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玄関・階段、真ん中なら、幸せな動線は描けます【動線】
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
霜降 次候 霎時施す(しぐれときどきほどこす)
時雨(しぐれ)のもたらす景色
霜降(そうこう)の次候である「霎時施す(しぐれときどきほどこす)」となりました。
七十二候では秋もそろそろ終盤戦です。
「霎」は「時雨」。秋の末から冬のはじめにかけて現れる、降ったりやんだりを繰り返す通り雨のことです。
大陸から吹いてくる季節風と、日本海の水蒸気によって波状の雨雲が発生するとやってきます。
しとしとと降っていた冷たい雨が突如やみ、さっと広がる青空。
雨粒に濡れた草木や路面が太陽に照らされてキラキラと光り輝くさまは、自然がくれた宝石箱のようです。
玄関・階段、真ん中なら、幸せな動線は描けます【動線】
【四葉じゃなくても、クローバーなら。】
「動線」という言葉はもともと建築の専門用語なのですが、ここ最近ではテレビや雑誌などで「よい間取りをつくるコツは、動線をしっかり考えることです!」
といろんな番組や記事などで連呼してくれた、おかげさまで、一般の方々にもたいへん馴染みの深い言葉となりました。たしかに動線の計画はたいへん重要なのです。
だからこそできるだけ単純シンプルに考えられるものでなければなりません。なぜなら大切なことほどシンプルに考えたほうがうまくいくものだからです。
そこで、私がおすすめするのが四つ葉のクローバー形の動線です。前回、※玄関と階段※の回に述べたとおり、玄関・階段を建物の中央付近に置き、その周りに各部屋を配置していく間取りにすると、動線が自然とクローバー形を描くことになります。
玄関・階段がクローバーの「茎」となり、周りに部屋という「葉」を広げていくのです。大切なのはこれだけです。
もちろん、四葉でなくてもいっこうに構いません。葉っぱが2つでも3つでも、蓮の葉のように「茎」の廻りを覆う一枚の葉でも大丈夫です。クローバー形の動線ならばそれだけで幸せが約束されるかもしれません。
【下図のようにクローバーの形になります】
典型的な四つ葉のクローバーの形です
建物の中央に配置された階段から、4つの部屋に動線が伸びていきます。無駄な廊下はほとんど皆無です。
葉っぱの先からさらに葉っぱが生える二葉のクローバーもありです。
階段を基点に動線が左右に伸びている間取りとなります。ダイニングからは、さらにキッチンの葉っぱが生えていきます。キッチンからは、さらにトイレの葉っぱが……。このように葉っぱから葉っぱが生える動線は、クローバー形動線の応用編です。水廻りなどを裏側に隠したいときには有効な動線でもあります。
【クローバー形動線の間取りを描いてみましょう】
それでは、クローバー形の動線を意識しながら、シンプルな間取りを描いてみましょう。「建築面積16坪・総2階の家」という設定でプランしてみます。
1階
①ゾーニング
まずは1階南側にパブリックゾーンを置いて、北側に水廻りゾーンを配置するオーソドックスで一般的なゾーニングをしてみます。玄関は西側の中央付近に配置します。1階は取り敢えずこれで終わりです。
2階
②2階の階段位置を先に決める
次に2階のゾーニングに移ります。寝室階(2階)は部屋数が普通多くなるので、2階から先に決めてしまうと階段の位置や形状も自動的に決まってくるのです。今回は素直に南側から2階中央部へ上がる直線階段を配置させていただきました。
その上で、階段から直接アクセスできるように各部屋を割り振ります。ここまで描ければ2階の間取りは完成です。ここで再び1階に戻ります。
③ゾーンの中身を考える
階段の位置が決まれば、各部屋の配置もずいぶんと考えやすくなります。この家は階段がパプリックゾーンを左右に分割しました。
東側は吹き抜けにしましたが、吹き抜けの下はダイニングを配置するのがよさそうですね。
LDの位置が決まればキッチンの配置も決まります。あとは、クローバー動線になるように間仕切りの位置を調整していくだけです。
延床面積32坪の家ですが、4人家族くらいならのびのびと暮らせそうな3LDKができあがったような気がします。
【クローバー形の2大品種】
クローバー形の動線は、大きくわけて以下の2つに集約されます。
階段中心型
コンパクトにまとまった玄関ホール・最短の廊下・階段から、動線が各部屋に枝分かれしていくタイプです。一般的にはこの形が多く用いられるオーソドックスなタイプといえます。
移動専用の空間が少ないので、面積にほとんど無駄がでません。各室のプライバシーや落ち着きにも十分に配慮された間取りといえます。
【リビング・ダイニング中心型】
大きくわけた、もうひとつの型、クローバーの中心にリビング・ダイニング(LD)を据える、ちょっと変わっている特殊なタイプです。
リビング・ダイニングに玄関を直接接続するので、移動空間のムダが省けます。
ただし、その反面LDが落ち着かない空間ともいえるかもしれません。
そのうえ、水廻り各室の入り口ドアがリビング・ダイニングに面してしまうのでクローバーの「茎」の形を調整するなどして、工夫する必要があるかもしれません。
【【まずは「動線」の【基(もと)】をつくるところから始めてみましょう!】