BLOG

ブログ

海外で「温水洗浄便座」が使われない理由とは?

LINEで送る
Pocket

海外で「温水洗浄便座」が使われない理由とは?

【お尻を洗うのは10秒以内 「温水便座症候群」?】

温水洗浄便座は日本人にとって必需品です。しかし、愛用しているのは世界の中で日本人だけなんですって!

旅行などで海外を訪れたことのある方は覚えがあると思いますが、海外で温水洗浄便座を見つけるのは至難の業なんです。日本人の多くの人を虜にする優れモノが、世界で広まらないのはなぜなのでしょうか?

「洗いすぎ」のリスク

ウォシュレットなど温水洗浄便座の発祥の地はアメリカですが、欧米ではまったく普及していないみたいです。温水洗浄便座を介しての「感染症のリスク」が指摘されているうえに、ノズルや噴出される「お湯の衛生面」に問題があると指摘されているからなのです。

内閣府の調査によると、我が国の温水洗浄便座の一般世帯での設置率は2020年で80.2%でした。調査が始まった1992年に14.2%だった普及率は爆発的に伸長しました。

いっぽう、アメリカでの2020年時点での普及率は10%未満、中国においては2019年でわずか5%という低い水準にとどまっています。上海に行ったときの高級ホテルには温水洗浄便座は設置されていましたけどね…

なぜ海外では、まったく普及していないのでしょうか。
実は、温水洗浄便座には日本人だけが知らない多くの危険が潜んでいるからです。

肛門を清潔に保つことは良いことです。ところが、洗いすぎがリスクに繋がることもあるのです。

温水洗浄便座による過度の洗浄によって皮脂が取れてしまい、肛門の周りがカサカサに乾燥してしまう症例が報告されています。私たちの体は常在菌に覆われており、pH(酸性、アルカリ性を示す数値のこと)で4.5~6.0の弱酸性に保たれています。

しかし、過度な温水洗浄によって常在菌が流されてしまい、pHが7以上の中性からアルカリ性の状態になってしまうのです。こうなると黄色ブドウ球菌など人体に対して悪さをする菌が傷口から侵入し、皮膚炎を引き起こします。

一度中性になった皮膚が再び弱酸性に戻るまでには約10時間を要します。
つまり、一日に2回以上温水洗浄便座を使用すると、肌が本来の弱酸性に戻る余地がまったく無くなってしまうのです。

そうなると、自分が肛門から出した便により肌がかぶれてしまう可能性も高まります。便は強い酸性なので、中性の肌だと触れた時に炎症を起こしやすくなるのです。

【痔になる事例も】

温水洗浄便座に頼り過ぎはよくないのです。
切れ痔やイボ痔が慢性化し、それによって肛門からの出血を訴える例も多数報告されています。例えば、トイレの後にお尻を洗い流すとすっきりして気持ちがいいので、つい頻繁に使ってしまっています。

ところが温水で肛門が刺激されるせいか排便した後、再び便意を催してしまいます。それでまたいきむのですが、便は出てきません。その後お尻を洗いなおすと、また便意を催して…ということを繰り返してしまいます。

このような状況が続くと肛門に負担がかかりすぎて、切れ痔を患ってしまいます。この痔を軽く見ていると、さらに深刻な疾患を見逃す可能性が出てきます。
肛門から出血があっても「自分は痔だから」と放置してしまいます。

ですが、肛門からの出血は大腸がんや直腸がんの症状である可能性もあります。
油断してしまうことで、気がついたころにはがんが進行していたというケースも少なくないのです。

【細菌は大丈夫?】

そもそも、温水洗浄便座は本当に清潔なのでしょうか?東海大学健康科学部では、温水洗浄便座の温水タンク内の水に着目し、その衛生状況を調査しています。細菌学的に検証するために、神奈川県内の一般家庭・公共施設にある温水タンク付きの温水洗浄便座108ヵ所を対象に、温水タンクの水の細菌を調べました。

すると温水タンク内の水は水道水に比べ、平均して一般家庭においては30倍、公共施設でも10倍の細菌が存在するというデータが明らかになったのです。

温水タンク内では水温が約38度に設定されているため、殺菌用の塩素が蒸発して機能しなくなることに起因すると考えられています。タンク式(貯湯式)に比べて、瞬間式はお湯を貯めないので衛生的と言えます。

この研究では、便座から水を噴き出している「ノズル」にも注目しました。
調査したうちの4例では、ノズルから侵入してきたとみられる大腸菌が、温水洗浄便座のタンク内で繁殖していることが確認されました。

