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人間関係を崩壊させるしゃべり過ぎ
真逆の「沈黙」がもたらす効果とは

アルコール依存症の人は「アルコホリック(Alcoholic)」、仕事中毒の人は「ワーカホリック(Workaholic)」など、過度にやりすぎてしまう状態のことを「〇〇ホリック」と表現します。
どんな時でも話さずにはいられない衝動を感じて、黙ってはいられない人のことを指す「トーカホリック(Talkaholic:会話中毒)」という言葉があります。
どんな時も黙っていられない「トーカホリック」な人の特徴

トーカホリック(Talkaholic)とは、1995年に心理学者のJames C. McCroskeyとVirginia P. Richmondが作った専門用語です。
トーカホリックは、単なる「おしゃべり好き」というレベルではありません。
それは「依存症」のレベルですから黙っていることができないし、話を止めろといって止められるようなものではありません。
トーカホリックは、ある日気づいて「少なく話そう」と決心できるようなものではありません。彼らは強迫観念的に話をするのです。

専門家によればトーカホリックは生まれつきで、治すことは難しいそうです。
左右の脳のニューロン活動のバランスが崩れており、右脳が左脳よりも活発だと話好きになるそうです。
衝動的に話す人には、いくつかの特徴があります。
- ・相手が話を止めようとする言葉や、言外の合図を無視する
- ・独り言が止まらない、会話を独占する
- ・同じ話を同じ人に何度もする
- ・相手のことには関心がない
衝動的に話す人に対処する方法
■率直に直接言う
無理して感じ良く接するばかりではなく、率直に伝えてもいいのです。
会話や会議を円滑に進めるために「直接声をかけられない限り話してはいけない」と伝えます。
その人の止まらないおしゃべりがなぜ悪影響を及ぼすのか、具体的に伝えましょう。
■会話の流れを変える
衝動的に話す人は話がとりとめもなく、会話が脱線する傾向にあります。
あなたにできることは、その人たちに直接話しかけ、会話の主導権を握り、明らかに会話の流れを変えることです。
「○○さん、その辺でやめましょう。話が脱線しています。請求書の話に戻りましょう」と言うだけで、どれほど話が逸れたのかを強く示唆し、理解してもらうには十分です。
■ルールを課す

厳しいですが、衝動的に話す人はまったく自制できないのが事実です。
しっかり会話ができるよう仕組みをつくり、話を逸らす機会を与える前に、大事な論点を話し合う時間を確保しましょう。
■思いやりを見せる
衝動的に話す人たちは、根本的な問題や不安を抱えているせいで、話すのを止められない場合もあります。
そうではないかと思う場合は、その理由を一緒に考えてみましょう。
おしゃべりを止めなければならないと思うきっかけになるかもしれません。
自分で、「何とかトーカホリズムを改善したい!」と思い、「話したいという衝動」から距離を置く方法を模索する人も多いいようです。
・電話の時には話すべきことをメモして、落ち着いて話すようにする
・机の前に「静かに!人の話を聞く!答えは短く!」などと印刷された書かれた紙を貼る…
こうして、気まずい沈黙に慣れるように努力して、自分の話し方と聞き方を意識するようにしていくと、次第に家族や他人との関係が改善していくこともあるそうです。
あなたもしゃべりすぎ? トーカホリック度をチェックする自己診断テスト
「もしかしたら自分もトーカホリックかも?」「多分違うとは思うけど、ちょっと気になる」と感じる人もいるはず。
そこで、この「トーカホリックスケール」を紹介します。
【回答用スケール】
まったく思わない=1点 そう思わない=2点 どちらでもない=3点 そう思う=4点 非常にそう思う=5点
【設問】
1. 話すべきときに黙っていることが多い
2. 必要以上に話すことが時々ある
3. 黙っているべきだとわかっている時にしばしば話す
4. 話すと自分のメリットになるとわかっているのに、黙っていることが時々ある
5. 私は「トーカホリック(衝動的に話す人)」だ
6. やむを得ず黙っているべきだと感じることが時々ある
7. 一般的に必要以上に話す
8. 私は衝動的な話し手だ
9. 話をする人ではない。コミュニケーションの状況で話すことはめったにない
10. かなりの数の人たちから話しすぎだと言われたことがある
11. 話しすぎを止めることができない
12. 一般的に必要以上に話さない
13. 私は「トーカホリック」ではない
14. 黙っていたほうが自分に有利だとわかっていても話すことが時々ある
15. 必要以上に話さないことが時々ある
16. 私は衝動的な話し手ではない
【採点方法】
トーカホリックスケールの点数は、次の手順で計算します。
- 手順1 : 設問2、3、5、7、8、10、11、14のスコアを足します
- 手順2 : 設問13と16のスコアを足します
- 手順3 : 次の式を使って計算します [12 +(手順1の合計点) – (手順2の合計点)=総合スコア]
※文章1、4、6、9、12、15はフィラー(質問のテンポを維持するため)の質問なので、採点には考慮しない
※スコアの範囲は10点〜50点で、大部分の人は30点以下
※30点〜39点がボーダーラインで、多くの状況では話をコントロールできるが、時々つい口走ってしまうタイプ
※40点以上がトーカホリックに該当する
トーカホリックの治療法

