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建物のかたちと構造を極める3スキップフロアーと化粧垂木
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
小暑(しょうしょ)次候 蓮始めて開く(はすはじめてひらく)
蓮(はす)
小暑の次候「蓮始めて開く」を迎えています。「早起きは三文の徳」のことわざ通り、可憐な花が開いていく様子は早期にしか観ることができません。
泥から生じながらも美しい花を咲かせる蓮は、仏教においては清らかさの象徴。根はお馴染みの野菜、レンコン(蓮根)となります。
蓮の花は夜明けとともに開き、昼過ぎには窄(つぼ)み、また翌日の夜明けに咲く、というサイクルを3日繰り返します。儚くも開花後4日で花は散りますが、生命力は旺盛。二千年以上地中に眠っていた種から発芽した「古代蓮」が、大きく花開いています。
七十二候で小暑の次候は、蓮始めて華さく(はすはじめてはなさく)です。およそ7月12日から16日までのこと。
朝の電車でふと外を眺めたら、お寺の池に蓮が咲いていて、葉っぱにまんまるい露を浮かべている姿を見かけることがあります。蓮の葉は、表面にうぶ毛が生えていて、微妙な凹凸のおかげで、水を弾き、雨水が染み込むことがありません。
それを蓮を意味するlotusから、ロータス効果といってナノテクにも応用されているほどです。
蓮は泥の多い池や沼を好むんですね。ところが、その葉や花はきれいな状態を保ちます。よくお釈迦様が蓮の葉の上に座っている姿を仏像や絵画でみることができます。ヒンドゥー教では蓮華は純粋さや善性の象徴とされ、中国や日本では「蓮は泥より出でて泥に染まらず」と言い習わして、やはり蓮を愛してきました。
蓮の葉の研究者、ドイツの植物学者、ヴィルヘルム・バルトロットにより、そこに天然の自浄機構が備わっていることが発見されています。
建物のかたちと構造を極める(PART3)スキップフロアーと化粧垂木
スキップフロアーの隙間は、光や風を取り込めます。
段差を利用したスリットから光を入れることができます。2階にいても1階の様子が分かり、安心で便利です。
小さな段差のスキップフロアーを考えてみる
床の高さを階段2段分程度ずらし、その隙間を利用すれば、採光と通風を確保することが可能になります。1階にいても2階にいてもお互いの気配が意外と分かるため、家族間のコミュニケーションには大きな役割を果たしてくれます。またどうしても吹き抜けを取る余裕のない家にも効果的です。特に南北に長い形状の建物では家の中央部がどうしても暗くなってしまいます。ところがあいたスリットにはガラスをはめこんだり、開閉可能な扉や窓を付けることで、物の落下防止や冷暖房時の効率アップにも繋がります。
[☆]段差から入る光を建物の暗くなりがちな中心に取り込むことが可能になります。そして2階にいても1階の様子が感じられ、親子ともども安心で便利です。
屋根の垂木のボリュームと感覚をとことん考える。
単純な屋根の架構にして外断熱を採用し、室内にそのまま垂木を見せるスケルトン「現し(あらわし)」で表現することをよく使わせていただきます。それによって陰影が美しく表現できるため、そこに住む人からも人気の表現方法のひとつです。この場合、垂木の材種やサイズ、さらには間隔についてもじっくりと検討しなければなりません。当然ですが、構造的に十分な要素を満たすことはもちろん、室内の視線から屋根までの高さの関係、照明器具の選び方、取り付け方、そして、繊細に見せるか、大胆に見せるかなどなどetc…、考えを極める必要があります。間隔や樹種、サイズでその都度変化をつけて、表現すればあなただけの住まいが生まれるのです。
①ここでは、垂木のピッチは303mmとし、サイズは60✕150mmとしましたが…、必ずしも一定ではありません。その家に合わせて極めることで、陰影のあるユニークな表情になります。
②証明はライティングレールを使い、その部分だけ垂木を2丁抱き合わせ使いにしました。ライティングレールにスポットの取り合わせは、照らしたい場所をある程度自由に変えられるの便利です。最近では、それぞれの照明器具を別々に、リモコンスイッチでコントロールできるものもあります。または、天井照明なしにして、壁にブラケット照明にするパターンも陰影をより表現できて素敵です。
③垂木を支える梁をさらに支える柱は、ここでもあえて2本並べることで単調なデザインにならないよう配慮してみました。
④この家では片流れ屋根にしていますが、傾斜天井の低い部分で2400mmにしてあります。そして高い部分では、3000mm強の天井高を確保していますので、開放感も抜群です。