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エアコンは「高温(外気温50℃)対応」機種を
猛暑時代に「外気43℃限度」機種では無理
家庭用エアコンの室外機には使用可能な外気温の限界があり、多くの既存住宅で使用中のエアコンだと外気温が 43℃ を超えると、エアコンの冷房機能が急激に落ちたり、故障したりします。
近年、気温が40℃度にもなる猛暑日が増え、さまざまな要因も重なって室外機の設置空間の温度はさらに高くなっています。
これからの時代、お客さんにエアコンを提案するならば「省エネ・エコ仕様」なのはもちろんのこと、外気温50℃まで耐えられる「高温対応」のものを選ぶのが重要な指標なってきます。
日本の温暖化は世界より速く進んでいる(今年の夏は断トツに上昇)
今年の夏(6~8月)の全国平均気温は平年(過去30年平均値)を 2.36℃ 上回り、統計開始以来で最も高くなり、気象庁の担当者も「過去のデータのなかでも断トツで、この夏の高温は異常だった」と話しています。
都心部ではヒートアイランド現象により、さらに上昇度が大きくなります。
日本の年間平均気温(1~12月)も上がり続けており、長期的な上昇率は
100年あたり 1.40℃ で、世界平均の 0.77℃ より2培近い速度です。
深刻度がピンとこないかもしれませんが、たった 1℃ の気温上昇でも、世界平均でそれだけ違うと大きな影響があります。例えば、2万年くらい前の氷河期には平均気温は、現在より 5〜6℃ 低いだけでした。
それだけで地球は氷に覆われ、海面水位も120メートルくらい低かったのです。
猛暑(外気温40℃)時代のエアコン選び
今年の8月5日、群馬県伊勢崎市で国内観測史上最高の 41.8℃ を記録したほか、埼玉県、茨城県、東京都などでも軒並み 40℃ 以上を記録しました。
日本の夏の暑さに関する常識がさらにもう一段階上がったようで、先行きが思いやられます。
こんな毎日をやり過ごすために、ますます欠かせなくなっているのがエアコンですが、もし 40℃ を越えるような状況でエアコンが故障してしまったら…
と考えると本当に恐ろしいのですね。
というのも、エアコンの室外機はJIS企画に則り、外気温 43℃ 度まで冷房運転ができるよう設計されているからです。
室外機が外気温 43℃ 度までしか対応していない以上、せっかく修理してもまたいつ故障するか分かりません。
この困った状況の解決策となるのが外気温 50℃ まで対応可能な室外機を備えた「高温対応エアコン」です。
国内の主要なメーカーであれば軒並みこの製品を持っていますから、仕様書をしっかり確認して「50℃対応」機種をお客さんに勧めましょう。
室外機の日除けは効果ない?エアコンの省エネに繋がる対策とは
室外機の日除け効果の有無や対策ポイントを紹介します。
室外機の日除けは、設置方法やアイテム選びが重要です。
ポイントをおさえずに設置すると逆効果になることもあるので要注意です。
■室外機に直射日光が与える影響
エアコンの室外機は屋内で発生した熱を外に放出する重要な役割を担っています。
屋外に設置される室外機が直射日光を受けてしまうと、本体や熱交換器が高温になり、冷却機能が効率よく働かなくなります。
その結果、冷房性能が低下し、消費電力が増加してしまいます。
直射日光の影響を防ぐことは、室外機の性能を引き出すうえで欠かせません。
■冷房効率低下のメカニズムを知る
室外機が高温状態になると、内部の冷媒を冷却する能力が低下します。
これは、周囲の温度が高くなることで放熱が妨げられるためです。
室外機を直射日光から守ることと、風通しの良い環境に置いて周辺温度の上昇を防ぐことが大切になります。
■室外機が高温になるとどうなる?
