BLOG

ブログ

これからの夏は、蚊帳(かや)が蚊帳が面白いらしい?!

LINEで送る
Pocket

【殺虫剤やエアコンが苦手という人の間で静かなブーム】

間もなく4月ですね。しばらくすると梅雨入りです。その前に【菜種梅雨(なたねづゆ)】なるものがあります。もう既に入っているかもしれません。梅雨に入ると湿気がこもり、お部屋の中で結露が起きる危険が増します。

特に足元に雑多なモノが散らかると、湿気を含んだ重い空気の流れが滞り、結露の発生リスクが高まります。結露はカビを発生させ、カビはダニの発生を誘います。

健康的な暮らしのためにも、気候が安定し、過ごしやすい今のうちに収納の工夫やお部屋のリフォームを計画しましょう。

さて、お部屋がすっきりすれば、次は夏の夜を楽しく、そして健康的に過ごす工夫を研究してみましょう。その工夫とは・・・蚊帳です。「かや」と読みます。そうです、蚊帳(かや)を見直してみませんか?

一晩中、クーラーをかけっぱなしで眠ると、冷えすぎてしまいます。扇風機をかけて眠ると、体がだるくなったりすることがあります。そんな夏、やっぱり蚊帳の出番です。

さて、蚊帳と書いて「かや」と読める人が少なくなっています。この21世紀にそんな古めかしいものは必要ないし、とっくに世の中からなくなってしまっていると思われる人も多いことでしょう。

念のため、蚊帳とは、夏の夜、蚊や害虫を防ぐため、四隅をつって寝床を覆う道具(ネット)のことです。麻・木綿などで粗く織って作られています。

驚いたことに蚊帳の歴史は古く、「日本書紀」によれば、応神天皇の時に呉から蚊屋衣縫(かやのきぬぬい)という蚊帳作りの女性技術者が渡来したとあります。さらに驚いたことに、そんな昔からあんな小さな蚊に苦しめられて来たのですね。

「播磨国風土記」には、応神天皇が巡行の際に飾磨郡加屋里(しかまぐんかやのさと)に御殿を建てて蚊帳を張ったためにカヤ(加野)と称したという地名起源伝説が記されています。

鎌倉時代には高貴の人だけにつかわれており、ある程度普及するのは室町時代、そして庶民の間で用いられたのは江戸時代になってからです。

その後、昭和40年代頃までは普通に使われていましが、エアコンの普及にともなって姿を消していきました。

【蚊帳が消えてアトピーが増えた?】

アトピーの原因は遺伝、体質、環境などが考えられていますが、近年になって明らかに変化しているのは環境ですね。日本人は清潔になりすぎて、生物としての免疫力が低下してきたのでしょうか。

もちろん清潔なことは重要だと思いますが、それによって自分たちを守ってくれている、免疫力を下げてしまっているようでは本末転倒ですからね。もっと微生物のことを理解していきたいですね。

現代は殺虫剤で虫を駆除します。この薬は強力で、子供の健康にも影響が心配されます。とくに体の弱い赤ちゃんには気がかりですね。また、エアコンの長時間使用による冷えすぎや空気の汚れも子供たちの健康にダメージを与えている気がします。

むかしの蚊帳は、虫を殺すことなく、虫との共生を実現していました。また、純麻の糸で編まれた蚊帳の中は湿度が下がるため、体感温度が涼しくなるという効果もあります。

このようなことから、殺虫剤を使わず、蚊帳でお昼寝をする保育所が増えています。実際にコロナ禍の現在に於いても同じことがいえるような気がしています。

【蚊帳に「快眠」を求める団塊の世代】

蚊帳の見直しブームは、健康問題から始まっていたんですね。エアコンや殺虫剤に頼らない健康な睡眠を求めた結果でした。同時に、蚊帳の中に入ったときの「独特の雰囲気」を求める人も増えているようです。

それは、「夏のにおい」であり、「家族の温もり」であり、なつかしさと、心からの安心感を与えてくれます。ストレスが多く、なかなか眠れなかったり、眠りが浅いという不満を持つ多くの団塊世代にとって、蚊帳は「快眠」を手に入れる貴重なアイテムのようです。

