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「熱いお風呂は体が冷えやすい!? 非常識のような常識」
熱いお風呂は体が冷えやすい!? 湯冷めしにくい温度とは
お風呂に入って体を温めたい!そんな時、あなたはお湯を何℃に設定していますか?
一般的に冬は温度が高め、という人が多いはずです。
しかし、それは間違いかも!これまでの常識が覆る入浴の新常識を紹介します。
冷え対策には「ぬるめのお湯」が正解
少し熱めの42℃とぬるめの40℃のお風呂で、出た後の体温の変化にどう違いが出るのかを検証実験しました。
まずは42℃のお風呂から。入浴10分後の体の表面温度を、サーモグラフィーで測定してみると…
お風呂を出た直後は体全体が赤く、しっかり温まっていることがわかります。
しかし30分を過ぎた頃には、画像のように胸のあたりの体温が低くなっていました。
いっぽう40℃のお風呂の方は、時間が経っても胸や足の体温低下が大きくなく、温かさが持続していたことが判明したのです。
お風呂の研究者、東京都市大学教授で医学博士の早坂信哉先生は、「熱ければ熱いほど体が温まると勘違いしている人が結構多いですね。人間の体は体温を一定に保とうとするので、急激に熱くすると体温は一瞬上がるのですが、その後急速に体温を下げようとするので、逆に温まりは長続きしません」と、お湯の温度と体温のメカニズムを教えてくれました。
さらに早坂先生によれば、「30分半身浴」はダイエット効果がほとんどないそうです。
「長時間半身浴すると確かに汗はかきますが、それでカロリーを消費するということはありません。汗をかくといっても体内から出ているのではなく、外から熱をもらって汗をかいているだけなのです」(早坂先生)
半身浴は運動の汗とは違うため、ダイエット効果は期待できないのだそうです。
日本人は「熱め・短時間」の入浴が好き
ウェザーニュース社で入浴時間や湯温についてアンケートを実施したところ、「熱め・短時間」が全体の40%と最も多い回答となりました。
次いで「ぬるめ・短時間」が30%、「ぬるめ・長風呂」が21%、「熱め・長風呂」が9%という結果でした。「短時間」という回答に絞ってみると全体の7割を占めています。
12月は年末の忙しい時期ですから、お風呂はささっと短時間で済ませがち、という人も多いのかもしれません。
アンケートの結果では、湯温は「熱め」と「ぬるめ」がほぼ半々で分かれる結果になりました。
好みもあると思いますが、湯温によって体への効果に違いがあるそうです。
冷え対策によいのは、熱め? ぬるめ?
冬にしっかり温まるためにおすすめなのは、40℃程度のぬるめのお湯です。
でも、寒さの厳しい冬は熱めのお湯でしっかり温まりたい! と思ってしまいます。
しかし実際は、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、体を芯まで温める効果があります。
また、ぬるめの入浴は自律神経にも作用して、心身がリラックスすることで冷え対策にもとても効果的です。
冷えのメカニズムと効果的な入浴法
常に手足の冷えに悩まされている人は多いもの。
冬は特につらく、重ね着などしてもなかなか解消されません。
手足などに冷えを強く感じるのは、血行の悪くなっていることが原因とされています。
自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、運動不足やストレスなどの影響で交感神経が優位になると、手足など抹消の血管が収縮して血液が十分に行き渡らなくなってしまうのです。
入浴には、温熱作用、静水圧作用、浮力作用の3つの効果があり、冷え対策にも役立ちます。
温熱作用により体が温まり、静水圧作用によるほどよい圧力により血行がよくなります。
湯船に浸かると浮力作用によって体への負担が軽減してリラックスします。
体が温まるだけでなく、副交感神経が優位になり冷えの改善に役立つのです。
秋冬に冷え対策としておすすめの湯温は、40℃程度(春夏など気温が高いときは39℃程度)です。
10?15分かけ、体全体を温めるのがおすすめです。
冷えで寝付きが悪いという人にも、ぬるめのお湯の入浴が大いに役立ちます。
「入浴で体が芯から温まったあとは、2時間ほどで深部体温が下がり始めて眠気が強くなります。そこで布団に入る1時間半前に入浴するようにすると、スムーズに入眠できます。
ただ、入浴から就寝までに興奮したり、体が冷えてしまうと入眠の妨げとなりかねません。
部屋の明かりをやや落として適度な室温に保つこと、音楽など音量も上げすぎないようにするとよいでしょう。
熱めの入浴がオススメな場合は?
