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伝統的な民家は『日本住文化』の結晶ですⅦ
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
立夏 初候 蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)
野鳥と「聞きなし」
日本で見られる野鳥は約6000種類といわれています。ひとくちに野鳥といってもその生態はさまざまです。
スズメやハトのように、年間をとおして同じ縄張りで生きる「留鳥(りゅうちょう)」、鶯(うぐいす)やヒバリのように季節に合わせて国内を移動する「漂鳥(ひょうちょう)」、ツバメやホトトギスのように春に日本を訪れ、子育てをして秋に帰る「夏鳥(なつどり)」、ハクチョウやマガンのように日本にやってきて冬を過ごす「冬鳥(ふゆどり)」が代表的です。
「花鳥風月」の言葉が示すように、野鳥は日本人の暮らしに彩りを与え続けてきました。
自由に大空を飛び回る姿は天の使いをイメージさせたのでしょう、神様の使者として多くの日本神話や地域の伝承に登場し、今も愛されています。
苦労知らずの「フクロウ」や、悪い出来事を嘘にする「ウソ」など、縁起物のモチーフとしても人気ですよね。
また、長い旅路を経て日本にやってくる渡り鳥や、季節によって住処(すみか)を変える漂鳥は、春夏秋冬のうつろいを教えてくれる季節の使者です。
パートナーを求める囀(さえず)りや、子育てに奔走する健気さに心打たれもします。
身の回りに野鳥がいる環境が当たり前だった日本人ならではの遊びがあります。
鳥の鳴き声を人の言葉に置き換える「聞きなし」です。たとえば鶯の「ホーホケキョ」は「法法華経」。
これは江戸時代に定着した聞きなしで、それ以前は「ホーホキ」「ヒートク」などさまざまあったそうです。
ホトトギスの「特許許可局」、メジロの「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛(ちょうちゅうべい)」
ホオジロの「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」
センダイムシクイの「焼酎一杯ぐぃ〜」など、本当かな?と確かめて見たくなる聞きなしがたくさんあります。
声はすれども姿は見えず……なことも多い野鳥。聞きなしを手掛かりに、近くに暮らす野鳥を調べてみるのもたのしそうですね。
そして、
蚯蚓出る(みみずいずる)
ミミズって、スゴイ❗️豊かな栄養をオレたちにもたらしてくれる田畑には無くてはならない存在だったんですね!😊
どんなに日の光を浴び、新鮮な空気に満ちあふれ、潤いの雨が降り注いでも、やっぱり田畑は豊かな土壌があってこそ、すくすく野菜が育つものなんですね。
七十二候で立夏の次候は、蚯蚓出る(みみずいずる)。にょきにょきと、蚯蚓(みみず)が元気に地上に出てくる季節です。およそ5月11日から15日ごろのことです。
みみずは土を食べてはやわらかく咀嚼し、土壌を豊かにしてくれる存在です。稲や野菜がすくすく育つ肥えた土をもたらす、縁の下の力持ちですなんです。
見た目はグロテスクでも、みみず凄いですね!外見に騙されちゃダメですね😊そういうものって気付かないだけでたくさんありますよね(๑°⌓°๑)マジ…
野鳥の「聞きなし」もミミズも何千年も以前から受け継がれてきた文化です。決して無くしてならないものだと思っていますが、もちろん建物にも文化があるのは、いうまでもありません。
伝統的な民家は『日本住文化』の結晶ですⅦ
重要文化財指定民家 上田家住宅
幾世代にもわたり風雪に耐えてきた日本の民家が、社会構造や生活様式の変化のなかで取り壊され、失われようとしています。
伝統的な日本の民家は、地元に育った木と地域の人々の技術で造られた住いであり、「日本の住文化」の結晶といっても過言ではありません。
このような古民家住宅は、失われてしまってからでは、二度と再生することはできないのです。
今回は、その住文化の代表でもある、重要文化財指定民家 上田家住宅をご紹介したいと思います。
上田家住宅
所在地:奈良県橿原市今井町4丁目 指定物件:主屋 建設年代:18世紀前期 築年数は300年を超えると思われます。
特徴:江戸中期の今井町惣年寄の家 所有形態:私有
上田家は、江戸時代初期から幕末まで、今西家や尾崎家と共に今井町の惣年寄を務めた家柄で、酒造や借家、金融業などを営んでいました。
主屋は敷地を大工町筋に面した角地に構え入母屋造りで、本瓦葺で正面を西側の小路に向けます。内部北側は前面北寄りにシモミセのある通り土間で南側床上部は2列3室の六間取りとなります。ですが、下手列よりも上手列のほうが広くなっています。
この上手列南側に庇が巡り、かなり開放的な造りとなっています。また、現在では上手列正面側座敷は面が閉ざされていますが、元は2m控えて開口と濡縁があったようです。
次に、このように貴重な文化財を残していくには、どうすればよいかを検討してみたいと思います。
すまいかた教室★大切にしたい住まいとまち
人が長い年月をかけてつくった文化財
人びとが長い年月をかけ、生活をよりよくしたり、心を豊かにしていくためにつくりあげた思想や技術などのことを文化といいます。
この文化によって表現されたものを文化財とよび、その中でも特に重要なものは国や自治体によって保護されています。
たとえば、見たり聞いたりする演劇や音楽は、無形(むけい)文化財。手で直接触れることができる絵や彫刻、工芸品などは有形(ゆうけい)文化財とよびます。
また、昔から続いている地域の祭りや、農業でつかった鍬(くわ)や鋤(すき)などの農具、昔の風習や信仰にかかわるものも文化財です。もちろん、建物も文化財です。
日本では、各地の古い住まいのほか、お寺や神社、昭和初期ごろまでの学校や役所、工場などを、文化財として国や自治体が保存しています。さらに、建物もひとつだけでなく、いくつも集まっている場所があり、その地域全体を文化財として保存する制度もあります。
こうした地区を伝統的建造物群保存地区(でんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく)とよびます。実際にこの地区に指定された城下町や宿場町、山あいの村などには、地域独自の特色をもった建物が集まっています。
そしてそこでは、建物や全体の風景を壊さないようにするとともに、そこに住む人たちが、建物を活用しながら、地域の歴史文化を受け継いでいるのです。