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「食料自給できる家」のご提案
庭で菜園を楽しめるエクステリア工事の勧め
温暖化による異常気象によって、食料の流通に不安を覚える方も多いと思います。庭に菜園を作っておけば、完全な食料自給は無理にしても万が一の際の助けになります。さらに、子どもの食育やなのと言っても家族の健康増進にもつながります。今回は「菜園設計のポイント」をお伝えさせて頂きたいと思います。
菜園ができるエクステリアを作るメリット
家庭の庭に作る菜園は、子どもの食に対する知識と食を選択する力を育てる「食育」に役立ちます。
自分が作る食べ物を観察して育てる経験は、どうしたら美味しく育つのかなど知ろうとする力を呼び起こし、調べて解決する力を伸ばします。
食べ物を育てることは簡単なことではないことを知ると、食べ物を作ってくれる人への感謝の気持ちが育ち、精神的な成長も促せます。
心を込めて作った野菜に愛着を持てば、苦手だった野菜も食べてみようという気持ちがわくかもしれません。
また、知的好奇心を日常的にくすぐることで、子どもが研究者に進む未来も考えられます。
菜園ができるエクステリアを作るメリットには、菜園がもたらす適度な運動による「健康増進」もあげられます。
生活の質の向上や健康の増進を目指す「園芸(草むしり)療法」という言葉がある通り、食物や植物を育てることは体の調子と心の状態を整える効果があるためです。
エクステリアの家庭菜園で土の上に立ち、水をまくなど作業すること自体に運動効果があります。
同時に、人間の免疫維持に必要なビタミンDは、太陽光に含まれる紫外線を浴びると生成されます。
また、エクステリアで楽しみながら食物と触れ合える家庭の菜園は、土や植物に直接触れたりニオイをかいだりして五感が刺激され、達成感や満足感をはじめ精神的な好調にもつながるでしょう。
エクステリアに家庭菜園を設計するときのポイント
エクステリアに家庭菜園を設計するときは、家族だけで管理できる現実的な面積を考え、どのようなエクステリアが可能か、具体的な計画が必要になります。
管理できる広さと理想の明確化は、エクステリアに菜園を作る際の大前提のポイントです。
経験が少ない状態でエクステリアに面積が大きい菜園を作ってしまうと、管理しきれなくなったり、菜園にかける時間が増えすぎてしまったりするため、注意が必要です。
エクステリアに理想の菜園を作る際は、理想を言語化や画像化すると、しっかりとイメージの共有が容易になります。
■日照時間と排水性を考慮する
エクステリアに菜園の専用エリアを作る際、まず考えることは菜園に使おうとするエリアの日照時間と排水性です。食物を含め植物は成長するために太陽光がエネルギーとなり、欠かせないためです。
また、植物は水はけのよい場所を好むため、エクステリアに作る菜園は日がよく当たり、かつ水はけのよい場所を選択しましょう。
太陽光を好む植物でも、西日が強く当たりすぎると野菜にダメージを与えかねません。
エクステリアのどの位置に菜園を作ったら、日中の太陽光が当たるのか考慮が必要です。
■土壌改良の必要性を確認する
エクステリアの土壌が植物の育成に適しているか、そもそも育てられる土なのか確かめるために、土壌の調査が必要です。
家を建てる時に地盤の強度を増すためセメント系固化材が使用されるケースがありますが、菜園の土としては適しません。改良が必要な際は植物を植えても成長が抑制されないよう、考慮しておきましょう。
また、地面の下には水道管や下水管をはじめ配管設備を這わす必要があるので、この点も含めて外構工事を考える必要があります。
■泥が飛んでも清掃が容易な設計にする
菜園の周囲のエクステリアは、清掃が容易な設計や素材の選択が重要です。
菜園で作業をしていると、どうしても泥はねなどの汚れがエクステリアに付着します。
たとえば菜園の周囲のエクステリアの素材にごつごつした石材を選ぶと、水やりではねた泥や、収穫した野菜についた土などの清掃が大変です。
エクステリアの素材にタイルを選択すると、簡単に水で流せるため清掃が容易です。
■水を供給できる設備を近くに置く
太陽光と同様に水は食物の成長に欠かせないため、家庭菜園の近くに給水できる設備があるとスムーズに水やりができます。
遠 い場所から水をもってくるとなると、菜園のお手入れが面倒になったり動線が悪くなったりして、よいことがありません。
また立水栓は、菜園だけではなくエクステリアの清掃や洗車、汚れた手足を洗い流す際に役立ちます。
■移動のしやすさや導線を検討する
動線の確保はエクステリアをデザインする際の重要な要素のひとつです。
エクステリアにある菜園の場合、出入りできる場所や道具を置いている収納スペースとのアクセスが悪いと、作業自体が面倒になり得ます。
また、菜園がエクステリアにおいて動線を妨げる原因になってしまうケースも考えられます。
エクステリアにおける菜園の位置取りは、動きやすさが大切です。
■ リビングからの眺めを考える
リビングから菜園が見えてもすてきですが、注意が必要です。
野菜を収穫した後や植物が育つ前は、見た目が少し寂しいと感じる方もいるでしょう。