熱めのお湯での入浴にも、活用法があります。
41~42℃の熱めのお湯での入浴は、交感神経を刺激して気分をスッキリ、リフレッシュさせる効果があります。就寝前などには向きませんが、朝の目覚めをよくするには最適です。
冬は寝起きが悪くなりがちなので、41?42℃のお湯にサッと早めに入るのがおすすめです。浴室が冷えていることが多いので、あらかじめシャワーを出して温めておくのもよいでしょう。
あまり長く入ってしまうと体力を消耗してしまうので、3?5分程度までにしましょう。
入浴剤を上手に活用して冷えない体をつくろう
医薬部外品(薬用入浴剤)を選べば、疲労回復、冷え症や肩のこり・腰痛などをやわらげる効果も期待できます。
入浴剤・入浴料は、「医薬部外品」と「化粧品」の2類にわけられます。
温浴効果を高めて疲労回復・肩のこり・冷え症などに効くのは、医薬部外品(薬用)の入浴剤のみです。
化粧品に分類される入浴料は温浴効果を認められていないものの、保湿成分を配合しているのが特徴です。
医薬部外品と化粧品の違いを認識したうえで選ぶようにしましょう。
肩のこりや冷え症などへの効果重視なら炭酸ガス系入浴剤がベター
検証では、何も入れていないさら湯につかったときと比べると、すべての入浴剤で湯冷めしにくくなる効果を得られました。
そのなかでもとくに温浴効果が高評価だったのは、炭酸ガス系の入浴剤(医薬部外品)です。
炭酸水素ナトリウム(重曹)は、お湯に溶かすと酸と反応して炭酸ガスが発生する有効成分です。
ブクブクと泡を出して溶け、温浴効果を高めて血行が促進されます。
ポカポカのお湯で緊張をほぐしたい人によいでしょう。
カミツレやハッカ葉などの生薬や、そのエキスを配合した薬用植物系入浴剤も、高い温浴効果が期待できます。
保湿効果にも注目。入浴後のボディケアも忘れずに
検証で入浴前後の肌を比較したところ、28商品のうち23商品がさら湯につかったときよりも水分量がアップしました。
しかし、保湿効果のある入浴料を使ったからといって油断は禁物です。浴室から出ると肌の水分が蒸発していき、10分以上経つと乾燥状態になってしまいます。
入浴後はすぐにボディクリームなどで保湿するようにしましょう。
自宅でできる重炭酸温浴法
ドイツや大分の長湯温泉などの自然炭酸泉のpHは6.7?7.1の中性です。
このpHでは炭酸ガスは湯中に存在できず、ほとんどが「重炭酸イオン」に変化しています。
この「重炭酸イオン」が自然炭酸泉の温浴効果や清浄効果を高め、血流を上げて体を温めているものと考えられています。
自宅でも「重炭酸イオン」が溶けたお湯に入浴することで冷え知らずのポカポカ効果を体感することができます。
重炭酸の溶けた40℃のぬるめのお湯にゆったり15分程度浸かるのが「重炭酸温浴法」です。
入浴直後は体が大変温まっているので、就寝の90分前に入浴を終えていることがおすすめです。
最近では手軽に買える重炭酸の入浴剤もあるので利用するのもおすすめです。
その習慣、逆に冷えるかも!お風呂にまつわる11の意外な真実
【○×クイズ…質問】 入浴にまつわる11クイズをもとに、正しい入浴に関する知識を身につけましょう。
1. お風呂上がりは常温の飲み物を飲むほうが良い
2. お風呂から上がる最後に、冷たい水をかけて毛穴を引き締めると良い
3. ぬるま湯より42℃以上の熱いお湯のほうが体が良く温まり、冷え性に良い
4. 冷え性の人はお風呂上がりに靴下を履くと良く眠れる
5. お風呂上がりは、身体を温めた状態を維持させるため、扇風機には当たらない
6. 半身浴より全身浴のほうが汗をたくさんかく
7. 入浴剤を使用しても色や香りがつくだけで体を温める効果は変わらない
8. 入浴後、冷えないうちにすぐに布団に入ると良く眠れる
9. 湯船に浸かる習慣がある日本人より、湯船に浸かる習慣がない欧米人のほうが冷え性に悩む人が多い
10.湯船に浸かる入浴もシャワーも、汚れを落とすのは変わらないので健康効果は同じである。
11.お風呂は30分入るよりも10分入ったほうが健康効果が高い
【○×クイズ…正解と解説】 どうでしたか? それでは、正解を見てみましょう!
