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高さの違う床から観える景色を極める[間取り・動線追求9]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
秋分 末候 水始めて涸れる(みずはじめてかれる)
泥棒と夜の口笛
10(トー)月7(ナン)日の語呂合わせから、今日は「盗難防止の日」。大切な家財道具を泥棒から守るための防犯対策を見直す日です。
泥棒といえば子供の頃、暗くなってから口笛を吹いて「泥棒が来るよ!」と叱られた経験はありませんか?その理由には、「単純に近隣への配慮から来る躾(しつけ)の一貫」という説もあれば、「口笛は盗賊や人さらいが連絡を取り合う合図だった」という説も。
「口笛を吹くと蛇が来る」という言い伝えが多いのも、「蛇(じゃ)=邪(不吉なもの)も連れてくると考えられていたから」なのだそうです。
高さの違う床から観える景色を極める[間取り・動線追求9]
東西に半階ずつスキップする階段と廊下、そして北側の大壁に穿(うが)たれた2つの大開口を介してフロアレベル(床高)を変えたこの家の共有スペースの目前に運河が流れています。
2つの大きな開口部の左右の壁によって視界は断続的に遮られ、家族が朝夕この廊下と階段を行き来し、昇り降りするたびに、目の前にある運河は水面の色調や輝きを変えて、まるでコマ落としのように見えてくるのです。
季節や時刻、天候の変化によってさらに外の光景は驚くほど変化してゆきます。
【緑 床レベルや位置の変化で眺望が驚くほど変わります】
①居間、家族室、洗面浴室を半階ずつ上がっていく構成、移動するたびに窓から観える風景は次第次第と変化していきます。
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【アルコーブで外部との繋がりを演出】
① アルコーブは視覚的な効果とともに、小さなバルコニーとの繋がりのある空間となります。ダウンライトを設けると演出効果もあり、日常をさりげなく飾ってくれます。
②アルコープは視覚的な効果を狙って空間の中心に配置しました。小さなバルコニーにグリーンを置くと、さらに眺望を愉しめるようになります。
③ちなみに、アルコーブのサッシ寸法は、高さ2,100mm 開き戸は幅650mm、FIX窓は幅900mm。バルコニーは床仕上げがウエスタンレッドシダー85×38mm+リボス(自然塗料)を2回塗り、手すりは、スチールパイプにオイルペイント(SOP)h1,100mm。
【アルコーブの設けかたにこだわる】
二階に位置するダイニングに、ちょっとしたアルコープ(凹んだ部分)を設け、小さなバルコニーと連続させています。ここは食事のときに外の景色を切り取る額縁のような役割を果たします。
そのほかにも外部への広がりを感じられる連続性をもった小さな庭とも成り得ます。ところが、この空間は機能的には特別な意味を持つものではありません。
しかしこのほんの小さな空間=アルコーブが生み出す陰翳(いんえい)は、そこに住む人の生活を豊かにし、気持ちにゆとりを感じさせるものなのです。
もちろん、最初に紹介したスキップフロアーを上手にコラボさせればお互いに演出効果を倍増させることも可能なのです。