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[気候風土によって決まる屋根]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
小寒 末候 雉始めて鳴く(きじはじめてなく)
雪見
北国はとうに雪に覆われていますが、「雪が降る」こと自体が大きなニュースになる地域もあります。
雪が少ない土地に住む人々にとって、雪は季節に彩りを添える空からの贈り物。
いにしえの昔から、真っ白に染まった世界を愛(め)で、風情をたのしむ「雪見」を行ってきました。
「雪見酒」「雪見障子(しょうじ)」「雪見灯籠(とうろう)」など、雪をたのしむための趣向は今も受け継がれています。
東京も雪は少ない地方の部類でしょうけど、確かに子どものころから雪が降ると、雪合戦をしたり、雪だるまを作ったりして少しでもあるうちに楽しんだりしましたよね。
[気候風土によって決まる屋根]
(屋根の形状は土地の気候や地域景観などに合わせて変わるのです)
[雪国の屋根]
山形などの豪雪地帯にある家などは、積もった雪が自然に流れ落ちるように勾配のある片流れ屋根を採用しています。もちろん富山県の合掌造りなどのように、片流れではなく切妻の急勾配屋根もありです。
片流れの利点は、雪を落としたい側に集中して落とせるということです。たとえば、図の家のように、裏に川がある場合などは、片流れ屋根であれば、ほとんど川に流せるので、最適だといっても過言ではないと思います。
一般に人の通る道や玄関など出入り口のある場所へ雪を落とすようにはできないので、落とす場所の配置計画などは十分にする必要があります。
さらに、落とした雪をどこに保管しておくかも、計画し考えなければなりません。
[フラットに限りなく近い屋根]
雪の心配がない地域では、屋根をフラットにし易いかもしれません。定義が正しいかどうかは置いておいて、屋根がフラットな箱型の家はよくモダン住宅と言われたりしますよね。
例えば図のような家は、外壁の一面を屋根と同じガルバリウム鋼板にして、家をくるむようなデザインがされています。
例えば、トタン屋根で、半世紀(50年)以上雨漏りしない家は、今でもよく見かけることができます。トタンよりも遥かに錆びにくいガルバリウム鋼板で施工すれば、もっともっと維持管理できるのではないでしょうか?!
[他の家と同じ屋根素材や勾配]
豊かな自然に囲まれた長野地域にある図ような家は、農業地帯に敷地がありました。当然ながら、現在でも周りは農家が多く、ほとんどの家は農業を営んでいます。
この土地では農家風の瓦屋根の家がほとんどを占めています。新しく建てられる家も、その景観に溶け込ませるために、意匠は農家風の新しい民家になっていました。
当然ですが、屋根も瓦屋根を選択されました。
【都市部の屋根の形状は斜線によって決まります】
(斜線制限は厳守ですが、厳しい地域では屋根を工夫して容積を確保します)
【例えば、北側斜線がきびしい家の場合、片流れ屋根が最適かも】
斜線制限で北側の屋根勾配が決まりますが、切妻屋根にしようと反対側も同じ勾配にしてしまうと、2階の階高とれず、部屋としての機能を果たせない場合があります。
その場合は図のように片流れにすれば、2階がとれます。ただし、少しでも容積を確保したいからと、まるっきりデザインを蔑(ないがし)ろにしてしまうのも、お奨めできません。
その証拠は日本の都市部の町並みをご覧になってみれば、分かります。
【住宅(建築)模型は目線を下げて見るものです】
(住宅模型は実際に見る角度から見ることで、想像力が湧いてきます)
【想像力を最大限に膨らませて】
建築会社やリフォーム会社もしくは、建築士事務所からプラン提出の際に、模型を見せられることがあるかと思います。お客さま(建築主)は最初上から見て、ようするに鳥の目線で屋根の形を把握します。
こうすると屋根のボリュームが大変大きく迫ってきます。ところが坂の下にある家やドローンなどの撮影を除いて、屋根を上から見ることはほとんどありません。
ですから、実際に視点を低くして実際に近い角度から見ることが大切です。