室外機が高温状態にさらされると、運転効率がさらに悪化し、結果的に電気代が増加する可能性があります。
さらに、長時間高温にさらされることで、室外機そのものの寿命が縮むリスクも高まります。
■省エネ対策における日除けの重要性
室外機の日除け対策は、冷房の効率を高めるだけでなく、節電にも繋がります。
例えば室外機を遮光ネットで囲い、直射日光が当たらないようにすることで約10%の省エネ効果が確認できたという検証結果もあります。
室外機にそもそも日除けが必要ないケース
ただし、エアコンの日除けが必要ないケースもあります。
■室外機の設置場所が日陰になっている
もともと、エアコンの室外機を設置する場所として理想的なのは、直射日光があたらない場所です。
1日中直射日光が当たらない場所、つまり日陰に室外機が設置されている場合は、日除けを設置する必要はないでしょう。日除けをしても、あまり省エネ効果は期待できません。
■冬にエアコンを暖房として使用する場合
冬に暖房でエアコンを使用する場合は、室外機周辺を温めたほうが効率がよくなるとされています。
室外機周辺の気温が低いと熱交換がスムーズに行われず、消費電力が増える可能性があるためです。
冬は日除けカバーではなく、室外機に雪が入り込むのを防ぐ「防雪カバー」を設置するのがおすすめです。
エアコン室外機の日除けカバーの必要性は、場所や季節を考慮して判断するとよいでしょう。
室外機の効果的な日除け方法と選び方
■市販の室外機カバーを使う利点
室外機の日除け対策として手軽に導入できるのが、市販の室外機カバーです。直射日光を遮ることで、室外機本体が高温になるのを防ぎ、結果的に冷房効率の向上や電気代の節約が期待できます。
画像のような3面囲いタイプなら、防汚や防雨、積雪対策にもなるのでおすすめです。
室外機にホコリやゴミ、枯れ葉などが詰まると熱交換効率が悪くなってしまうので事前に防いでおきましょう。
<選ぶときのチェックポイント>
(1) タイプ
- 日除けカバータイプ(夏場の節電対策におすすめの簡易タイプ)
- 3面囲いタイプ(目隠しになり、防雪・防汚にも役立つタイプ)
(2) 素材
- 木製(ナチュラルなデザイン)
- アルミ製(メンテナンスがしやすい)
- スチール製(優れた強度と耐久性)
(3) 施工性
・組み立てや設置が簡単かどうか
(4) デザインやカラー
・お家の外観の雰囲気に合うかどうか
■すだれやシェードを活用する方法
すだれやシェードも日除け対策として活躍します。これらは室外機の周囲に設置することで、広範囲にわたり直射日光を防ぐことができます。
また、すだれやシェードは通気性に優れており、熱がこもるリスクが低いため、冷房効率を妨げません。
■自作の日除け対策でコストを抑える
コストを抑えつつ日除け対策を実践したい場合は、自作する方法もあります。
ホームセンターなどで手に入る木材やすのこを使って、室外機のサイズに合わせて組み立てます。
ペンキなどで色を塗れば自分好みの雰囲気にすることができるので、DIY好きの方にはおすすめです。
ただし、風が強い場所では固定が弱いと飛ばされるリスクがあるため、注意が必要です。
設置時の注意点と失敗例
日除けアイテムを設置する際にはいくつかの注意点があります。
まず、室外機の通気性を妨げないことが重要です。
通気性が悪い場合、冷却効率がかえって悪化し、逆効果となることがあります。
また、遮光効果が不十分な素材を使用すると、直射日光を十分に防げず、効果が得られないケースもあります。さらに、設置が不安定だと風が吹いた際にカバーが飛ばされることがあり、場合によっては周囲に迷惑をかけることにもなりかねません。
失敗例としては、そもそも日除けが不要なケースや、通気性が十分に確保できていない場合などがあります。
例えば、北向きの場所に室外機があれば直射日光が当たらず、日除け対策は不要になります。
また、密閉性の高いカバーを使用した結果、室外機内に熱がこもり、性能が低下してしまうこともあります。
これらの点を考慮しつつ、適切なアイテムを選び、設置位置や方法に配慮することが重要です。
<注意点>
室外機の通気性を妨げる恐れがないか / 遮光効果が十分な素材かどうか / 固定できるかどうか
日除け以外の室外機の運転効率を上げる方法
■風通しの良い場所への設置
エアコンの室外機を設置する際、風通しの良さは運転効率を高めるための重要な要素です。
室外機の周囲に障害物が多いと空気の流れが遮られ、冷却効率が低下することがあります(排熱のショートサーキット=図参照)。
そのため、直射日光を避けつつ風が流れやすい場所に設置することが理想です。
裏手や壁際など密閉感のある場所では熱がこもりやすくなり、エアコンの性能がフルに発揮されにくくなります。
また、周囲に草やゴミが溜まりやすい場合にはこれらを取り除き、常に清潔な状態を保つことで、より良い風流を確保することができます。
これにより、電気代の節約・省エネ効果が期待できます。
■定期的な室外機のお手入れ
日除け対策のほかに、室外機の効率を維持するためには定期的なお手入れが必要です。
室外機にはホコリやゴミ、枯れ葉などが溜まりやすく、それらが詰まると熱交換効率が極端に低下します。
そのため、フィン部分や吸込口、吹出口に汚れが付着していないか確認し、適宜掃除を行いましょう。
■壁との距離を適正に保つ
室外機の設置場所を決める際、壁との距離を適正に保つことも重要です。
エアコンの室外機は空気を吸い込んで熱を放出する仕組みのため、壁に近すぎると空調効率が悪化します。
推奨される距離は壁から最低でも10cm~30cm程度です。これによって空気の循環がスムーズに行われ、冷房効率が向上します。
また、壁との距離が近すぎると放熱が追いつかず、内部の温度が急上昇する原因となり、省エネ効果が失われる可能性があります。
適切な設置間隔を確保することは、電気代の無駄を防ぐだけでなく、室外機の長寿命化にも貢献します。
まとめ
11月まで 30℃ に達する残暑が続く、という予報も出ています。
酷暑で使い過ぎてエアコンが故障したお客さんをはじめ、新築やリフォームに際しても、
「高温( 50℃ )対応機種」の選択と、適切な「室外機設置計画」をしっかり練り、
お客さんへの提案や他社との差別化に役立ててください。