BLOG
ブログ
「魅せる収納」を外国暮らしから学ぶ 【CASE2】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
白露 初候 草露白し(くさのつゆしろし)
秋の七草
春の七草があるように、秋の七草もあります。奈良時代の歌人・山上憶良(やまのうえのおくら)による2首の和歌が由来です。
秋の野に 咲きたる花を 指折り
かき数ふれば 七草(ななくさ)の花
萩(はぎ)の花 尾花葛花(をばなくずばな) なでしこが花
女郎花(おみなへし) また藤袴(ふぢばかま) 朝貌(あさがほ)が花
尾花はススキ、朝貌はキキョウというのが定説です。
春の七草は食べて味わい、秋の七草は目で味わいます。今秋はハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウのうち、いくつと出会えるでしょうか。
二十四節気で処暑の次は白露(はくろ)。大気が冷えてきて、露を結ぶころをいうんですね。結露というほうが、かえって分かりやすいかもしれませんね₍₍( ´ ᵕ ` *)⁾⁾
そんな白露の初候は、草露白し(くさのつゆしろし)。草に露が降りて光るという意味で、およそ九月七日から十一日ぐらいまでの季節です。
夜が更けるにつれて気配が下がり、夜露を結んだ湿っぽい様子を、露けし、といいます。
そして翌日の夜明け前には、草の葉に、ぷるんと朝露が…。
残暑が引いて、秋らしい兆しがだんだんと現れてきます。
露の玉 蟻🐜たぢたぢとなりにけり 川端茅舎(はっしゃ)
「魅せる収納」を外国暮らしから学ぶ 【CASE2】
モノが人には見えないようにしまい込む作業は毎日の「家事」であり、ストレスの原因。ところが、「センスよく使い勝手よく収納」できれば、暮らしが華やぎ、楽しい空間が生まれます。こうなれば、もはや「趣味」といえます。
隠す収納にこだわる日本人に対してイギリス人は、見せて(showing)飾って(decoration)モノを美しく収納しようとします。
前回「魅せる収納」を外国暮らしから学ぶ 【CASE1】に続き、19歳の時にイギリスを旅行してその美しさに魅了され、以来100回を越える渡英経験を持つ井形慶子さん(『古くて豊かなイギリスの家・便利で貧しい日本の家』等 著書多数)から、イギリス流の収納の知恵を学びます。
第3章 箱と既製家具でスッキリ見せる
大小さまざまな籐の箱、バスケットをそろえる楽しみ
イギリスの収納で家具に籐(ラタン)製のバスケットを組み合わせるコーディネイトは人気があります。
籐は、ヤシ科のつる性植物で、インドネシア、フィリピンなどの熱帯・亜熱帯地域の密林に繁殖しています。この籐製品をイギリス人が好むのは、風通しがよく衣類の保管に向いているうえ、持ち運びにとても軽いからです。
日本では千年も昔から、籐は弓や太刀など武具の材料として愛用されてきました。
この籐が家具として使われたのは明治以降だったのですが、一般の人々の生活に根づくのは1970年代に入ってからといわれています。
確かに籐の家具が流行ったのは、そのおよそ10年後の1980年代のような気がします。
さて、鍵や時計や文具など、家の中には個人が使う細かいモノが数多く転がっていますが、これらは大きな引き出しではなかなか整理がつきません。
そこでたんすの下に、箱型バスケットを突っ込んで、そこを個人のスペースにするのです。
子ども部屋のベッドの下なども、シーツや洋服やおもちゃをしまうためにバスケットが大活躍します。
このように、既製家具は何かを加えることで使い勝手が見違えるほどよくなるのです。
バスケットを買うときにはサイズ違いのモノを何種類も求め、ロシアンドール(マトリョーシカ)のように大きなバスケットの中に小さなバスケットを重ねて入れ、使わない時は一つにまとめて収納しておきます。ゲストが泊まりにきた時には、バスケットの箱を一つ寝室に運んでおくだけで、客用の収納庫にもなるので大変便利です。