東海大学医学部付属八王子病院の医師らの研究によると、2015年に同病院内の温水洗浄便座21台のノズルなどを対象に行った調査では、5台のノズル部分から「緑膿菌」が検出されました。

緑膿菌と言えば、呼吸器感染症や敗血症などを引き起こす細菌です。このような細菌が含まれている可能性がある水を、直接に肛門に向けて毎日噴射しているのです。

また、温水洗浄機能を必要以上に強く使用すると、肛門に当たった水はしぶきとなってお尻全体に飛び散ります。

【女性も要注意】

女性は肛門から近い位置に尿道と膣があるため、温水洗浄便座の定期的な使用による健康被害のリスクが男性よりも高まります。肛門に当たって飛び散った水による膀胱炎、膣炎の感染リスクが指摘されています。

膀胱炎が引き金となり他の疾患を併発した場合、生命が脅かされることもあります。

【早産や流産の原因は50~60%が膣炎】

妊娠を控えた女性にとって膣炎は、避けたい症状の一つです。
国立国際医療センター戸山病院産婦人科の荻野満春先生(研究指導者・箕浦茂樹部長)が、飯野病院の飯野孝一院長と共同で行った調査によると、「習慣的に温水洗浄便座を使用している人は、使用していない人に比べて、膣内の善玉菌である乳酸菌が著しく消失し、腸内細菌などによる汚染が目立ち、細菌性膣症にかかりやすくなっていた」と結論づけました。

この調査は、妊娠していない19~40歳の女性で、温水洗浄便座を習慣的に使用している人(使用者)154人と、まったく使用しない、またはときどき使用している人(未使用者)114人を対象に実施されました。

彼女たちの膣内分泌物を採取・分析した結果、乳酸菌を保有していない症例は、温水洗浄便座の未使用者ではわずか8.77%でした。これに対して使用者では42.86%パーセントもの人が乳酸菌を膣内に持っていなかったのです。

温水洗浄便座の使用者は、未使用者のなんと約5倍もの人が、デーデルライン桿菌を失っていたという結果です。さらに、膣内から腸内細菌が検出された症例の92パーセントは、温水洗浄便座の使用者であることも判明しました。

本来、膣内にいるはずのない腸内細菌が、温水洗浄便座の使用者の膣のなかに入り込んでしまっているのです。この調査結果が示唆するのは、日常的にビデで洗う女性は、膣内のデーデルライン桿菌(常在善玉菌)を洗い流したために、雑菌に対する抵抗力を低下させてしまっているということです。

そのぶん、膣炎にかかるリスクは高くなります。そして、早産や流産の原因は50~60%が膣炎にあるともいわれているのです。

【気を付けて使おう】

業界団体である(社)日本レストルーム工業会・広報によれば、「ノズルやタンクから排出される水に関しては、吐水に関する微生物学的実態調査研究を行い、衛生的安全性が確保されることが確認されています。

温水洗浄便座の使用に起因する感染症リスクについては、日本レストルーム工業会では知見がありません」。

国内主要メーカー3社は、「衛生面・安全面ともに問題はない」といいます。
しかし一方で、各種の疾患が生じたという医学的症例が存在することも事実なのです。

日本人にとって温水洗浄便座が素晴らしい製品であることは疑いありません。
ただ、リスクも存在することを理解しつつ、気を付けて使うべきなのでしょう。

【10秒お尻を洗うと危険?! 温水洗浄便座の正しい使い方】

「水圧を”強”にしている」「10秒以上お尻を洗浄している」「温水を直接肛門に当てている」「排便の前に刺激して排便を促す」などの間違った使い方をしていませんか? 温水洗浄便座の正しい使い方についてまとめました。

【「温水洗浄便座症候群」とは】

温水洗浄をし過ぎると、本来必要な肛門周囲の皮膚の皮脂まで、過剰に洗い流してしまいます。これにより皮膚のバリア機能が低下し、かぶれやかゆみなどの症状が起こることもあり、正式な病名ではありませんが、「温水洗浄便座症候群」という呼ばれ方もされています。

また、水圧が強過ぎても皮膚を傷めることになります。温水洗浄便座から病気感染するリスク・気になる安全性排泄物をノズルから出る温水で洗い流すことから、それを介して、感染症になるリスクを心配する方もいらっしゃるようです。

結論からお伝えすると、健常人で正しい使い方をする限り、感染の危険はないと考えられます。ノズルを自動的に洗浄してくれる機能があるものなどは、さらに良いかもしれません。

ノズルからの菌の逆流がないことなどは、各メーカーがサイト上のQ&Aなどでも回答しているようですので、感染リスクが完全にゼロではないとは言え、深刻な持病などがある方以外は過剰に神経質にならなくてもよいかと思います。

