BLOG
ブログ
階段と廊下セットで考え、面積か機能かを選択する!階段&廊下【CASE2】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
大暑(たいしょ)次候 土潤いて溽し暑し (つちうるおうてむしあつし)」
福神漬け
今日は、7(しち)月29(ふく)日の語呂合わせで「福神漬の日」です。「福神」というなんともおめでたい名前は、七福神から取ったもの。
明治時代に東京・上野の漬物店で売り出された際、原料である大根やナス、ウリなど7種類の野菜を七福神に見立てて命名したそうです。また「福神漬けがあれば、おかずいらずでお金が貯まる福の神も一緒に漬けてあるのでは?」との噂がこの名前を生んだという面白い説もあります。
福神漬けといえばカレーとの黄金タッグがお馴染みですが、こちらの発祥は海の家。豪華客船のレストランで、インド料理の薬味であるチャツネの代わりとしてカレーに添えられたのが定番化したと言われています。
大暑の時期らしい七十二候の季節がこの、土潤いて溽し暑し(つちうるおいてむしあつし)です。七十二候の名前をすべて並べてみて、もっとも暑そうなのが、この候です。ムワッと湿気のこもった熱気が、いまにも地面から湧き上がってきそうです。想像しただけでもくらくら…としてしまいます。まとわりつく熱気で蒸し暑いころという意味で、およそ7月27日から8月1日ごろのことです。
階段と廊下セットで考え、面積か機能かを選択する!階段&廊下【CASE2】
階段と廊下の組合せと面積と
家づくりを考える際、とにかく忘れられてしまうのが階段です。若いころ、家の設計を夢中でしていると、結構いい間取り、いい部屋割りが完成したとほくそ笑んでいると…このプラン、階段がない…ということがよくありました。当然最初からやり直しです。
階段がなければ生活が成り立ちませんからね。
以前、階段を配置するなら、できれば家の真ん中がいいと言いましたが、他の部屋との関係で簡単に真ん中にできないケースも多々あります。というか…はっきり言ってそちらのほうが多いかもしれません。
そんなときに失敗しては最初からやり直しを何度もしているうちに最低限知っておかなければならないことに気がついたのです。
それが、階段と廊下の関係です。これが理解できていれば、住まいにおける階段の意味や位置づけ分かってくるでしょう。
下の図を見てください。直線階段とU字階段で、階段と廊下を併せた使用面積がどう変わるかを検討してみます。
U字階段を昇る場合は、踊り場が必ず必要になります。そのため2階建てで1階から2階に昇る場合、直線階段よりも使用面積を要します。ところが3階建で2階から3階に昇る際は、直線階段の場合、次の昇り口行くための廊下を必要とするので全体の使用面積がU字階段よりも大きくなってしまいます。
↓「階段と廊下の使用面積」ー階数の違いによるー
3階建ての家で、U字階段と直線階段の使用面積の比較をした場合、2階~3階に昇る場合は、U字階段よりも直線階段のほうが廊下を必要とする分、面積は大きくなります。
直線階段に比べ、U字階段は、いわゆる回り階段と同じ種類のものなので、踊り場で面積を必要としますが、3階建ての比較でも分かるように、昇る位置と昇りきる位置がほぼ同じなので、スペースの使い方としてはコンパクトにおさまります。
階段と廊下の組み合わせで生まれる「スキップフロア」
この先は発展型です。コンパクトで面積をとらない階段は空間利用としては効率がよく、小さな家では有効です。建売分譲住宅などでは、行き過ぎたコンパクト階段などで購入者の目をいかにごまかすかに売れ行きが変わってくるぐらいですよね。しかし、コンパクトな階段は、角度が急になるため昇り降りがしづらくなる大きな欠点も含んでいます。それは毎日昇り降りして始めて気がつくものなのです。円形(螺旋)階段などはなおさらでいうまでもないでしょう。
住まいにおける階段の役割は、面積が小さなほうが機能的で優れていると断定されるものではないと思います。むしろ逆に伸びやかなイメージを住まいに生みだす存在として考えることも必要です。
ただし、設計者はそのようなことを言って、自分の作品としての変わった家にしたがりますのでそれも気をつけなければいけません。
たとえば、そのために廊下がながくなるなら、長くなるなりにそれを利用するような、発想が必要なのです。
例えば階段の壁を本棚や収納空間にして、机をつけてデスク空間に兼用してしまうのです。中2階の階段の広さを変えれば、ベンチにもなります。重力換気を利用すれば、高所窓から引っ張られた風が階段ベンチを吹き抜け心地よい読書の世界に連れていてくれます。また、廊下と階段を組み合わせた「スキップフロア」がプランに採用されるようになりました。これは1階と2階の間に設けられる中2階のような感覚で、階段の踊り場と廊下が組み合わさった形です。この空間は、単に上下の階をつなぐ役割だけでなく、部屋の一部のような感覚で、1階や2階の様子を上または下目線で観客的に見るようなことも可能です。
→②スキップフロアは、中2階にあたる平らな空間だけでなく、階段スペースも含めた新しい空間として活用することも可能です。また、今までとは違った視線で上下階が見られるのも面白い感覚となります。