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【一日の「生活動線」を家族全員で、家の間取り図に描き入れてみる】
【一日の「生活動線」を家族全員で、家の間取り図に描き入れてみる】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
旧暦 季節 二十四節気 啓蟄 初候 桃始めて笑う(ももはじめてわらう)
小女子(こうなご)/鮊子(いかなご)
関東では、小女子(こうなご)関西では鮊子(いかなご)と呼ばれる魚がいますがこちらは春のお楽しみと言ってもいいと思います。
体調二十センチほどの魚ですが、2月下旬から三月ごろ、瀬戸内海の東の沿岸などで、新子(しんこ)と呼ばれる小女子の稚魚が穫れます。
三センチほどの小魚です。
しらすに似た新子は甘辛い佃煮にした小女子の釘煮をほかほかのごはんに乗せると、それだけで一膳を、おいしくいただけてしまうほどです。
釘煮とは、変わった名前ですが、佃煮の見た目が、錆びて折れ曲がった釘みたいな形だったからだと言われているようです。
啓蟄の次候が「桃始めて笑う」ですが、笑うは咲くという意味で、今日3月10日から14日頃の季節のことです。
【一日の「生活動線」を家族全員で、家の間取り図に描き入れてみる】
【なんとなく、暮らしにくい」を解消する】
「なんとなく、暮らしにくい」「なんとなく、毎日がバタバタとあわただしい」
毎日の生活を繰り返す中で、漠然とそう感じている人は少なくないと思います。でも、何が不便なのか、なぜ不便なのかは、なかなか分からない。人というのは、自分自身のことは、よく分からないものなのです。
この「なんとなく、暮らしにくい」を解消するためのキーワードが「生活動線」なのです。生活動線を見直すことで、住まいが驚くほど快適になった例を、私は今まで数多く見てきました。
リフォームの相談を受けると、まず提案するのが、今住んでいる家の図面を描いてもらうこと。その中に、朝起きてから学校や会社へ行くまでの行動を線と矢印書き込んでもらうのです。なぜ朝の行動なのかというと、最もあわただしいこの時間帯の行動がスムーズならば、その家は住みやすい家だから。
【キーワードは毎朝の生活動線】
ベッドから出たら、トイレに行って、洗面所に行く。顔を洗って新聞を読んで、それから着替えてキッチンに立ってー家の中を行ったり来たりするこの線が、あなたの毎朝の生活動線です。ここで大切なのは、習慣化している自分の行動を、自分の目できちんと見ること。「ええっ?たった5分の間に、こんなにあちこち動いているの?」などと確認することです。
家族と住んでいる方は、一枚の図面に、家族全員分の朝の生活動線を描き入れてみてください。家族それぞれの動線が重なり合って、真っ黒になっている場所はありませんか?トイレの前や洗面室の出入口はどうですか?もし真っ黒な部分があれば、それが「なんとなく、暮らしにくい」の原因です。たとえば、5人家族でトイレが一つしかない家では、トイレの前で動線が重なるのも当然です。
この部分の解消法を考えることから、リフォームは始まります。
【回避できる間取り・行き止まりのない間取り】
さて、動きにくい家、すなわち生活動線がスムーズに走らない家を、一気に生活しやすい家へと変貌させる方法があります。それは、「回避できる間取り」にすること。つまり、リビングからキッチン、キッチンから洗面室、洗面室からトイレ、トイレから廊下を通ってリビングへ……というように、ぐるぐると歩き回れる間取りにすることです。行き止まりの少ない家では、生活の中のさまざまな行動や作業がスムーズに流れるだけでなく、暮らし自体も楽しくなるのです。
そんな、「回避できる間取り・行き止まりのない間取り」のポイントは、一つの部屋に対してドアを2カ所、3カ所つくることなんです。私がよく提案するのは、トイレや洗面室に出入り口を2つ設け、2ウェイにする方法です。
たとえば、毎朝洗面台の前が混み合うのが悩みだという家の図面を見てみると、洗面室に入る人の動線と、支度を終えて出る人の動線がドアの部分で何重にも重なり合っていました。そこで洗面室のドアを2カ所に増やしたところ、行き止まりがなくなりました。入る人と出る人の流れがスムーズになり、家庭内渋滞も緩和されたのです。(リフォーム後図①)
【「いい家」のためには、回遊性と同時に…】
「いい家」のためには、回遊性と同時に、家事をする主婦が孤独にならないようにすることが、たいへん重要だということです。いくら動きやすい間取りでも、料理をつくる人がひとりぼっちで壁に向かっているようでは、「いい家」とはいえません。
家族5人で暮らしていた I さんの家も、キッチンが完全に独立している、どこか寂しい間取りでした。料理をつくるのは一人きり。できた料理をダイニングに運ぶのも、食器を片付けたり洗ったりするのも一人ぼっちです。そこでリビングとキッチンの仕切りを取り払い、中央にキッチンカウンターを配置しました。
リビングで過ごす家族の顔を見ながら料理をつくることができるオープンスタイルのペニンシュラキッチンにしました。(リフォーム後図②)
【家事をする人が孤独にならない間取り】
これなら面倒なあと片付けだって、食事の時間の余韻を楽しみながらすませることができるのです。キッチンカウンターのリビング側は収納スペースとし、コレクションのティーカップを飾ったり、日常の小物をしまったりする場所にしています。(リフォーム後図③)
もちろん、食卓に料理を並べたり、食べ終わった器を下げたりするのも、ぐんとラクになりました。家事をする人が孤独にならない間取りであると同時に、動きやすく使いやすい間取りにもなったというわけです。
キッチンの隣は当初、洗濯機を置いた脱衣室でした。しかし、キッチンにいる人が洗濯機の様子をのぞくためには、まずキッチンのドアを押し開けて廊下に出て、さらに脱衣室のドアを開けて…と、隣の部屋なのに2回もドアを開けないと、たどりつけなかったのです。そこで、この脱衣室を広めの洗面脱衣室に変え、キッチンとの間に引き戸をつけました。(リフォーム後図①)
【リフォームの第一歩は、生活動線を見直す】
これなら、キッチンで料理をしながら洗濯機を回すのもラクですし、洗濯機が止まった合図もすぐわかります。洗面室脱衣室には廊下側からの入り口もありますから、帰宅したら廊下から洗面脱衣室入って手を洗い、そのままキッチンへ。
あるいは、まずキッチンに入って買ってきた荷物を置き、そのまま隣の洗面脱衣室へ。小さなことですが、これがぐるりと回遊できる2ウェイのいいところで、とても便利なのです。
リフォームもの第一の目的は、今の生活をよりよく変えることでしょう。暮らしやすい家への第一歩は、自分たちの生活動線を見直すことから始まるのです。
キッチンを中心に「回遊できる間取り」へとリフォームしたIさんの家。アイランドキッチンから、キッチン→洗面脱衣室→廊下→リビング→キッチン……とぐるぐる回れるプランに一新。料理をつくりながら選択をするなど「ながら」家事が「らく」になり、生活動線も滞りがなくなります。内玄関(勝手口)を掃除機など日常生活で使うものをしまう生活用品収納室も設置し、家中の片付けが苦にならなくなりました。