示した数値です。

この数値が高いほど加湿量が多く、より広い部屋で使えることになります。

寝室などの個室は300mL/h~500mL/hが目安

部屋の広さにもよりますが、寝室などの個室なら300mL/h(適用床面積 木造和室5畳/プレハブ洋室8畳)~500mL/h(木造和室8.5畳/プレハブ洋室14畳)を目安に選びましょう。

静音性を重視したナイトモード、タイマー機能などを持つ機種がオススメです。

リビングなら700mL/h~900mL/hが目安

一般的なリビング用として選ぶなら、700mL/h(適用床面積 木造和室12畳/プレハブ洋室19畳)~900mL/h(木造和室15畳/プレハブ洋室25畳)を目安に選びましょう。

子どもがいるご家庭なら、吹出口が熱くなるスチーム式以外を選び、チャイルドロック機能があるものを選ぶのがオススメです。

ワイドリビングなら1000mL/h~1200mL/hが目安

ワイドリビングや吹き抜けのあるリビングなら、加湿量1000mL/h(適用床面積 木造和室17畳/プレハブ洋室28畳)~1200mL/h(木造和室20畳/プレハブ洋室33畳)のパワフルなモデル選びたいところ。

ただし、このクラスを発売しているメーカーが少ないので、選択肢は限られてきます。

また、通常のリビングよりも広いため、できれば設定湿度に達するまで加湿量をアップするターボモード(後述)付きのモデルがほしいところです。

オフィスや店舗なら1500mL/h以上を選びたい

オフィスや店舗に使うなら、業務用クラスの1500mL/h(適用床面積 木造和室25畳/プレハブ洋室42畳)以上のモデルを選びましょう。パワフルなモデルは音が大きくなりがちなので、静音性を重視したモデルを選ぶのがオススメです。

加湿スピードと電気代を重視するなら、ひとクラス上の加湿量を選ぶのもオススメ

一般的に部屋サイズの加湿量よりもひとクラス上のほうが、加湿スピードの面でも電気代の面でもおトクになります。

たとえば、D社の機種で比較すると(以下表組参照)、300mL/hの機種で標準モード(加湿量300mL/hで98W)を使うより、500ml/hの機種でエコモード(加湿量365mL/hで11W)に設定したほうが、同じ加湿量でも消費電力が約9分の1というケースもありうるのです。加湿スピードと消費電力を重視するなら、加湿量がひとつ上のクラスで、エコモードを持つモデルを検討してみましょう。

ただ、クラスが上になるとタンクの容量も大きくなるので、給水の際にタンクが持ち運びやすく設計されている機種を選ぶのがいいでしょう。

その3 「機能」をチェック

加湿方式と加湿量の目安が決まったら、次は加湿器に搭載されている機能もチェックしましょう。

加湿器に搭載されていることが多い機能を解説します。

【エコモード】

消費電力を抑えて効率よく加湿運転する機能。ハイブリッド式(気化式×温風気化式)なら消費電力の少ない気化式のみに切り替えるなど、状況に応じて運転し、賢く消費電力を抑えます。やや加湿量は減るものの、長時間加湿器を使うスタイルの人には節約になるモードです。

【ターボモード】

一時的に加湿量をアップする機能。乾燥が気になる帰宅時でもスピーディに部屋をうるおすことができます。

外出先で肌やのどの調子が悪いと感じたとき、帰ってすぐにいい環境が作れる心強い機能です。

【ナイトモード】

小さな運転音で加湿するほか、表示部の明るさも抑えるなど眠りを妨げずに加湿するモードです。運転音を下げるため加湿量は減りますが、睡眠中の乾燥が気になる方にオススメのモードです。

【湿度自動調整機能】

本体のセンサーなどで湿度を感知し、設定した湿度に自動的に保つ機能。

ハイブリッド式ならヒーターのON/OFFを状況によって切り替えながら加湿します。過加湿の心配がなく、安心です。

【タイマー機能】

決まった時間に加湿器のON/OFFが設定できる機能。朝、加湿器をつけるのが面倒くさい、つい忘れてしまうといった人に便利な機能です。就寝・起床時間がほぼ決まっている、帰宅時間が一定といった場合には特に有効です。

