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夏涼しく冬暖かい…パッシブデザイン[快適さを生む「繋ぐ」5]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
寒露 次候 菊花開く(きっかひらく)
キノコ
きのこが大好きで、冷蔵庫に欠かしたことがありません。
というのは嘘です。いくら好きでも、料理もしない私がそんなわけありませんね。
ブナシメジ、シイタケ、エノキタケ、エリンギなどが人工栽培のおかげで一年中手に入るため、身近なキノコで季節を感じる機会は少なくなってしまいました。
とはいえ、秋にはひと株まるごとのマイタケやぷっくりとしたホンシメジ、フリルのようなハナビラタケなど、珍しいキノコがデパートやスーパーマーケットにお目見えしまうす。
もっとも目立つ場所にはキノコの王様、マツタケが。買おうか買うまいか、毎年のことながらキノコ売り場で熟考してしまいます。
夏涼しく冬暖かい…パッシブデザイン[快適さを生む「繋ぐ」5]
夏涼しく、冬暖かい家って…。
室内の快適な温熱環境をつくってくれるのが自然のエネルギーを効率よく取り入れたパッシブデザインといいます。
夏の暑い日には冷房を、冬の寒い日には暖房を入れるのが今の家では当たり前に普通のこととなりました。ですが、私はいつも考えてしまいます。
地球の自転により変化する四季や、大気の状態によって形成された暑い寒いという環境に抵抗して、石油や石炭を燃やしたり、ウランの核反応から蒸気を起こして冷暖房するのは、非効率に違いないと。
では、どうしたらいいのかを考え、結論を導かなければ、ただの妄想癖に終わってしまいます。
そこで、考えたのが、最も効率がいいのは、太陽光や風などの自然のエネルギーを利用するパッシブデザインの家をつくることです。
パッシブの反対はアクティブ。アクティブな仕組みの家は機械や装備をたくさん使います。一方、パッシブデザインはできるだけ機械を使わずに、家そのものを装置にして、自然エネルギーを取り入れます。
当然ながら、私のお薦めする家はすべてパッシブデザインが設計に考慮され、盛り込まれています。パッシブの中心となるのは窓と庇の位置を家々に併せながら調節して太陽光や風を取り入れること。
夏は北側の地窓(低めの窓)より涼しい空気(風)を取り込んで、南側の高窓やハイサイドライトから熱を含んだ空気を排出します。こうすることによって室内に涼しい風が通るのです。
また一方、軒を深くして家の内部に真夏の太陽光が入るのを防ぎます。ただし、冬は反対に家の奥深くまで太陽光は入ってこないと困ります。
そこで、ふたつの季節の太陽高度をうまく利用して軒の長さを決めます。さらに、これは夏にも冬にもいえることなのですが、取り込んだ風や光を縦方向のシャフトや、吹き抜けなどで通過させ、家全体を一定の温度に保つことが温熱環境にとっては、欠かすことができません。
緑豊かな庭もパッシブデザインのひとつです。ケヤキやサクラなどの落葉樹なら夏は太陽の光を遮り、木陰で涼しい風をつくってくれます。
冬は葉を落として太陽の光と熱を家の中に取り込みます。この太陽エネルギーを、室内の建材に冷めにくい素材を使用して蓄熱させる仕組みも有効なのです。
タイルや石、コンクリートなどは蓄熱性能が大変高く、熱しやすく冷めにくい、いったん温められると、日が沈んだのちも放熱を続けてくれます。
まずは家そのものがパッシブデザインであること。そして足りない分を機械や装置で補う、という順番で考えることが何よりも大切なことだと思っています。
ほんとうは、その足りない分は、ドイツなどヨーロッパのように森林を育てるために必要な間伐材を利用してペレットを使う産業が最も有効だと思っているのですが、どうしても国がやろうとはしないので、今のところは、まだ仕方ないところかと思います。
by株式会社 大東建設 阿部正昭