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上下の階の水回りと寝室の位置に注意したい二世帯住宅
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
清明 次候 鴻雁北へかえる(がんきたへかえる)
十三参り
数えで13歳になる子どもが虚空菩薩にお参りし、知恵や運が授かるように願う風習が「十三参り」です。
旧暦三月十三日や月遅れの今日を中心に、おもに関西地方で行います。
虚空像菩薩は無限の知恵と福徳を与えてくれる仏様。弘法大師に知恵を授けたという伝説もあります。
数え年の13歳は生まれ年の十二支がはじめて一巡し、子どもから大人への階段を上り始める頃。
年頃の我が子を見守る仏さまとして、古くから多くの親が虚空蔵菩薩を頼りにしてきました。
「嵯峨の虚空蔵さん」と親しまれる法輪寺(京都府)には、十三参りの帰途、お寺の前の橋を渡り切る前に振り返ると授かった知恵が失われるという言い伝えがあります。
しっかりと前を見据えて歩く。まるで人生そのものです。
そして…
鴻雁(がん)北へかえる
先日、ツバメの話をしましたが、夏鳥の燕がやってくれば、冬鳥の雁は北へ帰るころなんです。
七十二候で清明の次候は鴻雁(がん)北へかえるといって、およそ4月10日から同月14日までの季節です。
うららかな春に別れを告げてシペリアに渡る鳥の背を、俳句では、鳥雲(とりくも)に入ると季語で詠みます。
また、そんな曇った北の空を鳥曇(とりぐもり)というそうです。
雁のほかに、白鳥や鶴、鴨や鶫(つぐみ)も冬鳥ですが、たとえば群とともに帰らず水辺に残る鴨は、残る鴨と呼ばれるそうです。
ちなみに、渡り鳥たちは、何十日も飛び続けなければなりません。海の上を超えていくわけですから途中で休憩することはかないません。
子供のころから、どうするんだろうと思っていました。最近分かってきたことですが、どうも寝ながら飛んでいるそうです。
渡るために寝ながらでも飛べる技術を身に付けたのですね。
この時季夕方になると空を見上げ、V字飛行で北の空へ飛んで行く、ガンの群れを見つけるたびに、鳥たちの生きる力に感動してしまいます。
全員無事に行き着くことを祈るばかりです
上下の階の水回りと寝室の位置に注意したい二世帯住宅
1階が親世帯、2階が子世帯のI様邸です。子世帯は共働きで帰宅時間は遅く、深夜近くなることも。もちろん純粋に仕事だけではないかもしれませんが…(笑)
キッチンや風呂場の音が1階の寝室に響かないよう間取りを工夫して2階キッチンの階下は、やはりキッチン。2階洗面室の階下は浴室。こちらのお宅では、親子孫で生活時間が全く違うため、
浴室は大きめにして1階に一箇所にしました。その分、女性の多い子世帯の2階には、洗面カウンターを設け、朝の洗面化粧ラッシュを避けられるようにしてあります。
そのため、2階洗面ツインカウンターの階下は、浴室と廊下。寝室の位置は上下階で同じ位置にしてあります。玄関もアプローチも広くとり共用として、両世帯が毎朝できるだけ顔を合せるよう壁などは設計していません。
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親世帯と子世帯で1階と2階(都市型では3階も含める)を分ける場合、上下の同じ位置にどの部屋を配置するかが重要事項になってきます。
とはいえ、水回りと寝室を上下互い違いを避けることが、大半なのです。
たとえば、2、3階に子世帯が住む場合、夜中に料理をすることも十分に有り得ます。ですが、そのような可能性があるにも関わらず2階キッチンの真下に親世帯の寝室を配置してしまっている二世帯住宅は決して少なくありません。
親御さんは調理の音が気になって眠れません。それでなくともご高齢なほど、なかなか寝付けない方が多いと思いもいます。
高齢な親御さんだけではありません。子世帯のほうでも、夜遅くに仕事から帰宅して、椅子を引く音などが階下に聞こえないか、足音が響いてないか、その度いちいち気にしていたのではたまったものではありません。ストレスが溜まり健康を害してしまうかもしれません。
練馬区のIさんは、40代、50代の子世帯が2階、(10代、20代の2人の娘さんが3階)70代80代の親世帯が1階、という二世帯住宅(三世代)を建てられました。
この住まいは新築ですが、1階と2階、3階の部屋の位置関係(配置関係)がたいへんよく、二世帯にリフォームする方々の大変参考になるのではないかと思っています。
まず、玄関は敢えて分けないようにしています。その代わりといってはなんですが、玄関アプローチをビルトイン(建物内部)にして玄関自体も広めに設計してあります。
階段は、2階、3階の子(孫)世帯、親世帯共用です(親世帯が階段を使用することは、あまりないかもしれませんが、2階のリビング・ダイニングを使って全員で食事をすることもあるそうです…)
実際、その玄関と階段は、親世帯の寝室から最も離れた位置にあるため、夜中に子夫婦、孫娘さんが友人などを連れて帰宅したとしても、親夫婦に気兼ねすることなく、2階へ上がれます。
リフォームの場合でも、玄関を別々につくることは難しくありませんが、玄関を別々にして、例え行き来できるようにドアなど付けて壁で仕切ると、かえって親子関係がぎこちなくなってしまうことがあります。
逆に、親子世帯、別々の玄関にされていた方の、玄関を広くして、1つに繋げるリフォームをすることもあります。
特に道路や門扉の位置との関係で、隣同士の玄関になることが多いと思いますが、それならなおのこと寝室を離して計画すれば、狭く小さい玄関を設えるよりもずっと使い勝手はいいと思っています。
実際、十年、二十年後の親子関係は良好なご家庭が明らかに多いと言っていいと思います。玄関を別々にすることよりも、肝心なのは、2階に住む世帯の玄関と階段をセットで考えることなのです。
これら2つは必ず近い位置につくることをお薦めします。せっかく無理して狭い玄関を別にしても、「2階へ上がる階段が、親世帯の寝室のそば」というのでは、まったく意味がありません。
それから、また、二世帯の生活スペースがほぼ別々であっても、家の中でどこかでは繋がっていることが肝心だと思っています。しかもできれば、扉などで不自然に仕切られていないほうがいいでしょう。
何かあったときに、ドアに内鍵が掛かっていたり、いちいち靴を履いて行き来しなくてはならないようでは、なんのために同じ屋根の下に住んでいるのか分かりません。
I様邸では、玄関ホールに完全な仕切りも内部ドアも無いので、毎朝のようにお互いの気配が感じられます。
さて、そんなI様邸の間取りを、1階と2階とを照らし合わせながら見てみましょう。
子世帯が使う2階のキッチンの真下は、やはり親世帯が使うキッチン。2階の洗面ツインカウンターのある洗面室の真下は親世帯というか、家族全員共用の浴室。
子世帯が夜遅くに帰宅してジャージャーと炒めものをしたり、夜中にシャワーを浴びたりしても、1階の浴室から最も離れた寝室で寝ているご両親の耳まで届くことはほとんどありません。
お互いのライフスタイルを邪魔しないで済むと同時に親子三世代の繋がりも蝕むことのない、理想的な位置関係であり、理想的な家族の絆の繋がりの間取りだと思います。