1. お風呂上がりは常温の飲み物を飲む…○
〔解説〕冷たい飲み物を飲むことでせっかくお風呂で温まった身体が冷えてしまいます。お風呂上がりは常温の飲み物を飲んでください。
2. お風呂から上がる最後に、冷たい水をかけて毛穴を引き締める…×
〔解説〕確かに冷たい水をかけると毛穴は引き締まるので良いのですが、最後は温かいお湯をかけて、身体を温めた状態でお風呂を上がりましょう。
3. ぬるま湯より42℃以上の熱いお湯のほうが体が良く温まり、冷え性に良い…×
〔解説〕42℃の熱いお湯のほうが結果的に早く身体が冷えてしまうことがわかっています。40℃までのぬるま湯で、より長く体を温めましょう。
4. 冷え性の人はお風呂上がりに靴下を履くと良く眠れる…×
〔解説〕手足からの熱の放散があると眠くなることがわかっています。靴下を履いて寝ると手足から熱が逃げず、結果としてよく眠れないのです。なので寝るときは靴下は履かないようにしましょう。
5. お風呂上がりは、身体を温めた状態を維持させるため、扇風機には当たらない…○
〔解説〕冷やすと温熱効果が中断し、身体が冷えます。お風呂上がりは扇風機には当たらないようにしましょう。
6. 半身浴より全身浴のほうが汗をたくさんかく…○
〔解説〕半身浴は湯船に浸かっている面積が狭い分、身体が温まりにくく全身浴のほうが発汗量が多くなります。
7. 入浴剤を使用しても色や香りがつくだけで体を温める効果は変わらない…×
〔解説〕入浴剤は保温や保温効果が高くなります。
8. 入浴後、冷えないうちにすぐに布団に入ると良く眠れる…×
〔解説〕体温が下がらないと眠くならないので布団に入るのは90分後がベストです。
9. 湯船に浸かる習慣がある日本人より、湯船に浸からない欧米人のほうが冷え性に悩む人が多い…×
〔解説〕冷え性自体が日本人特有の症状であり、欧米人にはない疾患概念であるため、欧米人には冷え性の人はあまり存在しません。
10.湯船に浸かる入浴もシャワーも、汚れを落とすのは変わらないので健康効果は同じである…×
〔解説〕シャワーの健康効果は湯船入浴より低いことが医学的研究から判明しています。
11.お風呂は30分入るよりも10分入ったほうが健康効果が高い…○
〔解説〕長すぎると浴室熱中症になってしまいます。40℃なら10~15分程度湯船に浸かるのがおすすめです。
いかがでしょう、何問正解しましたか? 正答数をチェック!
9問以上正解…入浴優等生! …この調子で健康を維持しましょう♪
5問~8問正解…正しい知識を増やしましょう! …より正しく知識を理解し、入浴優等生を目指しましょう?
0~4問正解…間違った知識のもと入浴をしている可能性大…入浴知識を見直すと身体にも良いことが!?
正しい入浴知識を取り入れることで健康効果を高めることができます。あまり良くない習慣が身についてしまっていた方は、これを機に改善してみてはいかがでしょうか。