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つかず離れずが理想の関係【水廻り①】
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
大雪 次侯 熊穴に蟄る(くまあなにこもる)
戸締まり用心、火の用心
これからの時季、戸締まり用心、火の用心は、ご存知ですか?
家財道具はおろか、ときには命をも奪う家事は本当におそろしいものです。
木造住宅の密集する江戸の町では幾度も大火事が起こり、多くの犠牲が生じました。
どうにか家事を防ごうと、幕府は町民に夜の見回りを励行します。
おなじみの「火の用心」という言葉は、江戸時代中期から夜の見回りで盛んに使うようになったそうです。
「火の用心!」の声とそれにつづく拍子木(ひょうしぎ)の音も、最近ではめっきり聞かなくなりました。
我が家周辺では最近まで、この時季、鐘を鳴らしながら消防車が巡回していました。
慌ただしい年末だからこそ、戸締まり用心、火の用心ですね。
つかず離れずが理想の関係【水廻り①】
「いらっしゃいませ」。お店に入ると間髪をいれずに真横に張りついてくるアパレルなどの店員っていますよね。あれって鬱陶(うっとう)しいし、嫌だと思いませんか?
かといって、買いたい意思表示を見せているのに、ずっと放置され続けるのもそれはそれで困りものです。おそらく売上のいい店員さんというのは、お客さまとの距離を適度に保つコツを身につけている人なのだと思います。
適度な距離感が求められるのは水廻りも一緒だと思っています。
リビング・ダイニングと水廻りとの距離感、各室からトイレまでの距離感、洗濯機から物干し場までの距離感など、水廻りをどこに配置するかによって、日常生活の利便性や家事動線の効率は大きく変わってくるものなのです。
「滞在時間は短いが、使用頻度は高い」ーたとえばトイレや洗面室は、一日に何度も出入りする場所です。
ちなみに、トイレの滞在時間がもっとも長いというお施主さんもいて、トイレでゆっくり朝、新聞を読みたいのに、何度もノックされるとたまったものではない…ともともと、1、2階に1台ずつあったにもかかわらず、もう一室トイレを増やした例もあったくらい、その人々にとっては、さまざまなトイレの世界観があります。
いつも近くにほしいわけではありませんが、遠くにあるのは不便ですよね。つかず離れずの関係を探っていかなければなりませんね!
【水廻りには内部の距離感が存在します】
①オールインワン型
トイレ、洗面脱衣室、洗濯機、ランドリー収納をすべて洗面脱衣室内に収めるタイプです。一時期はこれ以外は家じゃないなどという乱暴な建築家さんもいたくらい、流行りました。
1坪2畳の浴室と合わせ、だいたい5畳あればほとんどすべて納まります。ただし、トイレと脱衣室を一体化してしまうと、トイレと浴室の同時使用が困難となります。
私のなかでは、これだけは却下したいところです。
②トイレのみ独立型
①のオールインワンからトイレだけを切り離すタイプになります。最もオーソドックスな形となります。トイレと脱衣室の「同時使用問題」はこのタイプで一気に解決します。
浴室と洗面脱衣室に必要なスペースはそれぞれ1坪2畳程度です。
③ホテル型
①のオールインワン型から洗濯機だけを追い出し、キッチンにコンバートしたタイプとなります。洗面化粧台の幅が半間でよければ、洗面脱衣室は2畳で納まります。洗濯にお風呂の残り湯を使用しないという前提となります。
洗濯機のみキッチン同居型
①のオールインワン型から追い出された洗濯機がキッチンに落ち着いたタイプとなります。洗濯をしながら調理も同じ場所でできるので主婦(夫)には大好評です。洗濯機は基本的に背の低いドラム式が前提となります。
【「やってはいけない」トイレの配置】
日本のトイレは一般的に、水廻り全体の中にまとめるというよりも、部屋として独立させる配置が圧倒的に多くなります。トイレを単独で配置する際は、いくつかの絶対的ダブーがありますので覚えておいて、お気を付けください。
【リビングやダイニングと向かい合っている】
リビングやダイニングの真横にトイレがあるって…最悪です。どちらの側もなんとなくどころか間違いなく落ち着きません。
【玄関と向かい合わせ…最悪です。】
ジャーと流して出てきたところでお客さまと鉢合わせしてしまったら、若いお嬢さんなら、お嫁にいけないと嘆く様がありありと浮かんできます。お互いに微妙な空気が流れ…最悪です。
【寝室の上につくるのも…最悪です】
2階にトイレをつくる場合は、真下の部屋に気を配ってください。うっかり寝室を置いてしまうと、夜中に水の流れる音で目が覚めて眠れなくなる地獄の日々が続きます。
【寝室から遠い…最悪です】
2階の寝室から1階のトイレまでの距離が長いと、夜中のトイレが億劫になります。まだ、若いうちならいいのですが、歳を取ってからでは、目もあてられません。最低限、2階の寝室から近い位置にトイレを置くか、2階にもトイレをつくるか、解決策は2つに1つです。
ちなみに、最近では寝室内にトイレを設置される場合が多くなっています。