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「やすらぐ」から「活動」へ変遷する住まいの機能
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
ゴーヤの日
今日は5月8日で「ゴーヤーの日」。
ゴーヤーはウリ科の野菜であるニガウリ(ツルレイシ)を指す沖縄の方言ですが、最近ではこちらの方が一般的というか、おなじみになっているような気がします。
ゴーヤーは味わうだけでなく、育てる楽しみも手軽に味わえる野菜です。
プランターとネット、土を準備し、毎日の水やりさえ忘れなければ、ぐんぐん成長して実が成ります。
夏場の室内温度の上昇を防ぐグリーンカーテンにもうってつけ。
清々しい朝顔のグリーンカーテンも素敵ですが、食いしん坊のオレは断然ゴーヤ派。
涼しくて、食材も手に入って、お腹も膨れるなんて一石二鳥どころか一石三鳥です。
ちなみに、グリーンカーテンには山ぶどうが🍇最高ですよ。最も暑い時季をカバーしてくれますし、ブドウの実がなれば、そのまま食べられますからね♪
そして、
立夏の初候は、蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)。七十二候では、蛙の鳴き声が夏のはじまりを告げます。およそ5月 5日から9日にかけての季節です。
その蛙が姿を現わすのは、霜が止んだ証拠でもあります。
田植えしたての早苗にとっては、霜は大敵。蛙の声は、稲の成長を願う人々にとって、ほっと安心する声かもしれません。
よく知られていながら、思えば不思議なのが芭蕉の蛙の句です。
こんなに単純な言葉のなかに、どんな詩歌の秘密があるのでしょう。
古池や蛙飛び込む水のおと 松尾芭蕉
たったこれだけの短い言葉だけで、いろんな情景が浮かんできます。芭蕉さんってただものではないですね。(笑)
「やすらぐ」から「活動」へ変遷する住まいの機能
定年後は住まいの機能を「やすらぐ」から「活動」へ
団塊世代の大量退職が連日マスコミで取り上げられて以降、リフォームの形も様変わりしています。当然のことながら、日本の経済を支えてきた800万人もの世代がいっせいに家に帰ってきたからです。
ひと足はやく子育てを卒業した奥さまと、会社勤めを卒業したご主人との暮らしをどう再生していくのか、住まいの機能という側面で考えてみたいと思います。
ご主人の書斎(最近ではDENや男との隠れ家とも呼ばれているかもしれません)…それは、奥さんからすれば「なんて贅沢な!私には、ちゃんとした個室はないのに」と、敵視されてきた空間だったかもしれません。
ところが「主人在宅ストレス症候群」(定年後にご主人が四六時中家の中でゴロゴロしてそのストレスから奥さんが病気になってしまう症状)が話題になってからは、奥さんのお気に入りの場所を占拠してゴロゴロされないよう、ご主人を上手に「収納」できる空間(笑)として見直されてきています。
ご主人の定位置を決めてあげる
収納の基本は、「モノをうまく収納するには、それぞれに定位置を決める」ことが何よりも重要です。もちろんご主人はモノではありませんから、「居場所」ということになりますね。
私にも、DENのような定位置がありますが、もしも定年退職があったら、そこですらも邪魔にされるようになるかもしれません。
そこで、ご提案です。子どもが独立して今や物置になってしまっている空き部屋や、何も利用されていない屋根裏スペースを、DENにリフォームして、ご主人にとっての「お気に入りの場所」を造ってあげましょう、
これまでの会社にかわって「毎朝出勤する場所」なのです。えっ、こんなところに?!なんてスペースでも一工夫でできるものなのです。
収納は壁に埋め込んでしまえば隠れ家として十分なスペースを作る事ができますし、内装を自然素材にすると、ロッヂ感覚の部屋にもなります。
周りの音を気にせず、自分の時間が楽しめる素敵な空間です。これでご主人が奥さまのお気に入りのソファで終日ゴロ寝される心配が、解消されます。
子どもたちには、子どもたちの居場所(子供部屋)がありました。妻たちは、夫が出社し子ども達が登校すると、家の中でひとりになることができました。夫はどうでしょう。
家族の誰からも邪魔されずに、ひきこもって泣く場所はあったでしょうか。
父親という役目からも、夫という役目からも開放されて、男としての時間を使いたいときがあると思います。ときには静かに本を読んだり、学習したり、趣味に没頭できる自分のためだけの部屋が必要なのです。
ただし、妻としては夫がいつまでも「家のなか」に引きこもっている、という状態はそれはそれで困りものです。
その居場所は夫が自分を見つめなおす空間であると同時に、夫の存在がふたたび社会に開かれていくための場所であってほしいものです。否、そうでなければならないのです。
定年前の会社関係に限られた人間関係の枠を超え、地域や趣味仲間といった新たなコミュニティをつくりあげていく拠点として活用するよう、奥様が提案してあげましょう。
「新たな人間関係を作り上げるには、きっかけをつくるための多くの準備と努力が必要になります。テレビの前でごろ寝しながら考えられるような、そんな甘いものではありませんよ」、と。
また、「書斎」=読書や勉強の空間という堅苦しいイメージではなく、肩肘の張らない自分だけの趣味のスペースとしての空間提案も重要です。
趣味のつり道具をメンテナンスしたり、子供の頃には叶えられなかった高級なミニチュアカーのコレクションやプラモデルやダイキャストモデルを始めるなど、夢中になれる時間を持つための居場所づくりです。
さらにこれからは、家族の形態やライフスタイルに応じたリフォームを考える必要が生まれてきているのです。
子育ての時期は「個室に至る動線をリビングルームなどの共用部を経由させるオープンな間取り」というよう配慮がなされます。
また、遅くまで働いて疲れて帰ってくるご主人や、子育てで疲れた奥さまのために、「疲れを癒す」という機能が住まいに求められました。
ところが、夫婦ふたりになった時点で、住まいの機能はまったく変わってしまいます。新しい夫婦の関係を再生するという視点で、住まいの機能も見直してみてはいかがでしょうか。
妻と夫にそれぞれに一部屋あって、あとは共通の空間だ、という従来の間取りの考え方も見直してもいいと思います。
HOHO(ホーホ)「His Office Her Office」
それぞれの人間関係が広がっていくと、それぞれのリビング空間が必要となりますし、それぞれの趣味や事業などのスペースも必要になってくるものなのです。
もしかしたら、極端な話、玄関を2つにすることもあり得るのかもしれません。
今、アメリカではHOHO(ホーホー)というスタイルが生まれています。
HOHOとは「His Office Her Office」の略です。
これまでのSOHO「Small Office Home Office 」(事務所などから離れて自宅で仕事や事業を行う形態のこと)の進化した形としてアメリカの中高年層に広がっています。
定年後の夫婦が、お互いに自宅に自分のオフィスや活動拠点を持ち、それぞれに自分の趣味やボランティアや、小さな事業、デイトレーディングなどを行うというスタイルなのです。
つまり、「相手に依存するという従来の夫婦関係」から、「個人として自立することを助け合う夫婦関係」へ、という視点なのですね。
会社勤めや子育てを卒業したから、あとはのんびりとごろ寝・・・という暮らしは「あり得ない」のです。これからは、住まいの機能を「くつろぐ」から「活動」に変化させる時代の到来なのです。