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物干し金物と和紙ガラスにとことん拘(こだわ)る[材料、設備の追求9]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
立冬 末候 金盞香し(きんせんこうばし)
金盞銀台(きんせんぎんだい)、なんのこと?
七十二候が「金盞香し(きんせんこうばし)」となりました。金盞は「金の杯」という意味があり、芳香を漂わせる水仙を指します。
花の中央にある黄色い副花冠(ふくかかん)を金の杯に、周りの白い花弁を銀の台にたとえた古代中国での呼び名「金盞銀台」が語源です。
「水仙」は、可憐な花の姿と芳香がまるで仙人のようなところから名がついたといわれていますが、佇まいからすると仙女のほうがしっくりきますね。
水耕栽培なら今くらいからはじめても、早春には美しい花が咲きます。寒さに強く、雪のなかでも開花することから別名「雪中花」。
年始に彩りを添える正月花として育てるのも趣深いですね。
【金盞香し】
甘く漂う水仙の香りには、心を落ち着かせ、リラックスさせる効果があるそうです。
だからこそ「咲く」や「開く」ではなく「香し」とする候名ができたのでしょう。
【いい家の日・住宅リフォームの日】
11(いい)月18(いえ)日の語呂合わせ、同様の語呂合わせを由来に「住宅リフォームの日」でもあります。
物干し金物と和紙ガラスにとことん拘(こだわ)る[材料、設備の追求9]
【たかが物干し金物、されど物干し金物】】
【環境空間に溶け込む特別あつらえの手すりや、物干しを設(しつら)える】
※ 設置高さはFL(フロアレベル)から+1,800mm、外壁からの距離は壁芯から550mm、長さは2230mmとなります。
- ①木ネジで、軒(のき)垂木(たるき)に直接固定しています。
- ②溶融亜鉛メッキを施(ほどこ)した12×19mmのフラットバーを加工して物干しとしています。
- ③手すりは9×50mmのスチール・フラットバーで制作し物干しとの一体感を演出します。
(ただし、スチールは将来のメンテナンスが大変なので、ステンレスの磨いていないマット系のものを使用してもいいかもしれません)
【物干し金物をとことん極める】
機能性を重視した既製品の物干し金物の多くは、いかにも既製品という印象を強く与え過ぎるためか、取り付けると家や建物の内部スペースや外観のデザインとの間に許されざる違和感を与えてしまいます。
私だけがそう思っていて、そこに住む方々は、物干しなんかどうでもいいんじゃないと思っているのかもしれません。
ですが、最近では、洗濯物をベランダなど外に干さなくなりつつあるのは、下着など洗濯物を見られたくないとか、盗まれたくないという理由が一番だとは思いますが、それだけではなく、やはり内部空間からの景観を含め、外観のデザインが少なからず影響しているのではないでしょうか?
既製品のなかには使用していないときには天井の位置まで収納可能なものもありますが、、来客時以外に手間を掛けてまでしまい込むことは少ないと思われます。
それならば、少しの手間を掛けてもオリジナルなモノをつくられることをお奨めいたします。物干しが普段から空間や外観に溶け込んでいれば、使わないときに、そのまま見えていたとしても気にならないと思うのですが…、いかがでしょう。
【和紙ガラスに拘(こだわ)る】
和紙ガラスを建具や密集して建てた柱(柱間、芯々364mm)の隙間に嵌(は)め込んで使用しています。開口部としてはもちろん、仕切りとして使っても差し支えありません。
本来であれば障子にすべきところですが、メンテナンスを考えると和紙ガラスであれば、丈夫で長持ちです。そもそも和紙ガラスというのは和紙のシートをガラスで挟み込んでいるディテール(構造)です。
ですから、障子の効果でもある、拡散光による柔らかい光と、気配だけが伝わるやさしい仕切りを得られることが、ほかの素材と極端に違うところです。
また合わせガラスでもあるので衝撃に強く安全性の面でも、安心して使用できる素材なのです。
【大変衝撃に強く和風の雰囲気も醸(かも)し出せる素材】
- ①下図は和紙ガラスを使ってリフォームしたひとつの例ですが、気配を残しながら建物中央のホールなどに柔らかな光を齎(もたら)します。拡散光は隅々まで優しく照らしてくれます。
- ②リノベーション以前の百年以上前の囲炉裏で燻され煤黒仕上げとなった天井をの残してあります。
- ③和紙ガラス。厚さは6mm。和紙シートをガラスで挟み込んでサンドイッチ状にしています。合わせガラスの一種です。
- ④厚さ22mm、幅160mmのカラ松無垢3層フローリング。
※ ほかにガラスの表面片面に和紙模様のシートを貼ったものも市販されています。ワーロンというアクリルでも似たようなものがあり、予算の関係からアクリルの和紙風のワーロンを使用することもあります。というか、そちらのほうがはるかに多いかもしれません。