リビングは、一般的に日当たりのよい南側へ設計することが多く、菜園も日中の太陽光が届く場所が適しています。どうしても菜園と周囲のエクステリアに差を感じる場合は、窓から見える中心より少しずらした場所に作ると効果的です。
食料輸送やグリーン効果、生ごみ削減などでCO2削減に貢献
■フードマイルズを最小化する家庭における食料生産
家庭における菜園はフードマイレージを減らすため、食料の輸送にかかるCO2削減に貢献します。
フードマイレージとは、「食料の輸送量(t)」と「輸送距離(km)」をかけあわせた指標のことです。
単位はt・km(トン・キロメートル)で、輸送量が5t、輸送距離が850kmだった場合、フードマイレージは4250t・kmとなります。
例えば、北海道産のじゃがいもを東京に輸送する場合と、アメリカ産のじゃがいもを同じく東京に輸送する場合を考えてみましょう。
この場合、仮に同じ量だったとしたらアメリカ産のほうが輸送距離が長いため、フードマイレージが大きくなります。輸送距離が長いほど多くのエネルギーを消費し、二酸化炭素の排出量も増加するため、フードマイレージが大きいほど環境負荷が高いことがわかります。
■夏場のCO2削減に有効なグリーンカーテン
グリーンカーテンとはぶどう、ゴーヤ、ヘチマ、アサガオなどのつる性の植物を窓の外や壁面に這わせてカーテンのように覆ったものです。
グリーンカーテンは夏の直射日光が部屋に差し込むのを防ぎ、熱エネルギーを約80%もカットします。
グリーンカーテンによって地面や壁から発せられる放射熱を防ぎ、都市の気温上昇の原因であるヒートアンド現象の緩和
にも役立ちます。
さらに植物には根から吸い上げた水を葉の裏から蒸発させる蒸散作用があるので、周辺の熱を冷ます役割もあります。
水蒸気を含んだ涼しい風を部屋に取り込めば、室内の温度も下げてくれるでしょう。
家庭菜園の一環でグリーンカーテンを設置すれば夏でも過ごしやすい快適な部屋となり、節電やCO2排出削減にも貢献します。
住 まいの微気候改善のための植栽は、高木の「落葉広葉樹」を主にして構成するとよいでしょう。
夏は葉を茂らせて木陰をつくり、冬には葉を落として暖かい日差しを住まいに取り込めるように陽ざしをコントロールしてくれます。
特に夏は木々の枝葉によって直射日光を遮りますので、日差しによる「直射熱」だけでなく、地表や建物からの「輻射熱」による温度上昇を防ぐことにもつながります。
■生ごみを堆肥化してゴミの削減も
生ごみを堆肥化して家庭菜園に利用すれば、環境負荷を減らすことに役立ちます。
堆肥化は3R(リデュース・リユース・リサイクル)のなかのリサイクル、再資源化にあたります。
生ごみは家庭からでる廃棄物の多くを占めており、家庭から出される燃やすごみの38.3%%が生ごみとなっています。
生ごみは80%が水分であるため紙やプラスチックと比較すると燃えにくく、廃棄の際にもCO2を多く排出します。
ゴミを燃やした熱を発電に利用している場合、燃えにくい生ごみが多く含まれていると発電量が減ってしまいます。
家庭での生ごみの堆肥化を推進するために、堆肥化機器購入への助成を実施している自治体も多数あります。
どんな野菜が作れるの
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
ピーマン | ○ | ○ | ○◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | △ | |||
ミニトマト | 〇△ | 〇△ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | |||||
ホウレンソウ | ◎〇 | ◎〇 | ◎ | ◎ | 〇 | |||||||
ニンジン | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ||||||||
キュウリ | 〇△ | 〇△ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ||||||
イチゴ | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
小松菜 | △ | ◎△ | ◎△ | ◎△ | ◎△ | ◎△ | ◎△ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
大根 | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | |||||||
水菜 | ◎ | ◎ | ◎ | |||||||||
ラディッシュ | △ | ◎△ | ◎ | ◎ |
菜園づくりには種や苗の選び方が重要です。
種を購入する場合は袋に記載されている発芽率、耐病性、採取年月日を確認します。
発芽率が高く、耐病性を持ち、採取年月日ができるだけ新しい種を選ぶと、育てやすいでしょう。
苗の場合は、葉が変色したり枯れたりしていないか、虫がついていないか、株の部分が不安定でないかなどをしっかり確認しましょう。
茎が太くて色が濃く、フレッシュな苗を選びます。
また、収穫までどれくらいかかる品種なのか、種・苗選びの段階で把握しておくことです。
短期間で育つものは「早生(わせ)」と呼ばれ、収穫までが短いため病害虫の影響を受けにくいというメリットがあります。