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風や光を、優しく包み込んでくれる建具〈風通し考⑤〉
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
清明 末候 虹始めて見る(にじはじめてあらわる)
山笑う
日本の山々は、季節の移り変わりに合わせて表情を変えていきます。芽吹きの季節を迎えた春の山は「笑う」。
たしかにやわらかく生き生きとした若芽色をまとう山はほがらかで、見ているオレたちもつい笑みがこぼれます。
「山笑う」は春の季語になっており、正岡子規は「故郷や どちらを見ても山笑ふ」と詠んでいます。
ちなみに夏は「山滴る(やましたたる)」、秋は「山粧う(よそおう)」、冬は「山眠る」が季語です。
そして、いずれも北宋(中国)の画家・郭熙(かくき)の言葉なのです。
日本にも中国にも、昔はこのように山が⛰生きているような、趣きある言葉があったのですね
そして…
七十二候で清明の末候は、虹始(にじはじ)めて見(あらわ)る。その年初めて、雨上がりに空に虹がかかるようになるころ、という意味で、およそ4月15日から19日までの季節です。
いまでは虹は七色と思って眺めていますが、国や時代によって色の数はまちまちでした。昔の日本や中国、イギリスでは、虹は五色と考えられていました。
ちなみに飛行機から眺めると、虹の円環を眼下に見かけることがありますが、それは霧や雲によるブロッケン現象というものです。
確かに虹を観ても、境い目の色はなかなか区別がつかない曖昧な部分があります。
例えば日本では藍色などの色が当たり前に色分けされますが、欧米では青でしかないようです。そのような色の存在がないので、色分けできないようです。
また、同じように、虫の聲も分からないといいます。鈴虫やコオロギの聲を日本人は癒される風流な音としてとらえますが、海外では騒音としか聴こえないようです。
不思議なことですが、日本人には和歌や俳句などの題材になるようなDNAを先人から受け継いでいるのかもしれませんね。
風や光を、優しく包み込んでくれる建具〈風通し考⑤〉
【地下は冷気(夏)と暖気(冬)の宝庫なのです】
地下はある一定以上の深さになると、地上の外気の影響を受けにくくなるので、地中温度が常に一定に保たれます。一般的に私たちの暮らす地域では15~18度と言われています。
これが一年中ほとんど変わらないときてるのですから、もしも地上にこんなところがあったらセレブたちの楽園ですよね。
夏の30度を超える暑さのときには、18度はかなり涼しく感じます。一方、冬の気温が3度のときには、逆にたいへん暖かく感じます。
その一定した地中の温度を冷暖房に使わない手はありませんよね。使わないのであれば、損をしてる感があります。
○夏は床下の冷気を室内へ
ただし、床下の冷気でエアコンを全く使わないというのは不可能だと思っていてください。とくに夏の場合は、地中の冷気では足りないので、あくまでも補助冷房となります。
○冬は外気よりあたたかい地中の暖気を室内へ
こちらも、夏ほどではないが、冬でも補助暖房として利用すれば、主暖房器具の効率は格段に上がります。
○井戸の冷気を室内へ
地中の冷気と同じく井戸の冷気を使用したとしても、エアコンを全く使わないで、快適とはいかない場合が多いので…
○井戸水を屋根に散水
散水をすることで、太陽熱で温めれた屋根の気化熱が奪われますので、効果は最も大きいといえます。
【風や光のフィルターの役目を担う建具】
建具は部屋の環境を守り、また、外と内を繋ぐ重要なアイテムです。開口部から入ってきてほしいもの、またそれとは逆に入ってきてほしくないものがあります。
それらは主に光や風のことですが、それを調整するのが窓などの建具ということになります。ですから、、ガラリ戸、雨戸、ガラス戸、網戸などを適切に組み合わせることによって、エアコンに頼りすぎない住まいができると思います。
【引違い戸と引き込み戸との違い】
※引き違い戸の場合は、上記図のとおり、全開にしても開口率(開口幅に対して、窓を全開にした場合の開口の比率)は50%までとなります。
※引込戸の場合は、上記図のとおり、全開にした場合、建具を全部引き込むと、開口率は100%となります。やはり引き込み戸のほうが理想に近いと言えますが、もちろん工事費は高くなります。
下記図の①のシャッター、雨戸ですが、すべてのものを通しません。要するに通したくないものは通しませんが、通したい、優しく爽やかな風も全く通しません。
②の網戸ですが、入ってきてほしくない、虫は通しませんが、視線は遮れません。光の反射を利用して外からの視線を遮るものもありますが、それでも完全に遮るのは不可能です。
③のガラリ戸と網戸の組み合わせですが、通ってほしい風は通します。通ってほしくない、視線や虫は通しません。なお且つ、空き巣などの泥棒は基本的に通しません。