ですが、不適切な使い方による感染の危険性は完全には否定できません。
例えば、胃腸炎で下痢をしているような場合、下痢便の中にはノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルス、サルモネラ菌、大腸菌、キャンピロバクター菌などの細菌が含まれている可能性があります。

ノズルからの逆流などがない場合でも、強い水圧で洗浄してしまうと、そうした病原体を便器内に通常よりも広範囲で付着させてしまう可能性はあるのでしょう。

【「温水便座症候群」の症状のある人の対処法】

肛門に痛みやかゆみを感じている人は、まずは温水洗浄便座の使用を控えることです。最初は、きれいになったのか不安もあるでしょうし、お尻が温水シャワーの心地よさを求めもするでしょう。

でもそこを踏ん張って、便をしたらあくまでもさっと肛門を洗いトイレットペーパーで水分を拭き取る程度に。また、入浴時に肛門をボディソープなど合成界面活性剤の入った洗剤でゴシゴシ洗うのもよくありません。

皮膚の新陳代謝のスピードは、約28~56日とされています。2カ月もすれば、かゆみのない肛門をとり戻せることでしょう。

【お尻を洗うときの水圧は「弱」が正解】

温水洗浄便座でお尻を洗う時、水圧を「強」や「最大」にして洗っていませんか?
お尻をしっかりと洗おうと思っている人ほどやってしまいがちですが、実はこの洗い方は間違っています。

お尻を洗うときの温水洗浄便座の水圧は「弱」または「最小」で十分に汚れを落とすことができます。しかも、「強」や「最大」の水圧でお尻を洗い続けていると、お尻の皮膚を痛めてしまったり、汚れた水が周囲に飛び散る原因になりますので注意しましょう。

【お尻を洗う適正時間は5~10秒に】

温水洗浄便座でお尻を洗う適正時間は、水圧「弱」で5~10秒程度で十分と言われています。

お尻を温水洗浄便座で長時間洗浄してしまうと、腸の粘膜を保護している粘液まで洗い流すことになり、細菌を防げなくなって皮膚炎にかかってしまう場合もありますので注意が必要です。

【特に、肛門を広げた状態での長時間洗浄は危険ですのでやめましょう。】

排便の前にウォシュレット?刺激で排便を促すのは控えめに
意外とやっている方が多いのが、排便の前に温水洗浄便座の洗浄機能で肛門を刺激し、便意を催す行為です。

この使い方は、そもそも温水洗浄便座本来の機能ではありませんし、癖になると通常の排便ができなくなってしまう危険もありますので注意しましょう。
また、温水洗浄便座を便秘解消のために使用する人も居るようですが、同様の理由でやめたほうがいいでしょう。

【温水洗浄便座で洗浄→紙で拭くが正解】

排便後、温水洗浄便座で洗浄してからトイレットペーパーで拭くべきか、トイレットペーパーで先に拭いてから洗浄するべきか悩んだことはありませんか?
正解は「温水洗浄便座で軽く洗浄してからトイレットペーパーで拭く」です。

トイレットペーパーで先に拭くことを主張している人たちは、温水洗浄便座で先に洗浄すると、汚れた水がノズル自身に掛かってしまうことを懸念しています。

しかし、最新機種なら汚水がノズルにかからないので、「温水洗浄便座で軽く洗浄してからトイレットペーパーで拭く」の順番で問題はありません。

【温水洗浄便座による洗浄は紙で拭くだけより清潔】

お尻にとって清潔なのは紙(トイレットペーパー)か水(温水洗浄便座)か?これは多くの人が疑問に思っていることです。結論から言ってしまえば、温水洗浄便座による洗浄のほうが、トイレットペーパーでお尻を拭くだけよりも清潔です。
トイレットペーパーで拭くだけだと、便は完全には除去されず、お尻にこすりつけているだけという見方もできます。いっぽう、便は水に溶ける性質を持っているため、温水洗浄便座の温水による洗浄では綺麗に洗い流すことができます。

このように、「温水洗浄便座の間違った使用」が多くの健康上のリスクを招いていることが大げさに伝えられることで、海外では普及が進まないのかもしれません。

日本人は清潔を追い求め続け、それゆえに温水洗浄便座が急速に普及してきました。ですが、かえってそれが私たちのお尻を不潔にしているかもしれないのです。

気持ち良く清潔になれる温水洗浄便座の使いすぎで寿命を縮めるようなことがあれば、笑い事では済まされないのです。

リフォーム会社 大東建設ページトップへ
練馬区のリフォーム会社 大東建設へのお問合わせ