現在では、和室用だけでなく、ベッドにも使えるものや、アジアの雰囲気を楽しむ様式のものもあり、眠りを楽しむ道具として、機能が広がってきているようですね。

エアコンや殺虫剤を使わない眠りという健康的な側面もさることながら、インテリアの素材として蚊帳を見直すと、寝室のリフォームのアイデアがぐんとひろがりそうです。

私たちは、寝苦しい夏が来る前に、快適でストレスが取れる寝室にリフォームする、『快眠リフォーム』を提案します。睡眠の質を左右する「温度」、「湿度」、「音」、「光」、「心理作用としてのインテリア」など、睡眠の質を左右する要素はたくさんあります。

ベッドやふとんを見直すだけでは不十分で、建築的に睡眠空間としての寝室を見直す必要があります。

このテーマについては、あらためてご提案します。

さて、蚊帳にもどりましょう。

【居酒屋で出会う蚊帳】

蚊帳の中の独特の雰囲気は、若い人たちにとっては未体験のおもしろさのようです。
レトロな雰囲気を売り物にするおしゃれな居酒屋では、テーブルごとに蚊帳をつったインテリアのお店がずいぶん前から登場しているようです。

なんとなく、時間が止まったような不思議な雰囲気の中でお酒好きの人は、お酒を飲むことになりそうですね。
また、特徴づけの競争が激しい温泉宿でも、蚊帳の採用が始まっているそうです。

【アフリカの子供に蚊帳を送る運動も】

やはり、蚊の最大の被害と言えば、アフリカです。太古の昔より人間を最も殺してきた生物は、「蚊」だと言われています。

アフリカでは1年間に8万人の子どもがマラリアによって命を落としています。
ユニセフはマラリアの感染の原因となる蚊から子どもを守るために、2005年末までに350万張以上の蚊帳を配布しました。

しかしマラリアを半減させるためには800万張以上の蚊帳が必要と推定されており、更に450万張の蚊帳が必要です。ユニセフでは皆さんの協力を求めています。
エコロジーな蚊帳は、21世紀になってますます必要とされているようです。

ちなみに、「蚊取り線香」もアフリカの子どもたちの救世主になっているそうです。

お薦めBOOK 寝室の本質を考える本   藤原智美(著)
『ぼくが眠って考えたこと』(1680円 エクスナレッジ社)

「不眠者の時代」と著者が名づけた現代の日本では、この30年間で国民の平均睡眠時間が30分減少し、ビジネスマンの場合は20年間で1時間も減ったという報告も出されています。

不眠症に悩む人々も急増し、社会全体が睡眠不足の状態にあるといえます。

著者は芥川賞作家の藤原智美さん。ベストセラーとなった『「家をつくる」ということ』などで家族関係の変化とそれが孕む危機を指摘し、『「子どもが生きる」ということ』などでは子育てや教育の問題に警鐘を鳴らした著者が、「日本人の睡眠」というテーマに取り組んだ意欲作です。

前半部では、寝心地を試すために悪天候の富士登山や海外へも飛び、現代を象徴するさまざまな「寝床」を訪ね歩いた記録を丁寧に綴り、後半部ではわたしたち現代人にとっての「睡眠問題」を鋭い筆致で浮き彫りにしていきます。

著者が訪ね歩いて眠った場所は全部で14箇所。

カプセルホテル、睡眠クリニック、インターネットカフェ、飛行機のファーストクラス、ホームレスのブルーシートハウスなど多岐にわたります。
それぞれの眠りの場に関するトリビア的な知識に、うなずくところが多い読書でした。

たとえば、カプセルホテルの発案者は建築家の黒川紀章だったとか、ツインベッドは欧米人には奇異、電車のなかで眠るのは日本人だけ、といった眠りに関する知見が豊富で、面白い内容です。

近年日本では、眠りへの関心が高まっているといいます。

住宅に求められるのは、いまや「家族団欒」ではなく「快眠」らしいという意見もあります。

一方で、“効率のいい眠り”を求めている人も増えているようです。睡眠を快楽と思う人は少数派で、“「圧縮」された眠りが一番”って思っている人が多いのではないかと著者は言います。たっぷり8時間は眠りたい私としては理解を超えた現象です。

とはいいながらも、実質の睡眠時間は平均5時間弱といったところが現実です。

さて、住宅設計という領域からみて、現代という時代は居間でも台所でもなく、寝室がメインテーマだと思い知らされることがあります。著者は寝室にも居室性をと主張しますが、目の付け所はさすがベストセラーを生んだ作家ならでは、というところかもしれませんね。

by株式会社 大東建設 阿部正昭
heiwadai.jp

リフォーム会社 大東建設ページトップへ
練馬区のリフォーム会社 大東建設へのお問合わせ