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耐震リフォーム工事の落とし穴

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地震と喧嘩しない考え方とは?

最近は、本当に大きな地震が頻繁にあります。阪神大震災後に震度6以上の地震が、日本各地で十六回も起こっているそうです。
だからと言って、異常に神経質なることも問題ですし、人間がやることに、完全は有り得ないことを忘れずに、普段から対処するしかないのではないかと思います。

曖昧に考えるのではなく、常に柔軟な行動ができるように心掛けるということです。

例えば、絶対に壊れない家をつくるのではなく(もちろん絶対に壊れない家を簡単につくれれば問題はありませんが、それをするには途方もない費用と時間を必要とします。その上、それをしたとしても、自然の前ではもろくも崩れ去ることはいくらでもあるし、堅牢ゆえに自分の重さで自滅することもあるのですから)、予算内でできることは、自然と相談しながら計画して、せめてかなり大きな地震がきても逃げられるだけの時間はとれる配慮は必要だと思います。

被害が多い建物の多くは、予算を掛けていない建物というよりも、バランスが悪い建物の方がはるかに多いようです。簡単に言ってしまえば、頑丈な家でも材料が重過ぎたり、柱や壁の配置のバランスが悪い家は、もろいということです。

ちなみに新潟県中越地震の被災地は、阪神淡路に比べて雪国のせいもあり、柱や梁が太い建物が多かったようです。
建物に問題があったというよりも、地盤の弱さで倒壊した例が圧倒的に多かった模様です。ここらへんは昔から住宅に適した場所とは言い難いようです。

古い神社仏閣があるような土地は、概ね地盤がしっかりしていると言います。地形にも明らかに地盤が良いか悪いかが表れているところが多く、以前、湯島天神の真ん前で7階建てのビルを建てた時に、なるほどと感じたことがあります。

湯島天神の付近は、広い範囲で本郷地層と言って地盤が悪くちょっと掘ると水が出てくることで有名です。建築、土木泣かせの場所です。
ところが、天神様の周りだけは、大変地盤が良いのです。5m以上掘っても水が出ることはまったくありませんでした。それどころか、良質な地盤で知られている赤土(関東ローム層)が、掘っても掘っても出てきました。この湯島天神が建っている場所が唯一、大変地盤が良いことを昔の人々は知っていたようです。
もちろん当時、地盤調査などという技術や知識がなかったことは、言うまでもありません。

科学的な調査をすることは必要だと思いますが、科学は万能で、それ以外は取り付く島もないというような考え方は、最も危険なような気がします。

耐震補強は莫大な費用がかかる

最近、「地震のための補強工事ってすごく費用がかかるのでしょう?」って声をよく耳にします。

仕事柄、最近各地で起こっている大地震の被害状況や、どういう建物が多大な被害を被ったかという情報には気を付けています。先月は阪神大震災の記念日もありましたので余計目立っていたかもしれません。
どこまで考えるかにもよるのですが、表からチョイと取り繕えるわけではありませんので、クロスの張替や塗装の塗り替えと同じレベルではないことは確かです。

でも、多くのハウスメーカーやリフォーム業者が薦めるような、超高額耐震リフォームや、耐震建築が本当に必要かというと怪しいのではないかとも思っています。

経験者にお聞かせ頂いた話や自分の経験からすると、意外に費用をかけずにできる耐震補強もあります。

関東大震災では火事による被害が多かったようですが、最近の震災では建物の倒壊や家具の倒れによる圧死が多かったようです。それならまず重い家具を倒れにくくすればいいのですが、なんと、数枚の古新聞が家具の転倒をおさえてくれていた家が、意外にも多かったらしいのです。
頑丈に家具に繋がれた鎖や、建物に取り付けた大袈裟な補強金物は引きちぎれていたのですが、新聞紙数枚を折って家具の前下部に挟んでいただけで、ほとんど倒れていないのです。