【チャイルドロック】

ボタン入力をロックし、誤操作を防ぐ機能。もう一度ボタンをセットするまで操作ができなくなります。

小さな子どもがいる家庭では注目したい機能です。

その4 「お手入れ&清潔性」をチェック

加湿器が引き起こす「加湿器病」がニュースでもときどき報道されます。

2018年冬にも大分県の老人ホームで、加湿器で繁殖したレジオネラ菌による死亡事故が発生しました。

これは細菌が繁殖しやすい超音波式の加湿器の手入れを怠ったことで起きたものです。

超音波式に限らず、加湿器の内部で雑菌が繁殖してしまうと一緒に放出されてしまう可能性があるので、どの加湿方式であっても必ずお手入れが必要です。

そこで重要となるポイントは、お手入れしやすいものを選ぶこと。タンクに入れた水道水は、半日ほど経つと残留塩素が抜けてしまい、雑菌が繁殖しやすくなっていますので、毎日水を替えて定期的にお手入れする必要があります。

また、トレイや気化フィルターには塩素(カルキ)などが付着します。

タンクやトレイ、気化フィルターが取り外しやすく洗いやすいか、または交換しやすいかどうかをしっかりチェックしましょう。

タンクは広口のものなら、スポンジを入れて内部をしっかり洗えます(写真)。

もうひとつのポイントは、雑菌が繁殖しやすい場所に抗菌加工が施されていること。フィルターや水タンクに抗菌加工のパーツが使われているものを選ぶと安心です。

その5 「静音性」をチェック

リラックスしたいリビングや寝室に置くことが多いので、静音性も気になるところ。

スペックに書かれている動作音の数値「dB(デシベル)」をチェックしましょう。

40dB以上になると、リビングでテレビが少々聞こえづらく感じることもあります。

できれば30dB台のモデルを選びましょう。

水は必ず「水道水」を使いましょう

加湿器の水にはミネラルウォーターではなく水道水を使うべきです。

水道水には「塩素」が含まれており、時には付着するのでお手入れは必要ですが、それによって加湿器内の殺菌や消毒をしてくれるからです。

実際に、水道水にどのくらい除菌効果があるのでしょうか?

東京都水道局の公式サイトによれば、常温であれば3日、冷蔵保存であれば10日も菌の繁殖を防ぐことが可能だそうです。もしも、塩素が含まれていないミネラルウォーターを使うと、加湿器内の水に細菌が繁殖しやすくなり、カビの原因に繋がります。

同サイトでは、「インフルエンザ予防のために水道水で手洗いやうがいをしましょう。塩素消毒によって速やかに感染性を失います」とあり、「エボラウイルスについても塩素消毒が効果的」であることも明記されています。

加湿器の水にミネラルウォーターを使ってはいけない理由

美容や健康目的で加湿器を購入された方がミネラルウォーターや浄水器でろ過した水の方が体に良いと思ってしまう気持ちも分かります。しかし浄水器の水やミネラルウォーターには塩素が含まれていないため加湿器内にカビや雑菌が繁殖しやすくなります。

カビや雑菌が繁殖したまま加湿器を利用してしまうと加湿器から出る水蒸気とともにカビや雑菌を空気中にまき散らし、体調を崩す原因やカーテンや家具にカビが生える原因にもなります。

水道水が気化して塩素が飛び散るのでは?

水道に含まれる塩素(次亜塩素酸などのカルキ成分)が空中に飛散するのは「超音波方式」だけです。

そもそもコロナ対策として次亜塩素酸を追加して入れることに対応した加湿器(主に業務用)もあるくらいですから、濃度の程度にもよりますが、安全性に不安はないと思われます。でも、不安があれば他の加湿方式を選びましょう。

水道水でも安心しないで

1日のうちに使い切らなかった加湿器の水をそのまま放置し、次の日にも使っている方はいるのではないでしょうか。

しかし衛生面を考えると、加湿器内の水は1日に1回は交換しましょう。

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