このアイデアはイギリスで人気のネストオブテーブルという三つに重ねる入れ子式サイドテーブルにも使われています。使わない時は三つ重ねてコンパクトに収納し、パーティーなどで人が集まった時には、リビングのソファーや一人がけチェアの前に小さな机をサイドテーブルとして単体で置くのです。
このネストオブテーブルと、サイズが違う入れ子式バスケットをそろえるアイデアは、ともにロシアンドールスタイルと呼ばれ、スペースが節約できると好評です。大きいバスケットの上に小さいバスケットを積み上げると、見た目にもとてもおしゃれで、インテリアとしても効果的です。
上にいくほどサイズの小さいモノを積んでいくと、重量は軽く、動かしやすくなります。逆に、同じサイズのバスケットを積み上げていくと安定感がなくなり、バランスが悪くなります。
このように、積んでもバラしてもいかようにも利用できるフレキシビリティーというか、自由度が収納家具には欠かせない要素なのです。
衣服や靴も軽量化が進む今、一時は廃れてしまったような感じのする籐の利点を生かしたバスケット人気はますますこの先日本でももてはやさるかもしれませんね。
大量生産の既製家具は、セットで使って高級感を出す
イギリス人はチェスト、ベッド、サイドテーブルなど家具を買う場合、セットで購入する傾向があります。
そのほうが激安店のディスカウント率も高いからです。
たいていの既製家具はパーツが箱に入っていて、自宅で組み立てる方式です。買った家具をカートで駐車場まで運び、自家用車に積み込んで持ち帰ります。
イギリス人がセダンではなくワゴン車を好むのは、購入した家具を即、自分で運搬できるメリットがあるからなのです。
ところで、イギリスで新婚カップルが家具を買う場合、妻の親が披露宴の費用を払い、夫の親が寝室に置くユニット家具を買うという習わしがありました。
ベッド、女性のための大きなクローゼット、男性のための小さなクローゼット、鏡台、チェスト・オブ・ドローズ、これらが一般的寝室のユニット家具と呼ばれるものです。
ベッドルームやキッチンにこのようなユニット家具が置かれているのは、イギリス人がよりリッチなイメージをかもし出せるセットシステムを好むからだといわれています。
イギリスではアンティークなど良質の家具と質の悪い家具との差があります。
ただし、安い家具といえどもほとんどが天然木。本当にほしい家具が買えるような経済状況になるまで、お金をかけず部屋作りが楽しめるわけです。
このような家具の買い方は、イギリス人の住宅購入にも通じます。人々はワンルームの部屋を皮切りに、少しずつ大きい家へと売買を繰り返し、最終的に理想の家を手に入れます。
家具に関しても同じようにステップアップを繰り返します。
もちろん両親たちから受け継いだ、とっておきの家具を若い人たちは少なからず持っています。
しかしながら、イギリスの賃貸住宅には日本の押し入れにあたる大きい作りつけの収納はなく、収納スペースが足りない場合は家具で補うしかありません。だからこそ、このような安い家具の需要は減ることがないのでしょう。
客用布団は本当に必要?
イギリスでは、電車に乗り遅れたりパーティーで飲みすぎて帰れなくなった人など、親しいゲストには毛布と枕を渡してソファーで休んでもらいます。
だからマットレスも敷き布団もいらないのです。
部屋数の少ないイギリスの小さな住居のリビングでは、ベッドにもなるソファー(ソファーベッド)を置き、ここをゲストルーム代わりとします。
また、親を招く場合は、主寝室に両親を眠らせ、住人はソファーや床にスリーピングバッグで寝ることもあります。
時には子どもたちが祖父母にベッドをゆずり、親のベッドでともに寝るケースもあります。自室を差し出すこんな習慣は、意外に知られていませんが、イギリスの一般住宅が15坪前後と小さく、ゲストルームを持てないことへの対策でもあるのです。
こんなことから、イギリスの家では、ゲストのために何組も客用寝具セットを用意しないのです。
もう一つ、イギリスの住宅では、冬はセントラルヒーティングが効いているので、特別に厚いかけ布団は不要です。枕とシーツ、軽い毛布があれば十分なのです。