トーカホリック(Talkaholic:会話中毒)は、正式な医学的診断名ではありませんが、強迫的に喋り続けてしまう、あるいは会話のコントロールができない状態を指す行動パターンや心理的依存の一種です。
この状態の治療・対処には、精神医学的アプローチ(カウンセリング)や自己改善のテクニックが有効です。
■認知行動療法 (CBT)

なぜ過剰に喋ってしまうのか(不安、ストレス、自己顕示欲など)という背景にある思考のクセや行動パターンを特定・修正します。
会話に関する自己モニタリングを行い、適切な話す量や相手の話を聞く時間を学習します。
カウンセリング
メンタルクリニックや専門のセラピストによる対話を通じて、根本的な心理的要因に対処する
弁証法的行動療法 (DBT)
感情のコントロールや自己規制のスキルを身につけ、喋りすぎる衝動を抑える
グループセラピー
同じ悩みを持つ人々と交流し、互いのコミュニケーションの仕方を観察・学習し、適切なフィードバックを受ける
■自己対処法・日常の対策

「聞き上手」の練習:
相手の話を積極的に聞く(アクティブリスニング)意識を持つ
会話の記録
自分の会話量を記録(ジャーナリング)し、どの程度喋っているか客観視する
間を置く技術:
会話の合間に「7秒間待つ」など、意識的に沈黙を作る
相手に譲る
自分が1つ文を話したら、次は相手に話す番を譲る意識を持つ
トーカホリックの背景には、注意欠如・多動症(ADHD)や不安障害、ストレスが隠れている場合もあるため、日常生活に支障がある場合は、心療内科や精神科に相談することをお勧めします。
世界的成功者があえて「沈黙の時間」をつくる理由

さて、トーカホリックのテストで最高点の50点だった人でも、「沈黙の重要性」を理解できないわけではありません。
人より多く話す人は、「他人の注目を集めて成功者なのではないか」と思われることもありますが、実際には世界的成功者はその真逆で、沈黙を取り入れる人も多いのです。
現代の偉人たちが実践する「能動的な沈黙習慣」

世界的成功者の代表としてまず名前が挙がるは、Appleのティム・クック。
ティムのこの「気まずい沈黙をする」傾向は良く知られており、質問されてもすぐには答えず、長く沈黙して答えを熟考することで知られています。

また、amazonのジェフ・ベゾスは、ミーティングの冒頭に30分かけて静かに印刷されたメモを読む時間をとることで知られています。
このような沈黙時間は、即時にやりとりするコミュニケーションが当たり前になった今、考えるための時間を得るために重要なものだと考えられます。
熟考のためのポジティブな沈黙
相手を否定しない会話術を取り上げた多くの書籍では、反射的に相手に反応する代わりに、能動的に黙る習慣と、相手の話が終わってから2カウント以上待つ習慣を取り入れることを推奨しています。
こうした沈黙時間は、慣れない人や周りの人にとっては「気まずい」ものかもしれません。
でも本人にとっては熟考して意図的に会話をするための重要な沈黙です。
それは、『能動的な沈黙』だと呼べるでしょう。
「何も言うことがない」「無関心」などの消極的な沈黙ではなく、思考のための沈黙だと理解してもらうことができれば、沈黙を気まずいとかネガティブだと思うことは少なくなるはずです。
お互いが『能動的沈黙』を理解して実践していけば、いわゆる「売り言葉に買い言葉」のようなやりとりを避けることもできるのではないでしょうか。
ポジティブな沈黙を取り入れて一方的なコミュニケーションに終止符を

日本と比べて、アメリカでは沈黙はネガティブに受け止められている印象があります。
日本では沈黙になると気まずくなって、誰かがどうでもいい話をしはじめることがしばしばあります。
英語で「(誰かと)話す」は「talk to (someone)」や「talk with (someone)」と言いますが、実はもうひとつおもしろい表現があります。
それは、「talk at (someone)」。
これは、対話というよりは、一方的に相手に自分の話を聞くことを押し付けて、相手が相槌を打つことさえできないほど話を続けるような場合を指します。
聞き手のことを考慮せず、衝動的に話をしてしまうトーカホリックは、まさしくこの「talk at anyone, anytime, anywhere」の極めつけです。
自分が話しすぎているかもと思ったら、現代の偉人の『能動的沈黙』の習慣を意識して、ほんの短い沈黙時間を取り入れてみる…そうすることで、最終的に円滑なコミュニケーションがはかれるはずです。