「そんな馬鹿な!」と思われるでしょうが、結構、理に適っていて、私もよくこの方法は利用していました。
トラックに背の高い家具のような物を積むときは、ロープをあまり締めることができません。その家具を傷つけられないからです。そんなときは、運転台を背もたれにして、そちら側に重心がいくようにダンボールのようなものを品物の前下部に挟みこんでほんの少し傾けます。それだけで、ロープをガチガチに締めなくても大丈夫なのです。走っているトラックの荷台で人はとても危なくて立っていられません。まさに、地震以上の状態です。それと同じことが震災時に家具で力を発揮できたとしても、不思議なことではないのかもしれません。まさに、ほとんど費用のかからない耐震補強です。

それからもう一つ低コストの耐震補強は、柱と梁のそれぞれの接合部にT字型の補強金物を取り付けます。金物はサビますので、50年も60年も先ではどうなっているかわかりませんが、少なくても新しいうちは多数ある柱、土台、梁の接合部で、地震の膨大なエネルギーを分散して吸収してしまうのだと思います。

先ほどの古新聞でもそうなのですが、地震エネルギーの力に対して、鎖のような力で対抗しても限界があります。地震のような自然の災害には力で対抗せずに、できるだけそのエネルギーを分散させ、吸収させるという姿勢が必要なのではないでしょうか。同じ力が働いたとしても、重心の位置を考え柳に風のように受け流してしまうとか、吸収してしまうという形をとらなければ、費用ばかりかかってしまい、無駄になってしまうかもしれません。

と言いつつも、その家にとってどんな耐震補強のしかたが良いかは、千差万別だと思います。試すわけにはいきませんので絶対とは言えませんが、耐震診断をされて、できることから順番に適正な補強をされることをお薦めいたします。 

必要な場所への効率のよい耐震工事とは?

耐震補強工事をする場合、必要以上の費用をかけることはないと言いましたが、もちろん逆に必要なところにはかけなければならないと思います。
では、耐震補強工事をする必要がある場所とは、どういうところなのでしょうか?

浴室等の水廻りが大抵の場合、最も腐朽しています。
腐朽の程度はそれぞれの建物によって差がありますし、建てられた時の施工方法によっては、そうなっていないこともあります。

しかし、ほとんどの場合、理にかなった建築(施工)をされていないのが現状です。分譲住宅、いわゆる建売と言われている建物に、ちゃんとした施工が行われていない物が多いのではないかと思っていましたが、注文住宅と呼ばれている建物でも実際は少なくないようです。
ですから、そこが耐震補強が必要なのです。

そして、できれば、築年数が15年以上で浴室が在来の(ユニットバスでないもの)浴室の場合は、浴室をきれいにリフォームされるついでに柱や土台、耐震補強をすれば、どちらの工事をするにしても必要な解体等の工事がだぶらなくて済みます。つまり費用にしても、時間にしても効率のいい工事ということになります。

もちろん大地震等の災害が起こらなければそれにこしたことはありませんが、その保証は現在まったくありません。
というか世間では起こる確率が大変高いことが言われているくらいです。決して脅かしているわけではありません。
どうしてもリフォーム業者さんは簡単に仕事を受注したいがために、そこらへんの話を敢えてせずに、リフォーム、増改築を薦めてしまいます。
営業の方は知らずにやっているのかもしれませんが、解体して構造材が不朽していることに気が付いても、そのまま塞いでしまう業者さんが大変多いようです。

実際にユニットバスに、リフォームされたお宅の再度ユニットバス交換工事をやらせて頂いたことがありますが、腐った土台や柱をそのままにしてありました。当たり前のようにそんなことが行われているのが現状です。

もう一つの注意点

浴室リフォームのついでに耐震補強をした場合、弱い部分は補われます。ただその際に、今度はその部分だけ強くなり過ぎてしまうということが発生します。。
そうなると今度はバランスが悪くなります。もうこれ以上は少しも補強工事をしないという強い意志があれば、それを見越して手加減して補強することも選択肢の一つだと思います。

ですが、実際には最終的にバランスよく全体を補強することが、安全、安心に繋がります。浴室の補強をしたら、次はリビングや寝室の壁をリフォームする際についでに補強工事をする。次には・・・と、費用は最小限にそしてその中で最大の効果を発揮するようにご計画されることをお薦めいたします。

もちろん耐震補強工事のついでに水廻りの設備や居室の改装をされるという逆の方法も考えられると思います。

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