日本の押し入れに詰め込まれた客用布団。これこそスペースのムダであり、いつ泊まりにくるかもしれないゲストのために、これだけの収納スペースを割くことは無駄なこと極まりないのです。
自分たちのベッドを客に提供すれば、大きな押し入れは必要ないのかもしれません。
重要文化財指定民家(10)
幾世代にもわたり風雪に耐えてきた日本の民家が、社会構造や生活様式の変化のなかで取り壊され、失われようとしています
伝統的な日本の民家は、地元に育った木と地域の人々の技術で造られた住いであり、「日本の住文化」の結晶といえます
中村家住宅
所在地:沖縄県中頭郡北中城村字大城 建設年代:母屋=18世紀中頃(1766年)
指定物件:主屋、アシャギ、籾倉、メーヌヤ、フール、石垣、ヒンプン、宅地
特徴等:屋敷一式が残っている豪農の家、分棟型系、もとは分棟型 所有形態:私有
中村家住宅には、敷地を取り囲む石塀や石垣、フクギ等の樹木、南側正面より入ると、ヒンプン(顔隠し塀)があります。
中門より入ると敷地内には、すぐ右手にアシャギ(離れ座敷)、左手に籾倉、正面に主屋のウフヤ(母屋)とトゥングワ(台所)があり、主屋の西側にフール(豚小屋)、その南側前にメーヌヤ(家畜小屋兼納屋)が建ち、フール以外赤瓦葺です。
主屋は当初ウフヤとトゥングワとが別々の分棟型建で屋根も茅葺で現在のようになったのは明治23年(1890)以降です。
中村家住宅は、沖縄本島における豪農の屋敷構え一式が残され、今にその風情をよく伝えています。
日本庭園の歴史と5人の歴史的作庭家(2)
夢想国師/鎌倉・室町時代(枯山水庭園の登場)
平安時代以降、日本庭園の形式は自然を全体的に表現する庭がほとんどで、当然のように山(築山)と水は欠かせないものとなっていきました。
しかし土地柄、水や山(築山)を確保できない所も多く、そこで水の代わりに白砂を使い、築山の代わりに石を組んだ庭が登場してきます。こうして有名な「枯山水」というスタイルが誕生しました。
「枯山水」で完結した庭が造られるようになったのは、中国から伝わった禅宗が大きく寄与しています。平安期の庭が極楽浄土をこの世に現出することに力を注ぎ、貴族たちが財力を競って、豪華な庭を造ったことに対して、自らを律する教義である禅の教えからいえば、豪華絢爛な庭園は無用でした。
「枯山水庭園」は、鎌倉の瑞泉寺庭園において夢窓疎石(国師)(1275~1351)が確立したと伝えられています。夢窓国師(疎石)は、室町時代における禅宗発展の基礎を築いた人物ですが、僧侶として一時代を代表するような人物が、同時に庭園作者として名を成す、ということは禅の思想と作庭とがきわめて緊密に結びついたことを意味しています。
枯山水は景石(鑑賞用の石)を組んで滝を表現し、白砂を敷いて流れる水を表現します。石の大小や、組み合わせによって、ひとつの観念的世界を創造します。それは、さまざまな風景であったり、仏教の世界観や宇宙観であったりします。
このように「枯山水庭園」は、竜安寺の石庭に代表されるように、遊楽・散策などの実用的要素を持たず、屋内から静かにこれに対峙して鑑賞するよう構成されているのが特徴です。
毎年9月8日頃、秋の3番目の節気の白露(はくろ)を迎えます。薬膳の基本である漢方の養生法では、秋は空気の乾燥から身を守ることが大切とされています。
秋になると空気が乾燥する日が多くなります。また気温が低いので同じ相対湿度でも空気中の水分量は少なくなり、肌あれが起きたり、呼吸器系も乾きやすく空咳が出たり、喘息などの症状も悪化します。空気の乾燥と一言にいっても、秋の前半はまだ暑さもあるので温燥(おんそう)に、秋の後半はひんやりとした空気に包まれるので涼燥(りょうそう)の特徴があり、それぞれにあった対処が必要です。
温燥の時期には、クレソンや蓮根、柿など、体のほてりをとりながら呼吸器系を潤す食品、涼燥の時期には、杏、松の実、干し柿など潤しながら温める食品を多めにとるように心がけましょう。また、風邪などをひきやすい時期なので、免疫を高めるきのこなど旬の食材も食べるようにしてくださいね。